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令和7年5月8日(木曜日) 午後1時00分開始予定
▶会見の様子(YouTube動画)は、こちら<外部リンク>
鈴木市長
皆さん、お集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、臨時会見を始めさせていただきます。
それでは、私から2点説明をさせていただきます。
まず、4月27日から5月4日までの6泊8日の日程で、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議第3回準備委員会及びノースウェスタン大学での会議等に参加するため、アメリカへ出張しましたので、その概要について御説明させていただきます。
ニューヨーク市の国連本部で開催されましたNPT再検討会議第3回準備委員会では、NGOセッションにおきまして、被爆地の市長、そして、平和首長会議の代表として、広島市長と共にスピーチを行いました。
今回の演説では、まず、先月21日に崩御されましたフランシスコ・ローマ教皇が2019年に両被爆地を訪問された際に残されました、「核兵器は、今日の国際的また国家の安全保障への脅威に関して私たちを守ってくれるものではない」「戦争のために原子力を使用することは、現代において、犯罪以外の何ものでもありません」という言葉を引用いたしました。
また、核兵器を使用したら、人やまちに何をもたらすのかということを申し上げた上で、「核兵器は、人間らしく死ぬことも生きることも許さない絶対悪の兵器であり、決して人類と共存できない」という被爆者の皆さんの実体験から発せられた言葉を共有しました。
さらに、戦争被爆地の代表といたしまして、「核兵器は決して使ってはならない。核兵器の脅威から人類を守るためには廃絶しかない」とした上で、結びに、「長崎を最後の戦争被爆地に」という被爆地長崎の普遍的なメッセージを力強く訴えました。
被爆から80年が経過しようとする中で、核兵器使用の危機感が高まる今だからこそ、被爆地の平和への思いをしっかりと共有していただけたものと考えております。
次に、グテーレス国連事務総長との面会では、平和首長会議加盟都市拡大への協力をお願いしたところ、「世界の平和は一人一人が平和になることであり、そのためには都市は重要な役割を担っている」と述べられ、前向きに協力する意向が示されました。
また、中満国連事務次長兼軍縮担当上級代表との面会では、同席した広島の高校生からの「若者が平和のためにできることは何か」という問いに対して、中満事務次長からは、「18歳以上が持つ選挙権は自らの声を政治に反映させる仕組みであること。また、家庭や身近な生活の現場での意識や対話が、国家全体の政治参加や主体的な行動の第一歩となること」などを紹介されながら、今後の活動への期待を述べられました。
また、今回の準備委員会の議長を務めるアジマン議長との面会では、来年度開催されるNPT再検討会議に向け最後となる今回の準備委員会に対する期待を伝えました。
議長からは、厳しい国際情勢や安全保障環境が続いているが、戦争や核兵器のない世界という理想の実現に向け、前進させたいという強い意思が示されました。
また、昨年11月に、両被爆地を訪問し、被爆の実相に触れ、心を動かされたと話されるとともに、被爆地長崎・広島が市民の記憶や意識喚起のシンボルとして大きな役割を果たすことへの期待が述べられました。
また、日本のほか、核兵器廃絶に向けた国際的な取組を牽引するオーストリア、そして、核保有国のアメリカ、イギリス、フランスの各国政府代表とそれぞれ面会いたしました。
それぞれ活発な意見交換を行うことができましたが、特に核保有国との面会につきましては、各国とも自国がNPT義務履行のため努力していると強調する一方で、現実には、ロシアや中国などの脅威に対応するための核抑止への依存傾向が見られ、依然、核軍縮の先行きが懸念されるといった感想を持っております。準備委員会は、現地時間の5月9日まで続きます。その動向を注視していきたいと思います。
続きまして、イベントへの出席等です。
私が副会長を務めます平和首長会議では、会議に合わせて、被爆の実相などを伝えるバナーなどの展示や、若者を主体としたNGOサイドイベントなどを行いました。このバナー展示には、岩屋外務大臣による視察が行われ、私からは被爆の実相についてのパネルの説明をいたしました。
また、ナガサキ・ユース代表団の6人を当会議に派遣しており、ユース代表団が主催するNGOサイドイベントに出席いたしました。
以上が国連本部内での活動となりますが、国連本部外の活動としては、広島市長及び広島の高校生たちと共に、UNIS(国連国際学校)を訪問し、現地の中学3年生を対象に、被爆の実相や平和首長会議の活動について講演を行いました。私としては海外の学校で対面で行う初めての講演となりましたが、真剣に聞いてくれている顔を間近で見まして、地道に被爆の実相や平和への思いを伝えていく意義を感じたところでございます。
続きまして、5月1日の午前に、イリノイ州のエバンストン市に移動をいたしました。現地では、長崎平和特派員として活動されておられます、宮崎広和ノースウエスタン大学教授の協力の下、同大学で開催されましたシンポジウム「核政策と核遺産-都市の役割」での基調講演やパネルディスカッションに登壇いたしました。
基調講演では長崎の平和に向けた取組を紹介するとともに、パネルディスカッションでは、私からは被爆地市長の役割などを説明したほか、他の登壇者からは、ワシントン州にありますハンフォード核施設の放射線被害を受けた先住民コミュニティでの環境回復と記憶の継承に向けた取組や、かつてマンハッタン計画の本部が置かれたニューヨーク市における非核都市宣言の取組などが紹介され、核軍縮における都市の役割について、多角的な視点で考える機会を提供できたと考えております。
また、人類滅亡までの残り時間を示す終末時計で知られております科学誌「原子力科学者会報」の役員の方々と面会し、終末時計が過去最短となっている要因や、新START(新戦略兵器削減条約)の後継条約の締結に向けた動きなどをお聞きするとともに、被爆地長崎が今後担うべき役割などについて意見交換を行いました。
以上が今回の出張の概要ですが、随所で「被爆80年」についての言及があるなど、被爆地長崎に寄せられる期待の大きさを実感する出張となりました。
今後も、広島市や平和首長会議加盟都市、国連、国際NGOなどと連携しながら、たゆむことなく、被爆地長崎の使命を果たしていきたいと考えております。
1点目については以上でございます。
記者(KTN)
NPTお疲れさまでした。ただ、やっぱり厳しいロシア、それからEU、それからアメリカを含め、厳しい状況というようなことを肌で感じるような場面などがなかったかどうかをまずお聞かせください。
鈴木市長
先ほど申し上げましたとおり、核保有国のうち3か国、アメリカ、フランス、イギリスと面会をいたしました。そこで意見交換をする中で、先ほども申し上げましたとおり、まだまだ核抑止に依存する傾向、これが非常に強い。そういう中で、彼らとしてNPTの義務はしっかり履行しているということを強調しているんですけれども、しかし、どうしてもやはり核兵器に依存している。核兵器は、現実を踏まえれば、これは彼らとしてはまだ保有し続けなければならないというような考え、そういったところも見えまして、そういう面で、核兵器廃絶という我々が目指す目標に対しては、まだまだ厳しい状況を感じたところでございます。
記者(KTN)
それから、現地には日本被団協なども行っていますけれども、被爆者の方々との協調的なこと、それから、去年のノーベル平和賞を受賞した後の大きな国際会議でもあるので、その辺りの雰囲気とか空気感とかいうのをどのように受け止めていらっしゃいますか。
鈴木市長
各国関係者と意見交換する中で、核兵器廃絶に向けた機運、あるいはNPTを何とか進捗させなければいけないという中で、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したこと、これは追い風であるということであるとか、あるいは、この80周年という節目、これをチャンスとして前に進めなくてはいけない、そういった言葉も聞かれました。
記者(KTN)
幹事社から最後の質問ですけれども、日本政府との関わりですよね、核保有国と非核保有国の橋渡しをするというようなこともNPTに関しては言っていらっしゃいましたけれども、そういった日本政府との協調なところ、それから、後押しできたところとか、そういったものはありましたか。
鈴木市長
今回、日本政府との間では、例えば、市川軍縮会議代表部の大使と、広島市長、あと、広島の高校生などと共に面会をさせていただきました。そういう中で、そこの場は特に、どちらかというと次世代への継承といいますか、高校生たちに、まさに国際会議の現場、そして、核兵器廃絶に向けた取組の大切さを学んでいただく、そういう場にするということでございましたけれども、市川大使のほうからも、大変示唆に富んだ、高校生にとっても参考になるような、そういうお話が聞けたというふうに思います。
記者(NHK)
先ほど、厳しい状況というのが、イギリスとか核保有国との面会で感じられたとおっしゃっておられましたけれども、市長としてはそういう核保有国、なかなか立場というのは変えるのは難しいとは思うんですけれども、どういうふうにそういうところに対して働きかけていきたいか、長崎市としてどうしていきたいかというのを伺ってよろしいでしょうか。
鈴木市長
やはり核抑止にどうしても依存しているという状況ですね。これはまだまだ、核兵器が実際にこの地球上で使われると、どういう悲惨で非人道的な結末が起こるのか、そこについての理解が十分得られていない、あるいは、分かったつもりでいても、まだまだ本当にそれを、真摯に向き合って、正しく理解していないということだというふうに思っております。
したがって、そういう核抑止の考え方を改め、一刻も早く核廃絶、核兵器廃絶、かじを切っていく。そのためには、やはり被爆の実相をしっかり理解していただく。知っていただく。そのために、一番いいのはこの被爆地を訪問していただく。そして、実際に被爆の実相について触れていただくということが一番の方法だというふうに思っておりますので、またそういうことを働きかけていきたいというふうに思っております。
記者(朝日新聞)
出張を通じて、海外の方から被爆者のこれまで取ってこられた語りや戦争体験、被爆体験を継承する取組、そういったことに関して、やり取りの中で言及はありましたでしょうか。
鈴木市長
御指摘のとおり、被爆者の取組について、これはいろんな国の関係者と話す中でもそれは言及がありまして、取組がこれまで、核兵器の使用が80年間使用されてこなかったという、いわば抑止力になってきたということ、そういうことについて、いろんな国の方から被爆者の皆さま方のこれまでの取組に対する評価、そして敬意が示されておりました。そして、そういった取組の一方で、被爆者の平均年齢が高齢化しているということ、こういう中で、いかに若い世代に継承していくかということが大切だということ、これについては我々のそういう継承の必要性の認識を各国の皆さんもまた共有していただいているというふうに思っております。
記者(朝日新聞)
出張を通じていろんな方とやり取りがあったと思うんですけれども、市長として一番印象に残っている言葉ですとか、おっしゃられる範囲で構わないんですけれども、やり取りはどんな場面があったか教えていただけますか。
鈴木市長
いろんなところがありましたけれども、今回特に若い世代への継承ということで、長崎からナガサキ・ユース代表団の皆さんが来ておりましたし、また、広島からは平和首長会議ユースの高校生が来ておりました。そういう中で、中満国連事務次長、そして、先ほど申し上げました市川とみ子軍縮会議代表部大使のほうとの意見交換の場には、高校生たちも入っておりました。
そういう中で、例えば、中満事務次長のほうからは、異なる意見の人たちと対話することの大切さを強調されておりました。あと、異なる意見の人たちがどういうバックグラウンドでそういう考えを持つようになったのかと。
例えば、核軍拡ですね。もう軍拡を主張しているような人たちの背景には、やっぱりどういうふうなことがあるのかというのを知るために、実際に兵器について学ぶとか、軍事について学ぶとか、そういったことも含めて、実は大切なんだということもおっしゃっていました。そういうことが非常に印象深かったです。
記者(KTN)
もう一点、先ほどノースウェスタン大学の話のときに、都市の役割のお話をされたと思うんですけれども、今回のNPTには大石知事もいらっしゃっていました。被爆県の代表である、どちらも都市であることは間違いがなくて、その役割ですよね。協同、協調できるのか、そういう役割分担を行った上でのアメリカ訪問だったのか、それとも全く別個別個でなさったのかを含め、結局、広島市長、長崎市長でさまざまな行動をしていくのか、それとも4県市でなさっていくのか、その辺りというのは市長御自身はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
鈴木市長
特段、何か意識して役割分担して、市はここまで、県はここまでとか、そういう役割分担しているわけでありません。市は従来からNPTを含め、こういった国際会議に対応しております。これは平和首長会議の副会長ということもありますけれども、平和首長会議の副会長、そして、被爆地の市長、そして、NGOセッションにおける演説を含め、対応させていただいている。その中で、また、サイドイベント等についても対応しているところでございます。
今回、県のほうも、そのサイドイベントでナガサキ・ユース代表団主催のサイドイベントに知事も出られておりましたので、そこは同席というか、知事もいらっしゃいましたし、知事と徳永議長も出席されておりましたので、それぞれサイドイベントの中でスピーチを行ったところでございます。
いずれにしても、それぞれの考えで、それぞれの立場で、それぞれの目的で対応しているというふうに思いますけれども、長崎市は先ほど申し上げましたとおり、平和首長会議の代表といいますか、副会長としての立場、そして、被爆地の市長ということで対応させていただいております。
鈴木市長
今年8月9日の「被爆80周年長崎原爆被爆者慰霊平和祈念式典におけます各国代表等の招請」について御説明いたします。
平和祈念式典の概要全般につきましては、今月の定例会見で発表させていただく予定でございます。
しかしながら、各国代表の招請につきましては、皆さまの御関心も高く、多くお問合せをいただいておりますので、その検討状況につきましては、先行して御説明させていただきたいと思います。
まず、平和祈念式典の開催目的でございますが、これは「原爆犠牲者を慰霊すること」とともに、「世界恒久平和を祈念すること」でございます。長崎市としては、より多くの各国代表の方に式典参列いただき、原爆被爆の実相に直接触れ、世界恒久平和への思いを共有してていただくため、平成26年(2014年)から、原則として全ての駐日外国公館等の代表に対して招請状を送付してまいりました。
他方で、抗議活動等の不測の事態の発生などにより、厳粛かつ平穏な環境のもとでの式典の実施が困難になるおそれがある場合には、招請を見合わせております。
具体的には、令和4年から令和6年までロシア・ベラルーシを招請しておりません。また、これに加えて、令和6年にはイスラエルの招請を見合わせたところでございます。
しかしながら、このように、全ての国等を招請することを基本としつつ、一部の国について招請を見合わせた結果、昨年はさまざまな議論がございました。
また、国際社会では分断が深刻化している状況にあり、今回のNPT再検討会議第3回準備委員会でも、核兵器のない世界の実現にとって大変厳しい国際情勢を肌身で感じたところでございます。
このような中、改めて「原爆犠牲者の慰霊」、そして、「世界恒久平和の祈念」、そういう2つの平和祈念式典の本旨に立ち戻って考えました。
その結果、厳粛かつ平穏な式典環境は確保しつつも、恩讐を越え、国境を越え、思想・信条の違いを越え、全ての分断を乗り越えて、あらゆる国の代表に被爆地・長崎に集まっていただく式典にしたいと。
そのためにも、長崎市としても、式典開催に当たってのさまざまなリスクを乗り越えなければならない。
そういう思いの下、現下の情勢も踏まえた上でさまざまな角度から検討した結果、今年の平和祈念式典への招請については次のとおりの方針とすることといたします。
まず、駐日外国公館等がある国や地域には全て駐日大使等の代表宛て招請状を送付することといたします。これには昨年招請しておりませんロシア、ベラルーシ、イスラエルも含まれます。
招請状は「原爆犠牲者の慰霊」と「世界恒久平和の祈念」という平和祈念式典の本旨を踏まえて、厳粛かつ平穏な式典を執り行いたいという長崎市の思いを御理解いただくようお願いする内容も記載したいと考えております。
加えまして、その他の国のうち、国連代表部を設置している国に対しては、今年から新たに訪日の機会を利用した式典参列や被爆地訪問を呼びかけます。
この場合も同様に、平和祈念式典の本旨を踏まえて、厳粛かつ平穏な式典を執り行いたいという長崎市の思いを御理解いただくよう記載する予定でございます。
以上が現時点の各国代表の招請等についての方針でございます。
なお、一部の国につきまして抗議活動等の不測の事態の発生などにより、厳粛かつ平穏な環境の下での式典の実施が困難になるおそれがないかということについて、国内外の情勢を考慮し、総合的にリスク判断いたしました。
もちろん、そのようなリスクはゼロではありません。
しかし、先ほど申し上げましたような、平和祈念式典としての本旨を踏まえ、全ての分断を乗り越えて、あらゆる国の代表が被爆地に集まる、そういう式典にしたい、そういう長崎市の思いを、遂げることを第一に考え、そのようなリスクを十分に考慮した上で式典を挙行することといたします。
国際社会で、分断が深刻化している今だからこそ、あらゆる国の代表の方々に長崎平和祈念式典へ参加いただき、核兵器使用の残虐で非人道的な結末について、その目で見て、その耳で聞いて、そしてその心で感じていただきたい、そういうふうに思います。
長崎市としては、厳粛かつ平穏な環境の下で式典が実施できますように、幅広い関係者の皆さまに御理解、御協力をお願いするとともに、式典参列者の手荷物検査の徹底や警備人員の増強など警備体制のさらなる強化、県警との連携強化等により、式典主催者として円滑な式典運営に万全を期してまいります。
私からの説明は以上でございます。
記者(KTN)
全ての駐日公館に送るということで、規模としては何か国ぐらいになるかという数字をまず教えてください。
鈴木市長
それでは、所管のほうから回答させていただきます。
調査課
現在、日本国内に在外公館をと考えておりますところが157か国ございますので、大使あての招請状は、この157か国に発送したいと考えているところです。
記者(KTN)
157には、例えば台湾のような地域とかも入る、国と地域ですか。
調査課
国、地域という形で外務省のホームページ上に掲載をされておる国及び地域となりますので、そのトータルを数えますと157か国になるということでございます。
記者(KTN)
ありがとうございます。それから、去年はイスラエルなど3か国に招請していない。今年するときに、この3か国との、例えば関係者なり何らかの専門家との協議みたいなものを行った上でのリスクを判断されたかどうか、まず教えてください。
鈴木市長
リスクの判断に当たっては、長崎市が独自に庁内で検討しております。
なお、先ほどの御質問に関しては、招請の対象国について申し上げますが、外務省のホームページで、駐日外国公館ということでリストがホームページにも出ております。そこに掲載されている国などということになります。国のほかに出ているのはパレスチナだけだと思います。
記者(長崎新聞)
昨年は、招請国の最終決定前に停戦交渉などの推移次第で招く可能性も残していたというところが、過程としてあったと思うんですけれども、今年はウクライナの侵攻とかガザへの戦闘も、現時点で停戦には至ってないと思うんですけれども、今回の判断に当たって、市長がこれまでよくおっしゃっている不測の事態というのは、ちょっとどうクリアされたのかというのをちょっとお聞きしたいんですけれども、先ほど警備体制を、さらなる強化して万全な式典にしたいというお話がありましたけれども、この点で不測の事態というところはクリアできるとお考えなのか、それともほかにもいろいろ検討を進めていく考えなのか、ちょっとまずそこをお聞きしたいです。
鈴木市長
先ほど申し上げましたとおり、長崎市として、あらゆる国の代表の方に式典にお集まりいただく、そのためにも、リスクを十分に考慮した上で、そして、そういうリスクを乗り越えなくてはいけないというふうに思っております。
そういう中で、先ほど申し上げましたとおり、まず幅広い関係者の皆さまに、厳粛かつ平和な環境の下で式典が実施できるよう、御理解、御協力をお願いするということでございます。
それとともに、式典参列者の手荷物検査の徹底、警備人員の増強など、警備体制のさらなる強化、そして県警との連携強化等によって、式典運営に万全を期する、そういう所存でございます。
記者(長崎新聞)
それと、昨年はイスラエルに即時停戦を求める鈴木市長名の書簡をお送りしていると思うんですけれども、今年も戦争、紛争の当事国に対して同様のメッセージを、招請状とは別途に送る考えとかはあるのかというので、今、軍事的な緊張が高まっているインド・パキスタンとかに対しても、そういった対応を取るお考えがあるのか、そこをお聞かせください。
鈴木市長
個別の国に対して、招請状をどういう内容で送るのか、それは今後の招請状、発送の時点での対応になってまいります。
記者(長崎新聞)
あともう一点なんですけれども、昨年判断のところで、広島市の判断が長崎市の判断に直接影響を及ぼすことはないというのを、昨年5月の会見でお話しされていたと思うんですけれども、今回判断するに当たって広島市とか国とは事前にやり取りとかはされていたのかというのをお聞かせください。
鈴木市長
広島市との間では、本県に限らず、本県があろうがなかろうが、既に平和行政に関して連携して取り組んでおります。特に平和首長会議については、会長、副会長ということで常に一緒になって行動させていただいております。今回のNPTの会議への対応につきましても、ワンチームとして対応しているところでございます。
そういう中で、日頃からのコミュニケーションを取る中で、広島市さんと情報共有しながら進めているところでございます。
ただ、式典の対応の判断に当たっては、あくまでも長崎市独自の、やっぱり長崎市としての判断で対応させていただいているところでございます。そういうところがまた、今回、今御説明した内容にも反映されているかと思います。
記者(西日本新聞)
先月、広島市さんが全ての国に対して案内を送るというような表現で言っていたと思うんですけど、一方、長崎市さんは招請状を送るという表現で、そういう意味では広島市さんと長崎市さんの違いというのは、あくまで招待状を送るというところは、広島市との違いというところで捉えていいのでしょうか。
鈴木市長
長崎市は従来からの招請状ということ、招待状と言っても同じだと思うんですけど、招請状を送っております。それを何か変更するということについては特段の必要性は感じておりませんので、従来どおり招請状を送ることにさせていただいております。
記者(西日本新聞)
もう一個なんですけど、確認で、大使館がない国については来日を呼びかけるということ、来るように呼びかけるということですけれども、それは案内という理解でいいのか、それは招待状ではないということなんでしょうか。
鈴木市長
今御質問のあった、要は日本に在外公館を置いていない国であって、国連代表部のある国ですね、そういう国に対しては、訪日の機会に長崎を訪問していただくということ、そういうことを呼びかけるということについて御案内するということでございます。これは招請ではございません。
記者(読売新聞)
ちょっと今の点で1点確認で、広島市さんは案内状という形で送っているんですけれども、それは出した各国の方々に出席するかどうかというのを判断してもらうという形を取っているんですけれども、長崎市さんの場合は今回その招請という、例年と変わらない形になると思うんですけれども、その出席の判断については、広島市さんとは違って、来てくださいねという形で出すということでよろしいでしょうか。
鈴木市長
長崎市としては、あくまでも従来どおり、招請するということでございます。ただ、それに当たっては、厳粛かつ平穏な環境の下での式典の実施について御理解をいただきたいということをお願いする、そういった上での招請ということになります。
記者(読売新聞)
ありがとうございます。では、招請という形になるということは、2022年以降、ロシアだったりベラルーシを呼ばなかった形だったと思うんですけど、2021年以前と同じ形に戻るという認識でよろしいですか。
鈴木市長
原則として、形式的には同様のものと考えて結構です。
ただ、先ほど申し上げましたとおり、厳粛かつ平穏な環境の下での式典を実施したいという、そういう長崎の思いを理解してほしいということ、そこをしっかりと伝えた上で調整するということでございます。
記者(読売新聞)
最後に、これは招請状を送るのはいつになる予定か。いつ招請状を送られるか。
鈴木市長
これは担当のほうからお答えいたします。
調査課
日程的なものはこれからの調整になるんですが、遅くても6月上旬には発送したいと考えておるところでございます。
記者(NHK)
今ちょっと少し出ていた話なんですけれども、改めて明確に伺いたくて、招請と、広島が招待を案内に変えたというふうなことを明確に言われておりまして、長崎市は招待のままにしていると。招待というのは、こちらから完全に来てもらうというお話で、案内というのは、あくまであちらに委ねる、あちらが出たければ出ると、そういうような区分でよろしいでしょうか。
鈴木市長
広島市がどういうふうな形で考えていらっしゃるのか、そこは私も詳細には把握しておりませんけれども、長崎市が日本に在外公館を置いている国を招待する、招請するということ、そして、そうでない国で、国連代表部を置いている国に対しては、案内を出すというふうに申し上げたのは、平和祈念式典への参加について、要は御案内を出すとか、そういう招待を出すということではなくて、何か訪日の機会に長崎に立ち寄りいただくということ、もちろん平和祈念式典のタイミングにちょうど合えば平和祈念式典に参加いただくということはあると思うんですけれども、そういう趣旨でございます。ちょっと広島市がどういう趣旨で案内と言っているかというのは、ちょっと私も詳細には把握しておりません。
記者(NHK)
重ねて、広島としては、多分向こう側に委ねていくという、こちらからやりますよということだけ、ある意味イベントとしてお知らせをして、向こうに委ねていくというニュアンスが強いと思うんですけれども、長崎としてはあくまで御招待しますというようなニュアンスとしてもちろん招請をされるという認識でよろしいでしょうか。従来どおりそれでよろしいでしょうか。
鈴木市長
基本的に招請という言葉の使い方、そして、その意味合いについては従来どおりでございます。
ただ、先ほど申し上げましたとおり、それに当たっては、平和祈念式典の本旨を踏まえて、厳粛かつ平穏な環境の下での式典が執り行われるようにという、そういう長崎の思いを理解していただきたい。そういうことを申し添えた上で招待するということでございます。
記者(NHK)
今回、全ての国と地域を、分断を超えて招待する、招請するというふうな話でしたけれども、国際情勢が何らか緩和されたということで、全く呼ぶという要素が深まったわけではなくて、今回、被爆80年でやはり式典の本旨に立ち返ったそこの意味合いが物すごく強いということでよろしいでしょうか。
鈴木市長
特段、被爆80年だからということではありません。ここは総合的に、今の状況を含めて総合的に判断した結果、そういうふうに判断させていただきました。
記者(NIB)
昨年、G7のうち、日本を除く国から書簡など来ているかと思いますが、こうした各国からの意見聴取なども今回の検討に際してされているんでしょうか。
鈴木市長
今回の判断に当たって、特段、事前に各国から意見聴取したことはございません。
記者(NIB)
重ねてお尋ねです。政府のほうに、何か意見聴取をしたり、安全上の警備体制について意見聴取をしたりとかもございませんか。
鈴木市長
政府との間では、日頃からいろんな形での情報共有はさせていただいているところでございます。そういった情報共有の結果なども踏まえながら、総合的に判断させていただいております。
記者(毎日新聞)
去年、イスラエルを招待しないということを発表したときに、冒頭でも鈴木市長がおっしゃられたように、不測の事態が発生する理念への懸念に変わりがないため呼ばないというふうになされていたと思います。
そのリスクに関しては、先ほどおっしゃっていたように、対策強化、人員を増やしたりというところを挙げていたと思うんですけれども、去年、イスラエルを呼べないことを苦渋の決断というふうにおっしゃっていて、今回対策をして呼ぶということになったと思うんですけど、それができるのでしたら去年も呼んでもよかったんじゃないかと思うんですけど、なぜ去年は呼べなかったのでしょうか。
鈴木市長
御質問ありがとうございます。去年と今年とでは状況が違うというふうに思っております。大きいのは、今年は、去年があっての今年というところもございます。
去年、さまざまな議論がございました。そういうことも踏まえての部分もありますし、それから、この1年間で国際的な分断がより深刻化しているというふうに感じております。そういうところも踏まえて、総合的に判断させていただいております。
記者(毎日新聞)
ロシアとかベラルーシの招待もたしか同じ理由というか、不測の事態が起きるリスクの懸念があるというので、これまで招待は見送っていたんですよね。そういった、それが令和2年からでしたっけ。ごめんなさい、前からある中でずっと考えられていたのでしたら、去年のそのイスラエルというのが例外ではないような気がするんですけど、その対策というのをもっと前からとることはできたんじゃないかと思うんですけれども、そこはいかがですか。
鈴木市長
対策を取ったから今回こういう判断になったというわけではありません。それだけではありません。総合的に、さまざまな状況を勘案して、今回こういう判断をさせていただいております。
対策をもちろん取っているということもありますけれども、それはごく一部の要素であって、総合的に判断しております。また、昨年判断したときと状況は異なっているというふうに思っています。
記者(西日本新聞)
招請状は式典に対してのことだと思うんですけれども、国連代表を設置している国への訪日の機会での長崎訪問に対する、こちらに関しては、全般的な要請になってくると思っています。これまでも同じようなことをしていたのかどうかというのが1点。
これも同じタイミングで発送するのか、発送方法についても教えてください。
鈴木市長
まず、これまでに同様のことをやっているかということですけど、これまで行っております。今回、先ほど申し上げましたけど、今年から新たにということでございます。
それから、長崎訪問というふうに申し上げましたけれども、当然、これは式典のタイミングに合えば式典参列もということですので、訪日の機会を利用して、式典参列、または被爆地訪問ということで訪問していただくということですので、式典訪問、式典参列ということも入っているということでございます。
それからもう一つ。
記者(西日本新聞)
招請状と同じタイミングで。
鈴木市長
タイミングは基本的に招請状と同じタイミングというふうに考えております。
記者(西日本新聞)
ちょっと広島との類似の質問が多かったと思うんですけれども、そしたら、国連代表を設置している国に対しては、広島のように通知のような認識になってくるということでよろしいですか。案内のような。来てくださいという案内になっているということか。
鈴木市長
日本に、在外公館がない国に対してはそういうことかと思います。
記者(西日本新聞)
今回、こういう判断をした理由として、去年と大きく違って国際的な分断が深刻化しているというところを一つ挙げられていたと思うんですけど、去年とどういうところが違う、具体的にどういう国際的な分断が深刻化していると思うからこういう判断ができたということになっているのか、そこ、市長の考えをお聞かせいただきたいです。
鈴木市長
御質問ありがとうございます。去年の時点でももちろん分断というのはあったと思うんですけれども、今回、NPTに参加してもそうですし、全体的な状況としても、核保有国の中でのまた分断というのがより鮮明になってきているのかなという印象はございます。そういったところを、それを総合的にまた判断させていただいております。
記者(長崎新聞)
もう一点お聞きしたいんですけれども、今回このような判断に至ったというところで、式典の本旨に立ち返ったというお話とか、さまざま理由はお話しされていたと思うんですけれども、市長はかねてより紛争当事国こそ式典に呼ぶべきとのお話をされていると思うんですけれども、そういった市長のお考えというのは今回の判断に、変わっていないというか、含まれているのかどうかというのを改めて。
鈴木市長
もちろん、紛争当事国にはぜひ被爆の実相に触れていただいて、そして、核兵器を実際に使用したらどういうふうな悲惨な、非人道的な結末が起こるのか、それをしっかり認識してもらいたいということ、そういう願いがございます。ただ、今回の招請の判断につきましては、これはそういう思いはありながらも、あくまでも、申し上げております平穏かつ厳粛な雰囲気、環境の下での式典が執り行えるかどうか、そこの判断になってまいりますので、そういう意味では、紛争当事国が来ると、例えば、抗議活動が想定されてとかというような、これはもしかしたらあるかもしれませんけれども、直接紛争当事国だから呼びたいと、そういう、それが招請方針に影響が出ているということではありません。
記者(NBC)
今日お話しいただく中で、総合的な判断ということを繰り返し御説明いただいているかと思うんですけれども、今年、全ての国を招請することができるようになった、かなったというのは、結局のところその総合的な判断の中で、特に何が大きな要因となってこれがかなったのかということを御説明いただけますでしょうか。
鈴木市長
これは何がというのは正直言って特定するのは難しいところだと思います。本当にさまざまな要素が絡んでおりますので、そういう中で総合的に判断させていただきました。
記者(朝日新聞)
時間が迫っているので、単刀直入に聞きますけれども、これはいつ決めたんですか、最終的な判断は。
鈴木市長
御質問ありがとうございます。大体の方針は、もう先月の時点で決めておりました。大まかなところはですね。
記者(朝日新聞)
それで、NPTの海外出張とかもされてきて、最終的に決めたというのは、何か出来事、これがあったから決めた、いつ決めたというのは、具体的な時期というのはありますか。
鈴木市長
これがあったから、この出来事があったから決めたとかというような、そういう動機づけになるような出来事はございません。そこはもうこれまでの現在の状況を総合的に判断し、検討し、そして、庁内でも議論する中で決めた結果でございます。
記者(朝日新聞)
あと、実際に各国の大使がいらっしゃるわけですけれども、現時点でどういったことを訴えていきたいかということを、もう少し踏み込んで教えていただけますか。
鈴木市長
先ほど来申し上げましたとおり、実際に核兵器が人間に対して使用されるとどういう悲惨で非人道的な結末が起こるのか、それをこの被爆地長崎を訪れて、そして、平和祈念式典に参列いただいて、その上でその目で見てその耳で聞いて、そして、その心で感じていただきたいというふうに思っています。
記者(長崎新聞)
1点確認なんですけれども、冒頭の御説明で、昨年、一部の国の招待を見合わせた結果、さまざまな議論があったと。このさまざまな議論というのは、イスラエルを招かなかったことに対するG7とかEUの大使が出席しなかったことというふうに理解してよろしいでしょうか。
鈴木市長
そういうG7諸国から書簡をいただいておりますけれども、そこで主張されているような御意見もその一つであると思いますし、逆に、長崎市の判断を支持するというような御意見もございました。
また、その指示するという御意見もいろんな観点の御意見があって、私のなぜそれらの国を招待しなかったのかということに関して、その理由が必ずしも十分に伝わっていないなという上での御意見もありましたし、本当にさまざまだなというふうに思いました。でも、そういう中で改めて、国際社会の分断といいますか、そういうところがちょっと現れていたなというふうに思っています。
記者(長崎新聞)
ありがとうございます。すみません、今の賛成意見というのは、メールで長崎市に数千件の意見が寄せられた中のそういう賛成意見とか、そういうのも含めてということでよろしいでしょうか。
鈴木市長
それも含まれております。