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※PDFデータはこちら ☞施政方針(令和8年2月) (PDFファイル/1.44MB)
九州新幹線西九州ルートの暫定開業をはじめ、出島メッセ長崎や新しい長崎駅舎、駅ビルの誕生、これまで長崎になかったグレードの外資系ホテルの進出のほか、長崎スタジアムシティの開業などに象徴されるように、「100年に一度」と言われる大きなまちの変革が進むなか、長崎のまちに新たな賑わいや活気が生まれています。また、最近のV・ファーレン長崎と長崎ヴェルカの活躍も、長崎の人々の熱量を押し上げる一助となっています。
このようなまちの変革が及ぼす効果は、市民や企業の行動に好影響を与え、消費の活性化や企業投資、雇用の創出などにつながり、地域経済にとって大きなプラスに働いています。
その結果、交流人口の拡大や転出超過の改善など、長崎のまちが未来に向かって成長していくうえでの明るい兆しも表れてきました。
昨年、世界的に人気のある位置情報ゲーム「ポケモンGO」の国内最大級イベントの開催地として選定され、3日間で42万人が長崎の魅力を体験したことは、交流人口の拡大を象徴する出来事でした。さらに、今年に入り、世界有数の新聞「ニューヨークタイムズ」で、「2026年に行くべき52か所」の一つとして取り上げられるなど、これまでの平和の発信やまちづくりの取組みが世界からも高く評価されています。
まさに「Where there is a will, there is a way. 志あるところに道は開ける」。長崎がこれまで積み重ねてきた取組みが、確かな変化として実を結びつつあります。
私は、市長就任以来、人口減少対策に係る重点プロジェクトとして、「経済再生」と「少子化対策」の分野に注力するとともに、これらの基盤づくりとしての「新市役所創造」を推進してきました。
長崎市への訪問客数は直近では令和6年に654万人を超え、旅行消費額は2,130億円に達しました。令和5年から訪問客数は7.4%、旅行消費額は19.2%増加しています。また、この2年余りで新たに16社の企業を誘致したほか、事業者における人材確保や職場環境改善への支援を進めるとともに、造船や洋上風力など長崎の強みを活かす成長分野への支援を強化し、地域経済の安定的な成長基盤の構築に取り組んできました。
さらに、保育所等を同時利用する場合の第2子以降の保育料無償化や、病児・病後児保育受入施設の拡大など、子育て支援も着実に拡充してきました。
こうした中で、社会動態は年々改善しており、令和4年に1,530人であった転出超過は、令和7年には728人となるなど、改善の動きが顕在化しています。
一方、人口減少に伴う経済縮小や担い手不足などへの対応は、依然として喫緊の課題です。物価高騰や長崎市の厳しい財政状況も続いており、取り巻く状況は決して楽観できるものではありません。だからこそ、いま得ている変化の勢いを、一時的なものに終わらせることなく、持続可能な成長につなげていく必要があります。
そのためには、未来への投資が不可欠です。厳しい財政状況の中であっても、成長分野への戦略的な投資、そして未来を担う子どもたちや子育て世帯への支援などに、しっかりと取り組んでいきます。
ここ長崎には、困難を乗り越え、未来を切り開いてきた力があります。失敗をおそれず、挑戦する姿勢を貫き、重点プロジェクトを着実に推し進めることで、「住んでよし、育ててよし、訪れてよし」と思っていただけるまちをめざします。市民の皆様、市議会の皆様をはじめ、長崎に関わるすべての皆様とともに「オール長崎」、そして「ワンチーム」で、長崎の未来を力強く切り開いていきます。
令和8年度においては、歳入の面で、個人市民税の増などによって市税の増加が見込まれる一方、普通交付税については、人口減少の影響等により、交付額の減少を見込んでいます。
歳出の面では、扶助費において、障害福祉サービスの利用増加に伴う給付費や、公定価格の引上げなどによる認定こども園等への施設型給付費の増加を見込んでいます。さらに、新東工場建設事業や公共施設等LED化事業などの実施により、投資的経費は高い水準となることに加え、公債費においても、金利上昇に伴う利子負担の増加を見込んでいるところです。
この結果として、多額の収支不足が生じることから、戦略的に収支改善を図る額を、昨年度の5億円から10億円に引き上げたうえで予算編成を行うこととしました。
具体的には、すべての事務事業について、事業の優先順位を見極めるため、全庁一丸となってゼロベースでの抜本的な見直しを行うとともに、投資的経費については、事業費の総量抑制を図りながら、事業時期の平準化を図るなど、これまでにないレベルで踏み込んだ収支改善に取り組みました。
それでもなお多額の基金を繰り入れた予算編成となっており、依然として極めて厳しい財政状況にあると考えています。
このような中においても、限られた財源を市民の皆様が効果を実感できる施策に重点的に配分するなど、優先順位を踏まえた予算編成としたところです。
人口減少対策を戦略的に展開するために令和6年2月に策定した重点プロジェクトアクションプランに基づき、これまで具体的な取組みを着実に進めてきました。政策実現会議や庁内のプロジェクトチームでの議論を重ね、「Plan(計画を立て)、Do(実行し)、Check(その結果を検証し)、Act(必要な改善につなげる)」という PDCA のサイクルを意識して実行してきました。
令和8年度は、重点プロジェクトアクションプランの最終年度です。「サステナブル」「デジタル」「グローバル」の3つのキーワードと、これまでの取組み状況や成果などを踏まえつつ、新たに必要な取組みにも着手するなどして、具体的な成果につながるよう、力を入れて進めていきます。
経済再生プロジェクトでは、「稼ぐ」視点と「人材の確保・育成」の視点を持って、「交流拡大」、「地場産業支援」、「新たな産業の創出」の3つを重点テーマとして取組みを進めています。
1つ目のテーマである「交流拡大」は、経済再生プロジェクトの中でも、比較的少ない投資で短期間に成果を上げやすい、即効性の高い取組みです。訪日外国人旅行者1人当たりの旅行消費額は、定住人口1人当たりの年間消費額の約6分の1に相当するとされています。このため、交流の拡大には、定住人口減少による経済の縮小を補う効果も期待されます。
これまで、長崎スタジアムシティの開業に合わせた情報発信や回遊促進に取り組むとともに、多言語対応ガイドの育成、多言語通訳システムを活用した観光案内機能の強化、民間交通事業者におけるタッチ決済導入の支援など、受入体制の充実を図ってきました。また、長崎ならではの地域資源を活かした付加価値の高い旅行商品の造成や、被爆80周年及び大阪・関西万博を契機とした広域プロモーションを展開するなど、誘客強化にも取り組んだ結果、訪問客数や旅行消費額は増加しています。
一方、原材料高や賃上げの進行によって事業者の収益環境は依然として厳しく、サービス向上や高付加価値化に向けた投資が進みにくい傾向にあります。こうした背景もあり、観光客の滞在日数や消費単価の伸びが十分ではありません。
そこで、令和8年度は、観光客が市内をより深く、より長く楽しめる環境づくりを進めることで、観光産業全体の収益力向上につなげていきます。
まず、「受入体制の充実」を図る取組みとして、
また、地域資源を活かした「高付加価値化による消費単価の向上」を図る取組みとして、
2つ目のテーマである、「地場産業支援」においては、商店街等のイベント造成、店舗出店、集客力向上などを支援し、商店街の賑わい創出を図ってきました。また、企業と連携した奨学金返還支援や、女性が働きやすい職場環境への改善に対する支援など、中小企業の人材確保を後押ししてきました。
一方、中小企業は、未だ人手不足の状況にあり、人件費や原材料価格の高騰による影響を受けるなど、厳しい経営状況が続いています。
そこで、令和8年度は、生産性向上や働きやすい環境の整備を促進することで、人材の確保や定着による人手不足解消と成長投資による好循環につなげ、稼ぐ力の基盤を強化します。
まず、「人手不足対策」に係る取組みとして、
また、「交流拡大を捉えた稼ぐ力の向上」を図る取組みとして、
次に、水産業や農業における担い手不足や労働力不足に対応し、持続可能性を高めていくための「都市型水産業・農業の推進」に係る取組みとして、
3つ目のテーマである「新たな産業の創出」においては、イノベーションやスタートアップを推進するため、起業家コミュニティの醸成を図るなど、新規事業の創出を支援してきました。また、地場企業の新たな投資を後押しすることで、成長産業分野の育成を図ってきました。
一方、資金面や人材面に課題もある中で、新規事業や成長分野への挑戦に踏み出す地場企業は依然として多くはなく、また、将来の成長に向けた投資も後回しになる傾向があります。
そこで、令和8年度は、企業が積極的に挑戦できる環境を整備し、設備投資への支援などを強化することで、新産業の創出と企業の投資マインドの向上を図ります。
まず、「イノベーションを牽引する、プロジェクトやスタートアップの創出」を図る取組みとして、
次に、「成長分野の強化」を図る取組みとして、
少子化対策プロジェクトは、「独身期」「結婚期」「妊娠・出産期」「子育て期」という各ライフステージで、きめ細やかなサポートを行っていくという基本的な考え方に従って、年々取組みを充実させながら進めています。
まず、「独身期」及び「結婚期」においては、出会いの場の創出や、交際・結婚に対する意識の向上を図る取組みを強化しています。また、「妊娠・出産期」においては、産後の心身の不調や育児不安の軽減を図るため、産後ケアの充実に取り組んでいます。そして、「子育て期」においては、子育て家庭の経済的な負担軽減のため、保育所等を同時利用する場合の第2子以降の保育料無償化を実施しているほか、すべてのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な生育環境を整備するため、全国に先駆けて「こども誰でも通園制度」に取り組みました。
こうした取組みを進めるなか、長崎市の人口は、死亡者数の増加によって自然減は依然として拡大している状況ではありますが、出生数の減少幅には改善の傾向が見られます。
自然減対策は、すぐに目に見えるような成果が発現しにくいものであるため、適宜施策の効果を検証しながら、中・長期的な視点をもって取り組むことが重要です。
令和8年度も、引き続きライフステージに応じたきめ細やかな施策を展開し、市民の皆さんに子育てのしやすさを実感してもらえるように取組みを進めます。
まず「妊娠・出産を応援する取組み」として、
次に、「子育てしやすい環境づくり」として、子育て家庭の経済的負担を軽減するため、
また、安心して子育てできる環境を整える取組みとして、
また、「長崎ならではの教育の充実」に関しては、
新市役所創造プロジェクトでは、時代の流れにあった行財政運営を行うため、令和6年度に「第2期行政経営プラン」及び「人事戦略」を策定し、その取組みを進めているところです。「第2期行政経営プラン」では、人員目標と財政目標を設定し、取組みを強力に推進することで、効率的で効果的な行政体制の構築及び健全な財政基盤の確立を図っています。また、「人事戦略」では、職員の確保・育成と組織の生産性向上を通じて、市民サービスの質の向上を図っています。時代の変化に対応した持続可能な市役所となるよう、令和8年度も引き続きアクションプランに掲げる2つの重点テーマに沿って、次の取組みを推進します。
1つ⽬の重点テーマ「市役所を担うひとづくり」では、
まず、「人材育成」に係る取組みとして、
次に、「人材活用」に係る取組みとして、
2つ⽬の重点テーマ「時代にあった市役所経営」では、
まず、「市民サービスの最適化」に係る取組みとして、
また、「財政運営の健全化」に係る更なる歳入確保の取組みとして、
人口減少や少子高齢化は、地域経済の縮小や各種産業の担い手不足、地域コミュニティの希薄化、地方行財政運営への悪影響など、市民生活の多くの分野に深刻な影響を及ぼしています。このため、今年2月に策定した「長崎まちづくりのグランドデザイン2050」に示す今後のまちづくりの方向性を、市民、事業者、行政など多様な関係者と共有し、それぞれの強みや主体性を生かしながら、豊かな暮らしの実現や新たな交流を生み出すまちづくりを進めていきます。
併せて、経済活動の効率化、地域の活性化、生活サービス水準の維持向上、環境負荷の低減、そして健全な行財政運営を可能とする都市構造の実現をめざします。
そこで、暮らしと交通の結節を強化し、効率的で持続可能なまちの骨格の形成を推進する取組みとして、
また、誰もが安全安心に暮らし続けられるよう、市民の命と暮らしを守るための取組みも欠かせません。近年の激甚化・頻発化する気象災害などへの備えとして、自助・共助・公助が一体となった地域防災力の向上が一層求められています。
そのため、防災・消防体制を強化する取組みとして、
また、市民に対し質の高い医療を安全かつ安定的に提供し、市民の生命及び健康を守る取組みとして、
また、学校における熱中症対策や、災害による避難時の生活環境の向上が求められるなか、児童・生徒の教育環境の改善と避難所機能の強化を図る取組みとして、
安全安心な暮らしのためには、非常時だけでなく、日常生活の中で支え合える地域づくりも必要です。
高齢者や障害のある方をはじめとした、支援を必要とする方々を、地域の多様な主体がつながって支える地域共生社会の実現に向けた取組みとして、
また、文化・芸術やスポーツの振興は、社会参加と交流の機会を創出することから、地域共生社会の実現に向けて効果的に機能するほか、日々の生活を彩り、地域の活力と誇りを育むことで、市民の暮らしを豊かにします。
そこで、文化・芸術やスポーツの振興に係る取組みとして、
文化・芸術やスポーツの振興は、平和であるからこそ実現できます。このため、長崎市では「平和の文化」を推進してきました。平和は、私たちの暮らしの根底を支えるものであり、平和なくして、地域の持続可能性を語ることはできません。
私は、令和7年の長崎平和宣言において、「被爆80年にあたり、長崎の使命として、世界中で受け継ぐべき人類共通の遺産である『被爆の記憶を国内外に伝え続ける』決意」を表明しました。
この決意を実現する取組みとして、
今、人類滅亡までの残り時間を表す「終末時計」は昨年から4秒進み、過去最短の「85秒」を示すなど、国際情勢は極めて緊迫した状況に陥っています。
こうしたなか、核兵器廃絶への動きを大きく後押しする取組みとして、
こうした取組みを積み重ね、「長崎を最後の被爆地に」するために、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くしていきます。
以上、申し述べました⽅針に基づいて編成した令和8年度予算は、
⼀般会計 2,275億6,000万円
特別会計 1,135億4,023万円
企業会計 364億8,184万7千円
合 計 3,775億8,207万7千円
となっています。
今後とも、市⺠の皆様並びに議員各位の⼤いなるご⽀援とご協⼒を賜りますよう⼼からお願い申し上げまして、令和8年度の施政⽅針といたします。