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市長記者会見(臨時)【2025年8月1日】

ページID:0062649 更新日:2025年8月1日更新 印刷ページ表示

市長記者会見(臨時)

1.日時

令和7年8月1日(金曜日) 午前11時30分~12時00分

▶会見の様子(YouTube動画)はこちら<外部リンク>

2.市長発表・質疑応答

市長発表

長崎平和宣言文の骨子について

3.会見録​

市長発表

長崎平和宣言文の骨子について

鈴木市長

皆さま、お忙しい中、また暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。

それでは、早速でございますが、令和7年平和宣言の骨子について御説明いたします。

宣言文につきましては、起草委員会の委員の皆さまからも多くの貴重な御意見をいただいたところでございまして、慎重に検討してまいりました。

今年の平和宣言の起草に当たりましては、被爆から80年、核戦争の危機が高まる今、人種や国境を越えた「地球市民」の観点こそが分断を乗り越える原動力になるということを世界中の人たちに訴えたいというふうに考えました。

その上で、市民社会には対話や交流による信頼情勢と連帯を、各国の指導者には80年前に国連を創設したときの原点に立ち返り、多国間主義と法の支配の再建、そして、核兵器廃絶への具体的道筋を示すことを求めるとともに、被爆80年に当たり、長崎は被爆地の使命として被爆の記憶を伝え続け、核兵器廃絶への決意を表明するものにしたいと考え、宣言文を起草いたしました。

それでは、宣言文の流れに沿って、その骨子を御説明いたします。

まず冒頭で、即時停戦の訴えと核戦争に突入することへの危機感を表明いたします。

次に、被爆者の故・山口仙二さんの演説を引用し、核兵器の非人道性と再び被爆者をつくるなと訴えた被爆者の心からの叫びを共有した上で、日本被団協のノーベル平和賞受賞に言及し、世界中の人たちに「地球市民」の視点に立った行動の重要性を投げかけます。

その上で、市民社会に対して「地球市民」として行動し、対話、共感、信頼を土台に平和をつくる力に変えていくことを呼び掛けます。

次に、全ての国の指導者に対し、同じように「地球市民」として多国間主義及び法の支配の再建と、来年開催のNPT再検討会議で核兵器廃絶の具体的道筋を示すよう要請いたします。

また、日本政府に対しては、憲法の平和の理念と非核三原則の堅持、そして、核兵器禁止条約への署名・批准、核抑止に頼らない安全保障政策に向けたリーダーシップの要請、被爆者援護の充実と被爆体験者救済を強く求めます。

最後に、原爆犠牲者と全ての戦争犠牲者への哀悼の誠をささげるとともに、被爆80年に当たり、被爆地の使命として被爆の記憶を伝え続け、「地球市民」と連帯しながら核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くす決意を宣言して、結びの言葉とさせていただきます。

なお、平和宣言の発信につきましては、10か国語に翻訳して、市のホームページに掲載し、広く世界に向けて発信いたします。

質疑応答

長崎平和宣言について1

記者(長崎新聞)

平和宣言文の骨子について、市長は今、即時停戦の訴えと核戦争突入への危機感を表明されると御説明されましたが、ウクライナや中東情勢を踏まえて、具体的な紛争当事国など、そういう具体名に触れるお考えはあるのでしょうか。触れないのであれば、どういった理由なのかをちょっと改めてお聞きしたいです。

鈴木市長

具体的な国名の言及についての御質問でございますけれども、平和宣言文の起草委員会におきましても、委員の皆さまからさまざまな意見がございました。中に、国名を出すべきではないかという意見もございましたけれども、その一方で、国名を挙げて敵国のように扱うことが分断と対立を生むのではないかという御意見もありました。あるいは、国名を名指しすることで、今回、宣言文で訴えたいとしております「地球市民」の精神、すなわち、人種、国境などの垣根を越えて「地球市民」の視点で考えようということ、それと相いれなくなるんではないかというような意見もございました。

さらには、訴える先がどこまでなのかということですね。つまり、紛争当事国ってどこまでなのかと。指導者なのか、国民なのか、戦闘を支持している国の人たちも含むのかといった、そういった意見も出されたところでございます。

さらに、紛争地域が現在、さまざま広がっております。当事国も拡大している中で、日々刻々と情勢は替わってきております。そういう中で、具体的な国名を網羅的に挙げるのは難しいと考えておりまして、仮に列挙したとして、列挙した当事国に漏れた国は、自分は関係ないなと他人事と捉えると、自分事とは受け止めないということも想定されます。そういったことも考え、国際社会全体として対立と分断が深刻化している現状を訴える必要があるというふうに考え、今回は具体的な国名の言及は行っておりません。

記者(長崎新聞)

今の点について、ちょっと重ねてお聞きしたいんですけれども、市長は今、当事者意識のことでおっしゃっていたんですけれども、起草委員会でもたびたび当事者意識の重要性を語られていました。具体的な国名を入れると、そうでない国が当事者意識を持たない可能性というのをお話しされていたと思うんですけれども、逆に具体的な国名がないと誰も当事者意識を持てないという考え方もできると思うんですが、その点についてどうお考えでしょうか。

鈴木市長

大切なのは、それぞれの当事者、関係者に認識してもらうということでございます。大切なのは、行為を特定する、紛争という行為ですね。だから、紛争をやめるということであれば、それは紛争を行っている国は当然当事者という認識を持つものというふうに考えております。

長崎平和宣言について2

記者(読売新聞)

改めて、被爆80年で被爆者なき時代が近づく今、市長として今回の宣言について、どのような思いを秘めたのかを伺ってよろしいでしょうか。

鈴木市長

被爆から80年を迎える今年、今も話にありましたような、世界で武力衝突に関する報道も相次いでおります。国際社会の対立はいっそう深まっている状況でございます。そういう中で、一方で、被爆者の皆さんの高齢化も進んでおります。被爆者の平均年齢86歳を超える状況でございます。被爆80年の今だからこそ世界の皆さんと共有しなければいけない、そういったことを伝えたいというふうに思っております。

特に、今回の80年という周年でございますけれども、10年後の被爆90年になると、自らの体験を語れるような、そういう被爆者は極めて少なくなっているというふうに思います。したがって、今回改めてこれまで80年の間、血の滲むような努力で被爆の実相と平和の尊さをたゆむことなく訴えてきた被爆者の皆さんの思いと行動に光を当てることに特に心を配りました。

その上で、被爆80年、核戦争の危機が高まっている今、私たち一人一人が被爆者のように、人種や国境などを超えた地球市民の視点に立って行動することで平和をつくっていくことを呼び掛けるということ、そして、被爆者の思いをしっかりと未来につないでいく決意をお示しするということ、これに心がけております。

長崎平和宣言について3

記者(毎日新聞)

被爆80年のこの節目の平和宣言文で、山口仙二さんの演説を引用する理由を教えてください。

鈴木市長

これまでも被爆者の言葉を引用させていただいているところでございます。特に現在、先ほども申し上げたような核戦争に突入するかもしれない、そういう強い危機感を持つ中で、いま一度被爆の実相、あるいは核兵器による惨禍を身をもって体験した被爆者の思いをしっかり伝える必要があるというふうに感じております。

そういう中で、山口仙二さんは長崎再挙の結成に御尽力されて、長崎の栄誉市民でもございます。日本被団協の代表委員も務められておりまして、核兵器廃絶に向けた活動を長年にわたり牽引してこられました。

特に山口仙二さんは、国連において、被爆者として初めて演説を行った方でもございます。山口さんの言葉には、被爆直後の凄惨な光景だけではなく、被爆者が世界に核兵器廃絶を訴える原点となった力強いメッセージが込められているというふうに考えておりまして、今年のテーマにふさわしい内容であると感じて山口仙二さんの言葉を取り入れた次第でございます。

記者(毎日新聞)

ありがとうございます。それに付随してなんですけれども、今回の演説も、今おっしゃられた国連演説を引用されるという理解でよろしいでしょうか。

鈴木市長

具体的などの部分かということについては、現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

記者(毎日新聞)

国連というのも難しいということですかね。

鈴木市長

はい、それも含めて、すみません、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

長崎平和宣言について4

記者(長崎新聞)

先ほど宣言の中に、具体的な国名を上げないというふうなお話がありました。その理由について、起草委員から敵国のように上げてしまうと分断を生むんじゃないかですとか、地球市民の考え方と相入れないというふうな意見もあったとおっしゃっていました。これは起草委員会の第1回から第3回の会合の中で出た発言だったでしょうか。私も記憶があまり今、後でまた確認をしようと思うんですけれども、そこを教えてください。

鈴木市長

具体的には、4月5日に開催しました第3回の平和宣言文起草委員会における意見でございます。

記者(長崎新聞)

一方で、国名を上げないことに関連して、やはりインパクトがないんじゃないかとか、そういった声も複数あったかと思いますけれども、そういうメッセージが弱まるんじゃないかというふうな意見に対しては、どのようにお考えでしょうか。

鈴木市長

具体的な国名に言及することはメリット、デメリット、両面あると思いますけれども、先ほども申し上げたような、具体的な国名を上げることによるデメリットを考慮いたしまして、今回このように具体的な国名を網羅的に上げるということ、あるいは例示的に上げるということを差し控えさせていただきました。

長崎平和宣言について5

記者(長崎新聞)

分かりました、ありがとうございます。この宣言を聞かれる人たちの中に、その場で会場で聞かれる人の中には、多くの各国地域から参加される大使の方もいらっしゃると思います。今年は全ての国、地域が参列できるような形での形式にされていると思います。過去最多になる見込みというのも先日発表があったかと思いますけれども、今回改めて、各国地域の大使、代表者の方が式典に参列される意義について、過去数年、いろいろな紆余曲折もありましたけれども、そういった点も含めて、改めてこの参列の意義について市長の考えを教えてください。

鈴木市長

今回、多くの大使など、各国地域の代表が参加されるということ、これはこれまで長崎が訴え続けてきた核兵器廃絶、そして、平和への思い、これが通じてきたのかなというふうに思います。今回、被爆80周年という節目でもございます。改めて現在、ともすれば核戦争に突入しかねない、そういう状況の中で、いま一度、まず、被爆の実相について、しっかりと認識してもらう、思いを新たにしてもらう、その上で、核兵器は決してこの世にあってはならないものなんだということ、これをしっかりと参列された方々、そして、世界中の皆さま方と共有できるようにしたいというふうに思っております。

長崎平和宣言について6

記者(毎日新聞)

被爆体験者の救済の要請というのが骨子に書いてありますが、当日、被爆体験者の方が首相と会われるかどうか、それは骨子に関連すると思うので、教えてください。

鈴木市長

被爆体験者団体の皆さまから、首相要望の場に出席したいという御要望をいただいているところでございます。

昨年の要望の会は、直接、総理に要望する大変貴重な機会になっております。今年も要望の会に出席したいという被爆体験者の思い、私も岩永千代子さんから直接お手紙をいただくなど、いろいろその切実な思いを伺っているところでございます。その思いを国にもぜひ酌み取っていただけるように、市としても、これまであらゆる機会を通じて国へ要望を伝えてきたところでございますが、現時点で決まっていない状況でございます。

記者(毎日新聞)

もうあと8日しかないという中で、御本人たちも準備とか、御高齢だから体調とか、もし会うのであればいろんな心づもりとか準備も必要かと思うんですが、なぜこんな直前まで結論が出ないのか、どういう状況なのかをすごく御心配されていると思うんですが、その辺についてはどうでしょうか。

鈴木市長

我々としても、本当にできるだけ早くその結果はいただきたいということで、国にもお伝えしているところでございまして、現在、国からの回答をお待ちしているところでございます。

長崎平和宣言について7

記者(西日本新聞)

骨子の質問で、答えていただけるか分からないんですけれども、前回の会合の中で一番、1回目と2回目の中で、議論の中心にもなっていた、「長崎を最後の被爆地に」というメッセージだったり、「核のタブー」というワードがなくなっていたということで議論があったと思うんですけれども、今回の平和宣言文では、そちらのキーワードは入っているんでしょうか。

鈴木市長

まず、「長崎を最後の被爆地に」という言葉、これは本当に複数の委員の皆さまからもお話がありまして、そして、一応意味としては入っている部分もあったんですけれども、鍵括弧つきで、「長崎を最後の被爆地に」という形のものではない案を委員の皆さまにお示ししたところでございます。

その後、やはり重要な、これまでの長崎の本当、旗印でもございますので、そういうことも踏まえて、重要なフレーズということで、何らかの形で盛り込むということにしております。

記者(NBC)

今のに付随して同じ質問だったんですけれども、「核のタブー」であったりとか、「被爆80年」という言葉に関しても、今回は盛り込んでいらっしゃるんでしょうか。

鈴木市長

被爆80年ということについて、いろんな形で出ておりますが、「核のタブー」という言葉そのものについては、今回直接の言及はございません。ただ、当然そういう中身、内容については触れております。

記者(朝日新聞)

今の質問に関連して、「長崎を最後の被爆地に」という言葉はそのまま入っているということでよろしいんでしょうか。

鈴木市長

詳細は控えさせていただきますけれども、ほぼもうそのままと考えていただいて結構だと思います。

長崎平和宣言について8

記者(長崎新聞)

平和宣言文全体についての御質問なんですけれども、最近、イランの核施設攻撃を巡って米国のトランプ大統領が原爆投下を引き合いに、攻撃を正当化する発言をしたりとか、一方、国内でも、先日の参院選の期間中に、政党の候補者が、核武装は最も安上がりだという発言をしたことでいろいろな意見がある中で、こうした状況を踏まえて、改めて、市長の平和宣言に対する思いをお尋ねしたいです。

鈴木市長

いかなる理由であったとしても、核兵器の保有を肯定するようなそういう主張、これは原爆の、ましてや使用を肯定する主張は当然のことでございますけれども、そういった主張は原爆の惨禍を経験した被爆地として、断じて容認できません。もちろん、非核三原則が我が国の国是であること、これはもう言うまでもないことでございます。

今、一たび核戦争が勃発すれば人類滅亡につながりかねません。このような核兵器の恐ろしさ、残虐さ、非人道性を身をもって体験したのが被爆者でございます。被爆者の皆さんが、自らのつらく苦痛に満ちた体験を、この80年間、諦めることなく世界へ訴え続けてきたこと、これで核のタブー、つまり核兵器使用は道徳的に許容されないという国際的規範が確立されたところでございます。そして、これが昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞した理由になっております。

しかし現在、世界では核の脅威が高まり、この核のタブーが危機に瀕している状況にございます。今、御指摘のような発言でございますけれども、被爆者の皆さんの血の滲むような努力で確立した核のタブーが、世界においても、そしてこの被爆国、日本においても揺らぎ始めているということを示しておりまして、強い危機感を覚えます。

長崎平和宣言について9

記者(長崎新聞)

1点だけお尋ねします。

骨子の中に「日本被団協ノーベル平和賞受賞の言及」とありますけれども、この言及というのは、被団協がノーベル平和賞を受賞したという程度なのか、それともその受賞の、例えば、どういうところまで踏み込んで、どういう要素について言及しているのかということを教えてください。

鈴木市長

詳細については控えさせていただきますけれども、単に受賞したというだけではないということだけお伝えしたいと思います。

原爆資料館の展示更新について

記者(朝日新聞)

すみません、今回の平和宣言と直接関係ないからちょっと恐縮なんですけれども、原爆資料館の関係で1点お尋ねです。

平和宣言で言えば、この原爆資料館が1996年に開館した前後の平和宣言とかには、アジア太平洋諸国への加害の歴史を直視しとかというそういう文言もあって、また、そういった理念みたいなものを踏まえたものが今現在の資料館の展示になっているという部分もあると思うんですが、質問というのが、今回、市長としてのスタンスとして、これまで本島さんとか伊藤一長さんのそういった理念みたいなものが、今後の展示を含めて引き継いでいくというか、その辺りの市長のスタンスというところを、もしあれば教えていただきたいと思うんですけれども。

鈴木市長

原爆資料館の展示のリニューアルでございますけれども、これまでに基本計画、基本設計、そして今年度は実施設計の策定を進めております。

基本計画におきましても、戦争には被害と加害の両方の側面があるため、一面からではなく多面的な、多角的な視点から考えることができるよう、客観的事実に基づいた展示とするということを展示更新の方針として記載しているところでございます。

そういった方針も踏まえながら、運営審議会の皆さまの御意見を伺いながら、具体的な展示内容について慎重に検討していきたいと思います。

記者(朝日新聞)

ありがとうございます。その基本計画の内容も理解していた上での質問だったので、だから、平和宣言とかで過去にこれまで市長がそういう思いを持って発信されていましたけど、そこをあえて御自身としてもそういうところも何か反映させていくとかという、今のそのお考えとしては、直接言及できないという感じですかね。

鈴木市長

はい。今申し上げましたとおり、本当、多角的な視点から考えるということが重要でございますので、そういったことを踏まえながらのものになっております。

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