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議長、各国政府代表の皆様、市民グループのリーダーの皆様、私は、長崎市長の鈴木史朗です。
まず、ローマ教皇フランシスコ台下のご逝去を悼み、心より哀悼の意を表するとともに、教皇の多大なる御功績に深甚なる敬意を表します。
フランシスコ教皇は、2019年に長崎・広島を訪れた際に、「核兵器は、今日の国際的また国家の安全保障への脅威に関して私たちを守ってくれるものではない」「戦争のために原子力を使用することは、現代において、犯罪以外の何ものでもありません」と力強く訴えられました。
そして長崎市のことを「核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人である町」とおっしゃいました。
今から80年前、原子雲の下で一瞬にして焼き尽くされた街並み。がれきの中に散乱する黒焦げの亡骸。黒焦げの子どもの傍らで、茫然と立ちすくむ母親。皮膚が垂れ下がりながらも、家族を探し、さ迷い歩く人々。まるで地獄絵のような光景が広がっていました。
また原爆が、通常の爆弾と違うのは、目に見えない放射線による被害です。放射線は、身体の細胞を蝕み続け、数年後、数十年後に白血病やがんなどの後障害を引き起こしました。未だ発症していない被爆者も、いつ発症するのかわからない不安や恐怖を抱えながら生きているのです。
「核兵器は、人間らしく死ぬことも生きることも許さない絶対悪の兵器であり、決して人類と共存できない」。
被爆者の実体験に裏付けられたこの言葉は、今年、人類滅亡までの残り時間を示す「終末時計」が過去最短の89秒と発表されたことに象徴されるように、リスクが高まっている今だからこそ、より一層重みを増しているのではないでしょうか。
私は戦争被爆地の代表として、強い確信を持って訴えます。
「核兵器は絶対に使ってはならない。人類が核兵器のリスクから免れるための唯一の手段は「廃絶」しかないのだ」と。
全締約国の皆さん、核軍縮・不拡散体制の礎石であるNPT体制を堅持し、第6条で定める誠実に核軍縮交渉を行う義務を履行すること、NPTの約束の一つである核軍縮の不可逆性を遵守すること、ひいては核兵器の全廃に向けて努力することを強く求めます。
中でも核超大国である米露におかれては、来年2月に失効を迎える新START条約の後継条約の締結に向け、一刻も早く行動することを強く要請します。
結びに、「長崎を最後の戦争被爆地に」という言葉を皆さんと共有し、私のスピーチを終わります。ご清聴ありがとうございました。