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5月21日、ヨルダン川西岸地区で、イスラエルが日本人を含む外交団に射撃を行ったと聞きました。長崎市は、今年の平和祈念式典には、昨年招待を見送ったイスラエルやロシアを含むすべての国を招待すると決めたそうですが、イスラエルの招待は取りやめにしてください。昨年の決定の理由は、イスラエルがパレスチナで非人道的な軍事攻撃を行ったことが平和を希求する長崎の姿勢に反するものだったということだと思います。今年はそのようなイスラエルの代表にも核兵器の非人道性を知ってほしいという願いからの招待だと思いますが、今回の事件は、戦闘当事者ではない第三国の外交官に対する暴力であり許されないことです。ましてや日本の外交官も標的にされたという事実は、外交官は日本国を代表する存在ですので、これはイスラエル政府が日本国に対して直接的な攻撃を加えたことと同等です。これまでの非人道的行為とは全く別次元のものです。日本人外交官に対してイスラエル軍が銃撃を加えたという事実にもかかわらず、もし長崎市が公式にイスラエルを招待するならば、イスラエル政府による日本国および日本国民への攻撃を長崎市が容認したということになります。ぜひ、イスラエルの招待を撤回されるようお願い致します。
御意見いただき、ありがとうございます。
長崎市は、これまで世界へ向けて、被爆の実相を発信し、核兵器の非人道性を訴え、長崎が最後の被爆地であり続けるために、「核兵器のない世界」の実現に向けて全力で取り組んできました。そうした中で、世界のできるだけ多くの人々が長崎を訪れ、被爆の実相に触れていただきたいと考えています。
そして、長崎に原爆が投下された8月9日には、原爆犠牲者を慰霊するとともに、世界恒久平和を祈念するため、長崎市主催で長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を挙行しています。
長崎市としては、より多くの各国代表の方に式典へ参列頂き、原爆被爆の実相に直接触れ、世界恒久平和への思いを共有していただくため、平成26年から、原則として、全ての駐日外国公館等の代表に対して招請状を送付してまいりました。
一方で、昨年は、世界の様々な動き等を踏まえ、式典において不測の事態が発生するリスク等を懸念し、式典主催者として、参列者の安全の確保及び式典の円滑な運営を行うため、イスラエル駐日大使の招請を断念したものです。決して、政治的な判断に基づくものではなく、あくまでも、原爆犠牲者を慰霊するための式典を、厳粛かつ平穏な雰囲気の下で開催したいという願いによるものです。
しかしながら、このように、すべての国等を招請することを基本としつつ、一部の国について招請を見合わせた結果、昨年は様々な議論がありました。また、国際社会では分断が深刻化している状況にあり、今年のNPT再検討会議第3回準備委員会でも、核兵器のない世界の実現にとって大変厳しい国際情勢であったと受け止めております。
このような中、本年の平和祈念式典を開催するにあたり、改めて「原爆犠牲者の慰霊」と「世界恒久平和の祈念」という平和祈念式典の本旨に立ち戻って考え、厳粛かつ平穏な式典環境は確保しつつも、恩讐を越え、国境を越え、思想・信条の違いを越え、すべての分断を乗り越えて、あらゆる国の代表が被爆地・長崎に集まる式典としたいという結論に至り、長崎市としても式典開催に当たっての様々なリスクを乗り越えなければならない。そういう思いのもと、現下の情勢も踏まえた上で、様々な角度から検討した結果、今年の平和祈念式典への招請について、イスラエルを含むすべての駐日外国公館等がある国や地域の駐日大使等の代表あて招請状を送付しました。
加えて、その他の国のうち国連代表部を設置している国に対しては、今年から新たに、訪日の機会を利用した式典参列や被爆地訪問を呼びかけることとしたものです。
なお、一部の国について、抗議活動等の不測の事態の発生などにより、厳粛かつ平穏な環境の下での式典の実施が困難になるおそれがないか、ということについて、国内外の情勢を考慮し、総合的にリスク判断しました。
もちろんそのようなリスクはゼロとは言えませんが、国際社会で分断が深刻化している今だからこそ、あらゆる国の代表の方々に、長崎の平和祈念式典へ参列していただき、核兵器使用の残虐で非人道的な結末について、その目で見て、その耳で聞いて、そしてその心で感じていただきたいと思います。
長崎市としては、厳粛かつ平穏な環境の下で式典が実施できますように、幅広い関係者の皆様に御理解・御協力をお願いするとともに、式典参列者の手荷物検査の徹底や警備人員の増強など、警備体制の更なる強化、県警との連携強化等により、式典主催者として円滑な式典運営に万全を期してまいります。
どうか御理解くださいますようお願い申し上げます。
(注)掲載されている回答は回答時点のものであり、その後の社会情勢や制度の改変などにより、最新の回答と異なる場合があります。