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(2025年8月27日)日本国政府への要請文


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ページID:0064203 更新日:2025年8月27日更新 印刷ページ表示

​内閣総理大臣 石破 茂 様

 

核兵器禁止条約に関する日本政府の対応について(要請)

 

貴台におかれましては、「核兵器のない世界」の実現に向けて多大なる御尽力をいただき、広島・長崎両市民を代表し、心より敬意を表します。

日本政府におかれましては、被爆80年の機会を捉えた被爆の実相の理解促進のための取組の一環として、被爆者や継承活動に取り組む若者を欧州に派遣されるほか、31年連続で国連に核兵器廃絶決議案を提出し、「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組まれていることに深く感謝申し上げます。

さて、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や混迷を極める中東情勢を背景に、国家間の疑心暗鬼はますます深まっています。核兵器を持っている国が戦争を仕掛け、核兵器使用の威嚇を繰り返す状況は、核抑止論の破綻を示しており、また、軍事力の強化による威嚇は、一時的には相手方を思いとどまらせる効果があるとしても、結果として国家間の更なる関係悪化を招き、戦争を仕掛ける道具に核兵器が使用されることにもつながりかねません。

このような状況だからこそ、日本政府には、核抑止力に依存するのではなく、恒久平和を念願する国民の代表として、対話を通じた信頼関係に基づく国際的な安全保障体制の構築に向け主導的な役割を果たすことが求められています。核兵器禁止条約は、機能不全に陥りかねない核兵器不拡散条約(NPT)が国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石として有効に機能するための後ろ盾になるはずです。日本政府が、同条約の再検討会議に出席し、その議論に参加することは、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会を含む被爆者の切なる願いと被爆の実相を踏まえた対応となるだけでなく、核保有国間の対立や、核保有国と非核保有国との分断を解消し、核兵器廃絶に向けた建設的な議論を行うための共通基盤の形成に貢献することにもなると考えます。

ついては、日本政府におかれましては、唯一の戦争被爆国として、是非とも来年開催される核兵器禁止条約の第1回再検討会議にオブザーバー参加するとともに、一刻も早く同条約に署名・批准し、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向けた推進力となっていただくよう強く要請いたします。

 

令和7年(2025年)8月27日

広島市長  松井 一實

長崎市長  鈴木 史朗