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用語解説

更新日:2023年8月9日 ページID:036999

1 谷口 稜曄(すみてる)

1945(昭和20)年16歳の時、自転車に乗って郵便物を配達中に爆心地から約1.8km地点で被爆。
1955(昭和30)年に被爆者団体「長崎原爆乙女の会(現:長崎原爆青年乙女の会)」の結成に参加。以後、長崎原爆被災者協議会会長や日本被団協代表委員を務めるなど、平和活動に携わり、国内外で核兵器廃絶を訴え、生涯をその活動に捧げました。2017(平成29)年8月死去。

2 放射線の影響

原爆による被害の特質は、大量破壊、大量殺りくが瞬時に、かつ無差別に引き起こされること、放射線による障害がその後も長期間にわたり人々を苦しめることにあります。
原爆による放射線障害は、急性障害と後障害に分けられます。急性障害は大量の放射線を浴びた時に出る症状で、嘔吐、下痢、発熱、皮下出血などを発症し、多くの人が死亡しました。後障害は、被爆して数年から数十年してから現れる症状で、
がんや白血病、白内障などがあります。1946(昭和21)年初めから、やけどが治ったあとに盛り上がるケロイドという症状が現れました。また、母親の胎内で被爆した胎内被爆児は出生後も死亡率が高く、死を免れても小頭症などの症状が現れることがありました。さらに、1950(昭和25)年頃からは、白血病、甲状腺がん、乳がん、肺がんなど様々な病気の発症率が高くなり始めました。
放射線が年月を経て引き起こす影響については、未だ十分に解明されておらず、調査や研究が今も続けられています。

3 G7広島サミット

G7サミット(主要国首脳会議)とは、フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7か国及び欧州連合(EU)の首脳が参加して毎年開催される国際会議です。
2023(令和5)年5月に日本はG7議長国として初めて被爆地・広島でサミットを開催しました。
ウクライナ危機が長期化する中で核軍縮が大きなテーマとなった今回のサミットでは、ゲスト国としてウクライナのゼレンスキー大統領も参加しました。G7などの参加国首脳らは広島平和記念資料館を訪れ、被爆の実相に触れた後に、核軍縮に焦点をあてた初のG7首脳文書である「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が発出されました。

4 核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン(広島ビジョン)

「広島ビジョン」は、核軍縮に焦点を当てた主要7カ国(G7)首脳による初の共同文書であり、広島・長崎原爆投下後の「77年間に及ぶ核兵器の不使用の記録の重要性」を強調したうえで、ウクライナ情勢を巡りロシアが繰り返す核兵器使用の威嚇を許さないとし、「核戦争に勝者はいない。決して戦ってはならない」ことを確認しています。
また、核兵器の役割が国を守るための抑止力であるとして、「全ての者にとっての安全が損なわれない形で、現実的で実践的な責任あるアプローチ」で核兵器のない世界を「究極の目標」として関与することを確認しています。
さらに、世界中の指導者や若者の広島、長崎への訪問を促すとしています。

5 核抑止

相手国が攻撃してきた場合、核兵器で反撃するという姿勢を見せることによって相手国の攻撃を思いとどまらせようとすることを、核兵器の抑止力といいます。核保有国の多くは効果的な核抑止力を維持しようと、核兵器の能力向上に励み、核兵器がいつでも使える状態に置き、相手への脅しを続けています。しかし、この抑止力が失敗したとき、あるいは事件や事故が起きた時、甚大な被害がもたらされる危険性があります。

6 核の傘の下にいる国

日本や韓国、NATO(北大西洋条約機構)に加盟する非核保有国は、いずれも核兵器は保有していませんが、アメリカの持つ核兵器の抑止力に依存している国々です。これらの国々を核の傘の下にいる国と呼んでいます。
これに対し、核兵器の抑止力に頼らない方法で国の安全を保障しようとする考え方もあります。
長崎市は、その現実的で具体的な方法として、北東アジア非核兵器地帯構想(9で解説)を提唱しています。

7 人間を中心に据えた安全保障(人間の安全保障)

人間の安全保障とは、人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す考え方です。
東西冷戦が終わった1990年代、環境破壊を含めて一人ひとりの人間への脅威を考える「人間の安全保障」という考え方が生まれました。
そして、国連開発計画(UNDP)が出した1994(平成6)年の人間開発報告書「人間の安全保障の新次元」で初めてこの概念が公に使われました。
以後、様々な国際会議でも取り上げられるようになり、「人間の安全保障」は地球規模の課題に取り組む上での重要な概念として、国際社会の認識が深まっています。

8 核兵器禁止条約

核兵器は一旦使用されれば、取返しのつかない甚大な被害を人間や環境に与えます。それは戦争での使用だけでなく、核兵器が存在する限り、誤って使われたり、テロなどに使われたりする危険性があります。核不拡散条約(NPT)で約束された核軍縮が進まない状況に不満を持つ国々の間で、核兵器を法的に禁止しようとする動きが、2010(平成22)年頃から強まりました。
そのような核兵器を持たない国々の主導のもと、三度にわたる核兵器の非人道性を考える国際会議の開催などを経て、2017(平成29)年7月、国連加盟国の6割を超える122か国・地域が賛成し、核兵器禁止条約が採択されました。
条約の前文には「被爆者の苦しみと被害を深く心に留める」とあります。被爆者の「私たちの経験を、もう、誰にもさせたくない」という願いを国際社会がしっかりと受けとめました。
しかし、採択されただけでは、条約は力を持ちません。本当に力を持つためには、それぞれの国の議会等が国内法にしたがって条約を認め、締結する意志を最終的に決定しなければなりません。
これを「批准」といいます。
2020(令和2)年10月24日、批准した国が発効要件の50か国に達し、その90日後の2021(令和3)年1月22日に発効(国際法として効力を持つこと)しました。
なお、条約は締約国(条約に正式に入った国)らが話し合う会議を定期的に開催することを定めています。第1回締約国会議は2022(令和4)年6月にオーストリア・ウィーン市で開催され、核兵器廃絶への決意を示す「宣言」と、条約の実現に向けた「行動計画」が採択されました。第2回締約国会議は2023(令和5)年11月27日~12月1日にアメリカ・ニューヨーク市で開催予定です。

9 北東アジア非核兵器地帯構想

地域の国々が条約を結び、核兵器の製造、実験、取得、保有などをしないと約束した地域のことを「非核兵器地帯」といいます。
条約によって核戦争の危機をなくし、国際的な緊張をやわらげることで、核兵器の役割を減らし、核保有国が核兵器を開発したり、保有したりする動機をなくしていくことにもつながります。
地球の南半球は、1967(昭和42)年のラテン・アメリカ核兵器禁止条約のほか4つの条約(南極条約、南太平洋非核地帯条約、アフリカ非核兵器地帯条約、東南アジア非核兵器条約)によりすでに陸地のほとんどが非核化されています。
北半球でも、1998(平成10)年にモンゴルの「非核地位」が国連で認められ、2009(平成21)年には中央アジア(ウズべキスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン、カザフスタン)非核兵器地帯条約が発効しています。
「北東アジア非核兵器地帯」には、日本と韓国と北朝鮮の3か国を「非核兵器地帯」にしようとするものなどがあります。
条約が実効力を持つためには、3か国に核兵器が存在せず、近隣の核保有国(アメリカ、ロシア、中国)が、3か国を核兵器で攻撃をしないと約束することが必要になります。
「朝鮮半島の完全な非核化」が明記された2018(平成30)年の米朝共同声明などを活かしつつ、地域国間の信頼醸成を図り、北東アジア全体の平和を実現するために日本政府が果たすべき役割は大きいといえます。

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10 平和の文化

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が提唱した平和を構築するための考え方のひとつです。
その理念は、ユネスコ憲章の前文に「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と明記されています。
世界には多様な文化や生活様式などがあります。
こうした違いが分断を生み、それを力で解決する「戦争の文化」ではなく、相手の立場に立って話し合ったり交流したりしながら、お互いの理解を深め、信頼を築いていく「平和の文化」を育てることが大切です。

お問い合わせ先

原爆被爆対策部 平和推進課 

電話番号:095-844-9923

ファックス番号:095-846-5170

住所:〒852-8117 長崎市平野町7-8(長崎原爆資料館内)

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