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私は国民として、長崎の爆心地を「人類共通の記憶」としてユネスコ世界遺産に登録することを強く要請いたします。
この登録にあたり、次の原則を明記いただきたいと考えます。
* 長崎を「最後の被爆地」とする:人類が二度と核兵器を使用しないという決意を、世界遺産として宣言する。
* 再使用時の登録見直し:将来、地上で核兵器が再び使用された場合には、速やかにユネスコに報告し、遺産の再評価・削除を要請する。
背景と意義
1. 世界遺産の使命
アウシュビッツや広島原爆ドームと同様、「負の遺産」は人類への警告であり、平和教育の基盤です。長崎を登録することで、人類史における核兵器の惨禍を二重に刻むことができます。
2. 核抑止と「最後の被爆地」
日本は核兵器禁止条約を批准していませんが、長崎を「最後の被爆地」として登録することは、事実上の核兵器禁止の意思を国際社会に示す強力なシグナルになります。これは批准と同等の道義的拘束力を持ち、核抑止の現実の中で平和国家としての立場を鮮明にできます。
3. 市民からの国際的発信
長崎市が中心となることで、被爆地からのメッセージを世界に届けることができます。市民・被爆者団体・国際NGOと連携し、長崎市が平和外交のリーダーとなることを願います。
要請事項
1. 長崎爆心地および関連する記念碑・資料群を、ユネスコ世界遺産として登録する準備を開始してください。
2. 登録申請に際し、「地上での核兵器再使用が発生した場合には、速やかにユネスコ世界遺産委員会に報告し、再評価・削除を要請する」との宣言を付記してください。
3. 長崎市民、被爆者団体、国際社会と連携し、世界に向けて「長崎を最後の被爆地とする」平和の誓いを広げてください。
以上、民主主義の原則に基づき、市民の声としてお伝えします。
ご検討のうえ、前向きなご対応をお願い申し上げます。
平素より本市の平和行政にご理解・ご協力を賜り感謝申し上げます。
今年、被爆から80年という節目の年を迎えましたが、今もなお被爆者は原子爆弾が引き起こした心身の痛みや苦しみに今も苛まれています。
このような悲惨な経験を基に長崎市は「長崎を最後の被爆地に」するために、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けて、被爆の実相と戦争の悲惨さを訴え続けてきました。この取組の一環として、長崎市は1992年から被爆遺構の保存に本格的に着手し、被爆の実相の継承に取り組んでいます。
ご意見にあります「原爆落下中心地」については、2016年10月に、周囲に広がる4つの遺跡(旧城山国民学校校舎、浦上天主堂旧鐘楼、旧長崎医科大学門柱、山王神社二の鳥居)を含め構成される「長崎原爆遺跡」として国の史跡に指定されております。
長崎市としましては、世界遺産登録を目指すことは考えておりませんが、史跡の確実な保存と活用に取り組み、「長崎を最後の被爆地に」するための平和の発信に努めてまいります。
(注)掲載されている回答は回答時点のものであり、その後の社会情勢や制度の改変などにより、最新の回答と異なる場合があります。