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平和式典における貴市の不断の取り組みに心より敬意を表します。
そのうえで、現在報道されている「ロシアを平和祈念式典に招待する方針」に対し、強く反対の意思を表明させていただきたくご連絡いたします。
ロシアは今この瞬間も、ウクライナへの不当な侵略を継続し、病院や住宅への攻撃を繰り返し、日々罪なき市民、子どもたちの命を奪い続けています。さらには核兵器の使用を仄めかす「核恫喝」まで公然と行っており、国際法を踏みにじる戦争犯罪を重ねています。
そのような国家が「平和」を祈る立場にあるとは到底思えません。式典に出席することで、むしろロシアにとっては自らの侵略行為を正当化するためのパフォーマンスの舞台となり、貴市の誇る平和への真摯な思いが、侵略国家のプロパガンダに利用されかねません。
「戦争当事国だからこそ対話を」との声もありますが、ロシアが式典に参加した程度で心を改めるような国家であれば、とっくに侵略と民間人への攻撃を止めているはずです。この戦争は「どっちもどっち」ではなく、ロシアが一方的に仕掛けている侵略です。ロシアが攻撃を止めれば、明日にでも終わる戦争なのです。
長崎の式典は、核の非人道性と平和への誓いを世界に訴える貴重な場です。その意義を損なわぬよう、戦争犯罪を現在進行形で続ける国家を、祈りの場に招くことは厳に慎んでいただきたく、強く申し上げます。
長崎の悲劇が、侵略者のイメージ操作のための道具にされることのないよう、真の意味での「平和」の尊さを守るご判断をお願い申し上げます。
御意見をお寄せいただきありがとうございます。次のとおり回答します。
長崎市において開催する「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」は、原爆死没者名を奉安し原爆犠牲者を慰霊するとともに、世界恒久平和の実現を祈念して被爆地長崎から核兵器廃絶と恒久平和への願いを発信することを本旨としています。
この式典には、平成26年から、原則として、全ての駐日外国公館等の代表に対して招請状を送付しております。これは、日本国内にいる各国の代表に、被爆地を訪れ、原爆被爆の実相に直接触れていただきたいという、被爆地長崎の思いによるものです。
しかしながら、昨年は、全ての国等を招請することを基本としつつ、平穏かつ厳粛な雰囲気の下で円滑な運営を阻害しかねない不測の事態の発生を懸念し、一部の国について招請を見合わせた結果、意図しない様々な影響がありました。
今、国際社会では分断が深刻化している状況にあり、先般のNPT再検討会議第3回準備委員会でも核兵器のない世界の実現にとって、大変厳しい国際情勢であったと受け止めています。
このような中、今年の各国代表の招請にあたり、改めて「原爆犠牲者の慰霊」と「世界恒久平和の祈念」という平和祈念式典の本旨に立ち戻って検討した結果、国際社会で分断が深刻化している今だからこそ、あらゆる国の代表の方に平和祈念式典へ参列いただき、核兵器使用の残虐で非人道的な結末について、その目で見て、その耳で聞いて、そしてその心で感じていただきたいと考え、全ての駐日大使等に式典の「招請状」を送付したものですので、どうかご理解くださるようお願いいたします。
(注)掲載されている回答は回答時点のものであり、その後の社会情勢や制度の改変などにより、最新の回答と異なる場合があります。