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本年2025年は、長崎に原爆が投下されてから80年という歴史的な節目を迎えます。これまでの慰霊と平和発信への多大なご尽力に深く敬意を表しますとともに、今あらためて「被爆の記憶をいかに次世代へ継承するか」という課題が問われております。
長崎では、伝統的なランタンフェスティバルや長崎くんち、近年は「Kawaii Fuure Base」などを通じて、観光と文化の融合に取り組んでこられました。
そして2025年9月14日~11月30日に開催される「ながさきピース文化祭2025」は、全国規模の文化祭・障害者芸術祭であり、『文化をみんなに』を掲げ、平和を芸術・文化で発信する取り組みとなっています。
こうした文化イベントとの連携をはかることで、「被爆継承」と「若年層文化」と「地域文化振興」を同時に実現できる可能性が高まると考えます。
とりわけ、10代~20代の若年層では、戦争や被爆が実感されにくく、従来の式典や講話では関心を引きにくい傾向があります。そこで、本提案ではVtuber文化・創作文化・オタク文化に親しむZ世代を巻き込み、「記憶の継承を“創る・伝える”体験に変換する」イベントを提案いたします。
■ 地方導入のVtuber事例(広島・岡山)
・広島の「おりづるVtuberフェス」(2024~2025年)では約200名の来場者、出演VTuber23組以上、県外からの参加が3割超という成果を上げ、地方都市でのVtuberイベントの集客力を証明しました。
・岡山県新見市における「まちスパチャプロジェクト」では、Vtuberによる観光PR・ライブ配信・商品開発が成功し、地域活性化のモデルとなりました。
これらの事例から、Vtuber文化と地方自治体の観光政策には高い親和性があり、長崎の歴史・文化資源と矛盾せず統合可能です。
■ 提案概要
仮称:NAGASAKI PEACE NEXT - 若者と描く平和の未来開催時期:2025年11月中旬~12月上旬(ながさきピース文化祭後期から閉会に接続可能)
会場(案):長崎スタジアムシティまたは市内文化施設
対象:10代後半から30代の創作者・学生・視聴者・Z世代層
企画案:同人誌展示・即売、Vtuber朗読劇、バーチャル展示、トークステージ、創作ワークショップ など
■ なぜVtuber/創作文化なのか
被爆継承を“受け身”ではなく“創り/伝える主体的プロセス”へ変えるため
地方事例から見えるZ世代誘客力と地方と若者をつなぐ文化的回路観光都市・長崎の文化戦略と自然に調和しうる先進的施策
■ モデル参照:文化放送「ぶいかふぇ♪(Vcafe)」
秋葉原のVtuber番組とリアルライブ連動企画「ぶいかふぇ♪」は、平均3から6名出演、物販・配信連動による高いエンゲージメントで成功しています。このモデルを被爆80年と平和継承の文脈に重ね合わせ、地方へ展開することで、文化伝達と若者参加の新しい形を創出します。
■ 提案送付先(参考)
本提案は、以下の団体にも同様の趣旨説明を済ませており、各組織の強みを活かした協力構造を想定しております。
長崎スタジアムシティ運営会社(株式会社リージョナルクリエーション長崎)、文化放送、テレビ長崎、IRIAM、九州コミティア など。
■ 期待される効果
・若年層による能動的・創造的な平和継承活動の促進
・若年世代と地域との接点創出による新しい市民参加モデル
・観光・物販・配信を含む地域経済への波及効果
・ながさきピース文化祭と組んだ地域文化資源の相乗発信モデル
・Z世代文化政策との整合性を軸とした文化都市としての新たな印象付け
■ ご協議いただきたい事項
・行政後援および文化振興施策への支援
・公共施設の利用調整・広報協力
・学校・大学・資料館等との連携による若年層への呼びかけ支援
本イベントは全団体の一斉参加を必須とする企画ではなく、それぞれの特色を活かしつつ「連携可能な枠組み」で実施を図る構成となっております。
被爆80年というこの年だからこそ、若者の文化圏と被爆継承をつなぐ挑戦的な取り組みを、長崎から世界へ発信できる機会と考えております。どうかご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
平素より本市の平和行政にご理解・ご協力を賜り感謝申し上げます。
今年、被爆から80年という節目の年を迎えましたが、被爆者の高齢化により被爆者の体験を直接聞き取ることが難しくなっています。
そのような中、ご意見にもありましたように次世代への被爆の実相の継承は大変重要なことであると認識しており、これまでも様々な形で継承活動の推進を図っているところです。
被爆講話の実施や語り継ぐ家族・交流証言者の育成などの既存の取組みに加え、VRなどの新たな技術を活用した継承の取組みについても検討を進めております。
また、「ながさきピース文化祭2025」では、複数の会場で平和関連ブースの出展を予定しており、機会を捉えた平和の発信にも取り組んでいるところです。
ご依頼の内容のうち補助金などの支援策については、すでに80周年記念事業として交付対象を選定し実施していること、また、施設の利用や広報などについては実施団体に調整・実施していただく必要があることから、困難と考えております。ご提案いただきましたイベント企画への参画につきましては、実施まで暇がないことなどの理由から見送らせていただきますが、他の文化イベント、Vtuberといった若者への発信が期待できるコンテンツとの連携につきましては、新たな継承の取組手法の一つの可能性として、今後の検討材料とさせていただきます。
(注)掲載されている回答は回答時点のものであり、その後の社会情勢や制度の改変などにより、最新の回答と異なる場合があります。