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拝啓 貴職におかれましては、日頃より市政運営にご尽力いただき、誠にありがとうございます。本書は、長崎市の行政運営の透明性向上と住民サービスの改善に向けた具体的な要望を取りまとめたものです。住民の安心・安全を確保し、より良い市政を実現するため、ご検討いただきますようお願い申し上げます。
1. 現金納付と納付書取り扱いの見直し
長崎市において、職員が現金と納付書を預かり、不適切な処理を行った事案が発生しました。過去には日本年金機構でも同様の事例があり、結果として現金の取り扱いが禁止されました。にもかかわらず、自治体において同じ問題が発生することは、組織としての危機管理が不十分である証拠 です。
要望:
市役所・各行政窓口での現金預かりを全面禁止し、キャッシュレス決済を基本とする。
納付書は金融機関での支払い、もしくは銀行口座引き落としのみとし、市職員が直接取り扱わない仕組みにする。
市が決済手数料を負担し、住民がキャッシュレス決済を利用しやすい環境を整備する。
現金納付を希望する場合は、金融機関での支払いのみとし、自治体窓口での現金受領は禁止する。
2. 行政ネットワークのセキュリティ強化(無線LANの全面禁止)
総務省の「地方公共団体における無線LANの利活用ガイドライン」においても、無線LANの適切な管理の重要性が示されています。しかし、自治体ごとにセキュリティ対策の格差があり、リスク管理が徹底されていないケースが懸念されます。特に、行政が取り扱うデータは機密性が高く、不適切な運用が行われた場合には重大な情報漏洩につながる恐れがあります。
要望:
長崎市の業務ネットワークでは、すべての業務端末を有線LAN接続に統一すること。
無線LANは「ゲストWi-Fi(外部訪問者用)」のみに限定し、行政職員の業務には使用禁止とすること。
職員が個人的に無線LAN機器を設置すること(シャドーIT)を厳格に禁止し、定期的な監査を実施すること。
ネットワークセキュリティに関する職員教育を強化し、セキュリティ意識を向上させること。
3. 行政のデジタル化と住民サービスの向上
長崎市の行政手続きにおいて、デジタル化の進捗が遅れています。行政手続きのオンライン化が進まないことは、住民にとって不便であり、市の効率的な運営にも悪影響を及ぼします。
要望:
すべての行政手続きをオンラインで申請できるようにし、紙の申請書を原則廃止すること。
デジタル庁の基準に沿った行政システムを導入し、長崎市独自のシステムではなく、全国標準のシステムを活用すること。
窓口業務の簡素化とオンライン対応の拡充により、住民の利便性を向上させること。
ワクチン接種情報をマイナポータルで確認できるようにすること。現在、令和7年3月時点では確認できない状況であり、迅速な対応が求められる(https://www.city.nagasaki.lg.jp/teian/31551.html)。
4. 住民と行政の対話の仕組み強化
住民が行政に対して意見を伝える機会が少なく、市政が一方通行になっている現状があります。市民の声を政策に反映し、透明性の高い行政運営を行うべきです。
要望:
オンライン提案制度を導入し、住民が市政に対して直接提案できる仕組みを構築すること。
住民の要望が一定数(例:100件以上)集まった場合、市議会での審議を義務付けること。
市議会議員や行政職員が定期的に市民との意見交換会を開くことを義務化すること。
5. 市職員の適正な倫理管理と不正防止対策
今回の現金横領問題を受け、市職員の倫理意識の向上と、不正を防止するための監査強化が必要です。
要望:
市職員の倫理規範を強化し、コンプライアンス教育を定期的に実施すること。
市の内部監査体制を強化し、不正の発生を未然に防ぐ仕組みを構築すること。
不正行為を発見した場合の通報窓口を設置し、内部告発がしやすい環境を整えること。
【結論】長崎市は透明性のある安全な行政運営を確立すべき!
現金納付の取り扱いを禁止し、キャッシュレス決済を基本とする!
行政ネットワークはすべて有線LANに統一し、無線LANの業務利用を禁止する!
行政のデジタル化を推進し、市民の利便性を向上させる!
住民の意見を市政に反映する仕組みを強化する!
市職員の倫理管理を徹底し、不正行為を防止する!
ワクチン接種情報をマイナポータルで確認できるようにする!
本要望を受け、長崎市が早急に具体的な施策を検討し、実施することを強く求めます。
敬具
「1.現金納付と納付書の取扱いの見直し」についてお答えいたします。
現在、窓口におけるキャッシュレス決済については、中央地域センターをはじめ、7地域センターに導入し、令和7年度中には全ての地域センターに導入することとしております。
証明書等を発行するその他の窓口についても、取扱件数や導入による効果等を踏まえ、順次導入を進めていくこととしております。
また、令和6年度から納付書について、スマホ決済アプリやコンビニエンスストアでの納付ができるように納付方法を拡充したほか、継続して納付する歳入金については、口座振替による納付を原則とし、納付書払いから口座振替へ切り替えていただくように取り組んでいます。
支払方法を多様化することにより、市民の利便性向上などにつながる一方で、現金支払いを希望される方もいらっしゃること、また、トラブル発生時や災害発生時などにおいては、現金でのやり取りが必要な場合も想定されるなど、キャッシュレス決済以外の選択肢も残しておく必要があるものと考えておりますので、引き続きその対応も踏まえながら窓口のキャッシュレス化の推進を図ってまいります。
「2. 行政ネットワークのセキュリティ強化(無線LANの全面禁止)」についてお答えします。
長崎市のネットワークは、国が提唱する3層分離の考え方に基づき、取り扱う情報の種類や、業務目的に応じて、ネットワークを分離し、接続方法も有線・無線を使い分けて運用しています。このほかにも、さまざまなセキュリティ対策を幾重にも重ねながら安全面に配慮しているところです。
無線LANでは、パソコンを持ち運びながら業務ができるようになり、業務効率化や市民サービスなどにも貢献することから、引き続き、セキュリティ面を十分に配慮しながら適切に運用してまいります。
シャドーITの禁止、定期的な監査につきましては、長崎市情報セキュリティポリシーに基づき、資産管理システムなどを導入し、シャドーITの対策を行っておりますので、今後も、シャドーITの制限や定期的な監査に取り組んで参りたいと考えています。
セキュリティに関する職員教育の強化や意識の向上につきましては、新規採用職員に向けた研修をはじめ、年に一度、全職員を対象にした研修を行っています。その他にも随時セキュリティ対策関連の通知を全職員あてに行い、日頃からセキュリティ対策への意識向上を図っているところです。今後も、職員教育の強化やセキュリティ意識の向上に取り組んで参りたいと思います。
「3. 行政のデジタル化と住民サービスの向上」についてお答えします。
行政手続のオンライン化については、令和4年10月に電子申請システムを導入し、順次オンライン化を進めているところです。また、令和6年9月にはキャッシュレス決済機能を追加するなど、利便性向上を図っているところです。引き続き住民の利便性向上に向け行政手続のオンライン化を推進してまいります。
なお、オンラインでの手続きができない方が一定数いることから、書面を用いた手続も残す必要があると考えており、様々な事情でデジタル機器を使えない方が取り残されないよう適切に配慮し、オンライン化を進めてまいります。
全国標準のシステムを活用することについては、現在国が示す基準に準拠した地方公共団体情報システムの標準化に取り組んでいるところですが、このほかのシステムについても国の動向を注視し、全国標準のシステム活用について検討を行ってまいります。
「ワクチン接種情報をマイナポータルで確認できるようにすること。」についてお答えします。
マイナポータルではすべての予防接種データの登録が必要になりますが、一部の予防接種について、サーバーにデータ登録が出来ないため公開出来ない状況にあります。システム改修の経費も含めて今後必要性を検討するべきものと考えます。
「4. 住民と行政の対話の仕組み強化」についてお答えします。
本市では、市政への提案やパブリックコメントなどで市民の皆さんの提案やご意見をウェブサイト等で受け付けています。
市政への提案では、市の考えなどを提案者にお答えするとともに、その内容をウェブサイトで公表しています。
パブリックコメントでは、政策形成の過程における市民等の参画の機会を確保し、市民等の多様な意見、提案等を考慮して政策形成の意思決定を行っています。
また、市長や職員などが地域に伺い、市民から地域の課題や市政への意見を直接聴く「シンナガサキみーてぃんぐ」をおおむね小学校区で開催し、対話を通じて本市の現状について相互に理解を深めています。
今後も、市民の声を聴き、市政に反映するように努めていきます。
「5. 市職員の適正な倫理管理と不正防止対策」についてお答えします。
市職員の倫理規範については、まず、新規採用職員に対して、職員が遵守すべきことなどを公務員倫理の研修として実施しています。
その後も、年次の研修において、公務員倫理に関する研修を行い、意識の定着を図っているところです。
また、今回の横領事案を受け、改めて会計規則等の関係法令及びその取扱いを示した会計事務の手引き等について確認し、法令等で定められた処理を行うとともに、現金出納時の処理を見直し、組織的なチェック体制の向上を図ってまいります。
通報窓口としては、長崎市では、公益通報を行うことができる職員等の範囲、公益通報の対象となる行為、公益通報の方法・通報処理の流れ等を明確化するとともに、正当な公益通報を行った職員等の保護など、職員等が公益通報を行う場合の仕組みを具体的に定めています。詳しくは長崎市ホームページをご確認ください。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/page/1715.html
【関係所属】
行政体制整備室 095-829-1124
情報統計課 095-829-1116
DX推進課 095-829-1414
感染症対策室 095-829-1172
広報広聴課 095-829-1114
人事課 095-829-1119
(注)掲載されている回答は回答時点のものであり、その後の社会情勢や制度の改変などにより、最新の回答と異なる場合があります。