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長崎市内で、IHクッキングヒーターを使用中に発火する火災が発生しました。
長崎市消防局管内では、過去10年間(平成21年~平成30年)で4件のIHクッキングヒーターに起因する火災が発生しています。
近年、ガスこんろに代わって多くのご家庭で使用されているものに、IHクッキングヒーターがあります。IHクッキングヒーターが普及した理由のひとつに「火を使わないから安全」ということが挙げられます。
火を使わずに調理ができるという点では、確かに安全と言えるのですが、使い方を誤ってしまうと、火災や事故が発生する危険があります。
IHクッキングヒーターには、渦巻状のコイルが設置されており、ここに高周波の電流を流すと、「電磁誘導の法則」により磁力線が発生します。磁力線は通過した金属にうず電流を発生させ、うず電流と金属の電気抵抗を利用して金属である鍋自体を加熱するのです。IHとはIndaction Heating(誘導加熱)の頭文字をとった呼称です。
また、安全装置として、温度センサーなどが搭載されています。
事例1:揚げ物をするために、食油が入った天ぷら鍋をIHクッキングヒーターで加熱中、家人は台所から居室へ行きテレビを見ていました。20分ほど経過したところで、天ぷら油が発火し、火災は発生した。なお、天ぷら鍋は、IH専用のものでなく、ステンレス製の鍋を使用していた。
事例2:揚げ物をするために、鍋に少量(100ml)の油を入れて、IHクッキングヒーターで加熱中、他の用事で約3分間台所を離れていたところ、天ぷら油が発火し、火災が発生した。なお、天ぷら鍋はIH専用鍋を使用していた。
2つの火災事例とも、火災が発生した最大の原因は、調理中に台所を離れたことですが、その他にIHクッキングヒーターの特徴が原因のひとつとなっています。その特徴とは、「加熱する力が強い」ということです。少量の油が強い火力で急速に加熱されたため、温度センサーの作動が間に合わず火災が発生してしまったのです。
また、IH専用鍋でなかったり、IH専用鍋であっても鍋底が反った鍋や変形した鍋、汚れ防止シートを使用すると、温度センサーが正しく働かない恐れがあります。
IHクッキングヒーターからの火災や事故を防ぐために、以下の点に注意してください。
IHクッキングヒーターは、便利で快適で安全な製品です。ただその安全性や利便性をフルに生かすには、取扱説明書の指示に従い、正しい利用方法を守るのが不可欠です。