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旧竿浦村(現竿浦町・江川町・末石町)には、慶応年代初期深堀藩主から善良な農民たちに「浮立の道具」が授けられたと伝えられている。
この浮立は、行列浮立が原型で、五穀豊穣祈願のための田祈祷雨乞い等の浮立と深堀公の佐賀鍋島藩への参勤交代を模した大名行列が合わさった行列浮立として伝承されていたが、行列は昭和29年秋に披露されて以来途絶えている。今日では、大太鼓、締太鼓、笛、鉦で編成される囃
子方(浮立)のみが継承され、地域の年中行事・大山祇神社の秋の例祭の折、披露されている。
囃子方(浮立)は、笛、大太鼓、締太鼓、鉦で構成され、道行き→入りは→庭→まくり→上廻し→出は→道行きの順に演じられる。これを「ひとには」という。
更に「だんぎり、かわら拍子、ひゅうひゅうどんどこ」など三種のメロディから構成される「なぐさめ拍子」と称するものがあり、大太鼓の上で鬼の面をかぶる若者が両手に扇子をかざし、舞を演ずるのが特徴となっている。