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偲ぶ一日

遠藤周作を偲ぶ一日(H20.2.23)
 対談『沈黙』を語る

 平成20年2月23日(土)、「遠藤周作を偲ぶ一日」のイベントとして、長崎市在住で芥川賞作家の青来有一氏と県立長崎シーボルト大学の下野孝文教授(日本近代文学)に『沈黙』をテーマとした対談を行っていただきました。
  遠藤の代表作である『沈黙』を高校生の時、国語の教科書で初めて読んだという青来氏は、物語のクライマックス部分について「奇跡的な完成度で、執筆時は高揚感に包まれていたのでは」と推測し、「私も夜中に突然高揚感が出て一気に書くこともあるが翌朝読むとなんだこれは、と思う」と会場の笑いを誘いました。
  対談は、研究者の視点で作品を分析した下野教授からの問いかけに、創作者の視点から青来氏が答える方式で行われ、「発表当初、一部の作家や宗教関係者から『神は最後まで沈黙を貫くべきだ』との批判があったが、青来さんならばどう描いたか」という問いかけに対しては、「最後まで沈黙していたのでは悲惨で救いようがない話にしかならず、作家として読後感を考慮すれば沈黙は破られないとダメだったと思う。また、大病を乗り越えた直後の遠藤氏の内面に思いを致せばこう書くしかなかったのではないか」との見解を示されました。
  長崎や隠れキリシタンといった遠藤と共通するテーマを取り上げている作家である青来氏と、遠藤文学を中心に近代日本文学研究の第一線で活躍されている下野教授の対談は、単純な作品論に留まらず、鋭く時にユニークで、非常に興味深い内容となり、当日会場においでいただいた約100名の聴衆の方にもあっという間の2時間だったと思います。