吉井勇はこの旅で長崎入りしたのを皮切りに、その後も度々長崎を訪れ、なんと200首にも及ぶ長崎の歌を詠んでいて、稲佐山にある吉井勇歌碑、 「おほらかに 稲佐の嶽ゆ 見はるかす 海もはろばろ 山もはろばろ」ほか、県内には9期の歌碑がある。
■五足の靴の碑 設置の場所に疑問が残る五足の靴の碑。
菱形の凧(たこ)。 サント・モンタニの空に揚つた凧。 うらうらと幾つも漂つた凧。 路ばたに商ふ夏蜜柑やバナナ。 敷石の日ざしに火照(ほて)るけはひ。 町一ぱいに飛ぶ燕。 丸山の廓の見返り柳。 運河には石の眼鏡橋。 橋には往来の麦稈帽子。 ---忽(たちま)ち泳いで来る家鴨(あひる)の一むれ。 白白と日に照つた家鴨の一むれ。 南京寺の石段の蜥蜴(とかげ)。 中華民国の旗。 煙を揚げる英吉利(イギリス)の船。 『港をよろふ山の若葉に光さし……』顱頂(ろちやう)の禿げそめた斎藤茂吉。ロティ。 沈南蘋(しんなんぴん)。 永井荷風。 最後に『日本の聖母の寺』その内陣のおん母マリア。 穂麦に交じつた矢車の花。 光のない真昼の蝋燭の火。 窓の外には遠いサント・モンタニ。 山の空にはやはり菱形の凧。 北原白秋の歌つた凧。 うらうらと幾つも漂つた凧。
■黒崎教会 遠藤氏が後に『切支丹の里』に記したように、ド・ロ神父の指導によって建設が計画された黒崎教会は、かつてより貧しい村にもかかわらず赤煉瓦で作った洒落たものだった。
■善長谷教会 『女の一生』の舞台、ゼンチョ谷。このエリアのキリスト教徒は、外海から潜伏キリシタンが移り住んだのがルーツだ。 ※2002.11月ナガジン!特集『爽快ドライブ〜海風そよぐ深堀・香焼エリア』参照
■祈念坂 祈念坂から港を見下ろしたこの風景は、“南山手風情”と呼ばれる長崎らしい風景のひとつ。
■遠藤周作文学館外観 敬虔なカトリック信者である側面がうかがえる彼の生涯と足跡を辿った展示物は興味深いものばかりだ。
■沈黙の碑 この碑の背後に、ちょうど遠藤周作文学館を望むことができる。
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