さて、『長崎らしい風景とは?』とたずねると、
誰もがそれぞれに違う風景を思い浮かべるに違いない。
山、海、坂、教会、洋館、橋、市場、唐寺……。
しかし、地形はもちろんのこと、鎖国時代の貿易船、
長崎上海間を航海した上海航路、また現代の漁業、造船などのイメージから
『長崎=海』という返答をする人は多いんじゃないだろうか?

そこで今回のナガジンでは『海』を求めて初の近場ドライブコースを提案!
JR長崎駅から所要時間約30分。
長崎市の南端へ車を走らせると、心地よい海風が感じられる
深掘、香焼エリアへと辿り着く。
そこは漁業と造船の町。
さらにもっと大昔に遡ると興味深い歴史が眠っており、
現在もわずかにその佇まいを見せている。

それでは穏やかな時が流れる魅力的な町へと車を走らせてみよう。

ズバリ!今回のテーマは
「海と山、自然に包まれてリフレッシュ!」
なのだ



車でのアクセスは次の通り。
JR長崎駅からのアクセス
JR長崎駅前から大浦方面へ。国道202号線、499号線経由で約17km。

●ドライブコースと周辺地区地図はこちら


●大パノラマの海と 遺跡に心弾む・深掘●

JR長崎駅前から大浦方面へ走り、国道499号線をひたすら西へ進む。
小菅、戸町、小ヶ倉、……土井首を越えると、右手に紳士服の大看板が見えてくる。
その一つ先の信号を右へ(県道29号線 / 香焼江川線)。
青い交通表示板では香焼を示している方向だ。
まずは、長崎市の南端である深掘へ。
香焼への分岐点から左、県道224号線(深掘三和線)へ入ろう。

深掘は1〜6丁目まであり、城山(じょうやま)の山の西麓に集合団地や昔ながらの住宅が立ち並ぶ形で町が構成されている。
一方は長崎市内に、一方は香焼町に、そしてもう一方は西彼杵郡三和町に面している深掘。
長崎港の入口には、夏場海水浴場として賑わう伊王島や、昔炭鉱の町として栄え今では釣りポイントとして人気の高島、同じく炭鉱の町として発展し現在ではその際の建造物だけを残し無人となった端島(軍艦島)など、西彼杵郡の島々を望むことができる。

深掘5丁目の入口には小じんまりとした深掘漁港がある。
ここは規模は小さいが甘鯛、レンコダイ、いとより、アラカブなどが獲れる好漁場。
獲れた魚は漁協を通して主に関西方面へと出荷されている。
地元住民へは毎年2月末から磯の口開きが行なわれ、ワカメやヒジキ、ウニ、アワビ、サザエなどを自由に獲ることができるため、季節になると家で食べる程度を各家庭で獲りに行くのだとか(住民以外の人も入漁料10500円を支払えばOK)。
問合せ / 深掘漁協TEL095-871-3171


それでは漁港の香りが漂う小道へと入って行こう。
10メートル程進むと左手奥に懐かしいコカ・コーラの看板を掲げた小店がある。
ここを右に曲がり海沿いの道、大籠町方面へ。
なかなか離合しづらい細道を通ると広い市道が開けてくる。
するとたちまち視界には蒼い海が広がってくるのだ。
すれ違う車もほとんどなく、穏やかな海原を見ていると心が和んでいくに違いない。
しばらく走ると左に上る坂道があるのでここを上ろう(更に進むと三和町へ)。

「←善長谷教会」と記された表示板から更に左へ上ると白い十字架付の尖塔のあるカトリック教会が見えて来る。
ここは海を望む高台の一等地だ。

ここからの眺めはまさに圧巻!
穏やかな蒼い海原に浮かぶ島々……大パノラマが広がるのだ。


パノラマ撮影

城山の中腹、標高160〜250メートルの所にある善長谷は文政6年(1823)、深掘領の外海東樫山からキリシタンの7家族と独身者2人が移住し開拓したのがはじまりと言われている。
現在の善長谷教会は明治28年(1895)に建立された木造教会堂に変わり、近くに建て替えられたもの。



善長谷教会の正面にある大木にはミサの際の合図に使用される鐘がくくりつけられていた。

善長谷教会を後にして、今来た道を先程のコカ・コーラの看板まで戻り、その看板の先に続く細道へと入って行こう。
この辺は深掘5丁目。
ここでは是非車から下りて立ち寄って欲しい場所がある。

散策マップはこちら

まずは車を深掘貝塚遺跡資料館にしばらくの間駐車しよう。
この深掘貝塚遺跡資料館は昭和27年頃からはじまった調査で発掘された遺跡で、長崎県の長崎半島、西彼杵郡の西海岸側に多く見られる砂丘遺跡を代表する遺跡。



深掘川の河口部に発達したこの遺跡からは縄文時代前期から、弥生、古墳、古代、中世、近世に至る遺物が出土している。
主な展示品としては縄文・弥生・古墳時代の動物遺体、そして弥生時代及び古墳時代の石棺。
最近でも腕輪をはめた人骨が発見された。

展示物の中でも興味をひくものが、発掘された棺の中で発見された深掘弥生人の風貌。
北九州一般に認められている弥生人と異なり、顔面の幅が広く、かつ低身であって、むしろ縄文後・晩期のものに近いのだそうだ。
長崎人のルーツがここに来れば見つかるのかもしれない!?

開館 / 9:00〜17:00
休館日 / 月曜日(12月29〜1月4日)
入館料 / 無料

問合せ / 長崎市観光宣伝課 TEL095-829-1314


さらにこの5丁目には江戸期、深掘鍋島藩の陣屋だった深掘陣屋跡がある。
市指定史跡の深掘鍋島家の墓地は、この陣屋跡の奥にある菩提寺後山墓地にある。

また、この陣屋跡の周辺には東屋敷中屋敷西屋敷と呼ばれた家老屋敷のほかに小規模ながら武家屋敷も多く残されており、往時を偲ばせる風情漂う石塀が連なる散歩道となっている。
写真は武家屋敷跡の石塀



Check!●神聖な祈りの地・ルルド

ルルドとは、南フランスの町の名前。
1856年、その地の洞窟で聖母マリアが少女ベルナデッタの前に現れるとともに洞窟前に湧き出た霊泉で難病が治るなどの奇跡が起こったと言われた。
その後世界各地でこのルルドを模倣し、マリア像を収めたルルドが造られるようになった。
善長谷教会の奥下手にもこのルルドがあり、竹林に囲まれているにも関わらず、不思議とこの場所だけ日が差し込むようになった、まさに聖地という印象の地だった。


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【大パノラマの海と 遺跡に心弾む・深掘】
【山と海の香りが心地よい 造船とダイビングの町・香焼】


||[周辺地区地図]||


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