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長崎人ならではのおもてなしがしたい
銅八銭 梶原由紀
カステラやちゃんぽん、皿うどんなど、長崎には昔から市民に親しまれてきた食べ物がいろいろとあります。ミルクセーキやトルコライスもその代表的な食べ物。今では市民をはじめ市外のかた、海外のかたにも人気の名物料理です。
上町にあるアンティークな外観が特徴の「銅八銭」。通りを歩いていると昭和を感じさせる雰囲気がひと際目を引くこの店は今年で創業50周年です。店長の梶原さんはミルクセーキやトルコライスをお客さんに提供しています。
「もともとこの店では父が骨董屋を、母が喫茶店をしていたんです。最初は私も店の手伝っていましたが、15年前くらいから自分で料理を本格的に作るようになりました」と話す梶原さん。梶原さんがつくるミルクセーキは、今にもこぼれ落ちそうなくらい大盛りで、口溶けがなめらかなのが特徴です。自分の理想のなめらかさを表現するために、ブレンダーの選定から材料の分量までこだわりました。今の形と味になるまで、何度も試行錯誤を繰り返したそうです。
大盛りにする理由は自分が長崎人気質だからと話す梶原さん。もともとミルクセーキは暑い日に少しでも涼んでもらおうという心遣いから提供され始めたのが由来とも言われています。「昔からいろんな人を受け入れてきた長崎の人はウェルカム気質で、みんなどこかにおもてなしの心があるのではと思います。自分がつくったミルクセーキを見て驚いてもらったり、おいしい、ありがとうと言ってもらったりすることがとても励みになりますね」とにこやかに話します。
市民のかたも観光客のかたも、海外のかたも、年代問わずにいろんなかたが足を運ぶ銅八銭。梶原さんはお客さんと話をするのが好きで、ミルクセーキやトルコライスの由来について話すこともあると言います。とある外国人が店にやってきたときには、言葉は話せなかったけど、たまたま覚えていたその人の母国語を歌ったらすぐに打ち解けた、言葉は分からないけど相手の言いたいことや伝えたいことは不思議と分かるんですと言います。
「ミルクセーキやトルコライスなど、食べ物やお店でのおもてなしを通じて、長崎の人の人柄の良さが少しでも伝わったらうれしいですね」と話す梶原さん。常連客や市外からのリピーターの多い梶原さんのお店は、今日も自慢のブレンダーの音とお客さんと話す声で包まれます。
私の好きな風景
諏訪神社から山越しに見える朝日。朝、近所を散歩するときに見えるこの風景は、梶原さんの明るさと元気の源になっています。
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