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踏ん張ってでも自慢の自然を残したい
清流と棚田の里 吉川 栄二
目の前に広がる水平線やたくさんの木々に囲まれた静かな空間、そして海の向こうに沈む夕日。長崎市には見る人の心を動かすたくさんの自然があります。
市内中心部から車で約40分のところにある「清流と棚田の里」はそんな長崎の自然を満喫できる場所。川のせせらぎを聞きながら森林浴ができる癒しの空間です。オーナーの吉川さんは父からこの棚田を受け継ぎ、稲作をする一方で子どもから大人まで多くの人に自然体験を提供しています。
5年以上も前から続く園児向けの田植えや稲刈りの体験は子どもたちに大人気。棚田の一角を体験用と泥んこプール用につくり替えました。最初は虫や泥の独特な感触に気後れしてなかなか遊ばない子どもたちも、時間が経てばすぐに泥だらけになり、目をキラキラさせると言います。「自然に触れることで新たな学びがあったり、子ども同士が仲良くなったりするのを見るととてもうれしいですね」と、園児のお礼の言葉が書かれた画用紙を見ながら笑顔で話す吉川さん。今年もたくさんの幼稚園や保育園から体験の申し込みがありました。
自然の魅力に惹かれるのは小さな子どもたちだけではありません。すぐ側の清流を生かしたテントサウナを体験しに市内外から若い世代が集まると言います。「サウナで体をじっくりと温めた後に清流に入り、身も心も整えることができるのはこの場所ならでは。友だちと来てみんなで楽しむ人もいるし、一人で来て焚火をしたり星を眺めたりと静かな時間を過ごす人もいて、それぞれが自然の中でリフレッシュしてくれています」と話します。
休憩時間は川のほとりのリクライニングでゆっくりと過ごす吉川さん。大きく変わっていく長崎のまちの中で残していきたいものもあると言います。「川に入るときの少しひやっとする感じや濡れた石の上を歩くときの肌触りなど、自然の中でしか体験できないことがたくさんあります。自分が毎日感じているこの魅力をたくさんの人に自慢したい。そのためにも、これからいろんなことにチャレンジして、この自然が未来へ続くように踏ん張って残していきたいですね」と話します。
私の好きな風景
春になると、琴海の戸根川周辺に咲き誇る桜と菜の花。車で仕事場に向かう途中、毎年、吉川さんが目にするこの風景は、琴海の自然の豊かさを改めて感じることができるスポットの一つです。
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