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第4回文学講座(H20.3.8)

ページID:0020114 更新日:2025年3月13日更新 印刷ページ表示

題目 『わたしが・棄てた・女』を読む
講師 三木サニア氏(久留米信愛女学院短期大学)

第4回文学講座(H20.3.8)の画像

 平成20年3月8日(土曜日)、久留米信愛女学院短期大学の三木サニア先生を講師としてお招きし、文学講座を開催しました。
 今回の講座では、遠藤が最も気に入っていた創作人物である「森田ミツ」が登場する『わたしが・棄てた・女』をテーマとし、作品本文中で用いられた「棄てる」という表記をめぐって浮かび上がるイエスとヒロインである森田ミツの重なるイメージについての考察が行われました。
 一般に、手放す動作を表す「捨てる」に対し「棄てる」には「うとんずる、とおざける」といったより意図的、積極的に対象を自分から離れさせようとする態度が含まれており、創作当時すでに当用漢字表から除外されていた「棄てる」をあえて使用することで、森田ミツがイエスのように人々から「棄てられた」人であるとともに、人々のために自らを「棄てる」ことによって聖なる領域へと高められ、遠藤が抱くイエスのイメージを映し出した人物として描かれていることについて解説がなされました。
 また、生涯を静岡県の病院でハンセン病患者のために捧げ、森田ミツの直接のモデルとなった井深 八重氏についての紹介がなされ、これまでも文学館にモデルについての問い合わせがあったこともあり、大変参考になる講義でした。


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