2.運転手さんの技術に感動する風頭山コース
(長崎バス・50番系統 愛宕経由)ルート間160円、所要時間約24分
ルート長崎駅前東口→桜町→市役所前→興善町→県庁前→中央橋→浜の町→思案橋→崇福寺入口→東小島→白糸→愛宕町→白木→愛宕町団地前→風頭山(終点)

風頭行きバス

長崎駅前東口から中央橋までは「立山・浜平コース」と同じルート。このコースでも左側シートをキープしよう!

風頭行きは県庁坂の中央橋バス停から中島川に架かる“中央橋”上を直進し、路面電車も走る“春雨通り”に入る。すると右手は銅座、左手は浜の町という長崎一の繁華街。歩いていると気づかないビルの看板なども目に入って面白い。そういえばこの通りには“松竹会館”という映画館があった。寅さんなんかの似顔絵看板があったな〜などと、ふとひと昔前の情景が思い浮かぶ。


松竹会館


この界隈も改めて観察するとここ10年程で商店がすっかり入れ替わり、昔ながらの店はめっきり少なくなった。そんな中“老舗”と呼べる店を発見! 昭和22年(1947)創業の“マツヤ万年筆病院”は今も健在だ! 初代は明治時代の国産万年筆メーカーの工場長だった万年筆一筋のお方。“病院”と付くのがこの店がこの店たる所以で、店内には現在3代目にあたるご主人が一本一本健康診断した万年筆が並んでいるそうだ。こだわり派の人は、ぜひチェックしてみよう。



マツヤ万年筆病院

また、バスの中からだとちょっと分かりづらいが、浜の町バス停を過ぎると右手に“銅座市場”、思案橋バス停を過ぎると、左手に“金光(きんこう)市場”がある。町のあちこちらこちらに点在する市場。途中下車していつもとは違う市場を散策するのも楽しいかもしれない。

思案橋、というように、かつてここには川が流れ、橋が架かっていた。右手に丸山花街から川岸に留めてあった小舟に乗って出島へと向かう遊女に思いを馳せてみるのも一興だ。

崇福寺入口バス停
を過ぎると、バスは曲がりくねった坂道を上っていく。両側には斜面地にビッシリと建つ家々。左前方、山の中腹辺りに“祇園さん”(八坂神社)と、“清水さん”(清水寺)が見える。京都の清水寺の清水の舞台を模した石垣は圧巻! 春には、祇園さんと清水さんとの間に大きな桜が花開き、地元の花見客で賑わう人気スポットだ。

進行方向右手は、東小島、中小島、上小島など広い面積を持つ小島エリア。バス停は東小島バス停小島バス停上小島バス停と続き、その間、左側にそびえるこんもりとした“愛宕山”に沿ってバスは走る。この山は、寛永20年(1643)、願成寺に愛宕大権現を祀り、山号を愛宕山としたことから愛宕山と呼ばれるようになった山岳信仰の場。山の形がとっても美しい円錐形で、江戸時代には“長崎十二景”の一つに数えられ多くの絵に描かれた山だ。


愛宕山を望む

次のバス停、白糸バス停の“白糸”は、昔、上が平らになっている大きな岩が二段になって川の真ん中にあり、水が流れるとたくさんの糸が並んでいるように見え、“白糸の滝”と呼ばれる景勝地だったことに由来する。今では住宅が密集して、当時の美しさとは程遠いのだろうがわずかにその形跡を残している。

そして、このコースの第一の難関(?)であり、最大の見せ場が、愛宕町バス停から白木バス停までの道。これぞ坂の町・長崎! といった坂道&カーブ&細道をものともせずギュンギュン突き進むバス。

ここは路地ではないのだが、バス道路とは思えないヘアピンカーブがある。長崎の住人ならば、慣れ慣れで驚き度はゼロだが、観光や初めての方には衝撃的だろう。バスとバスは運転手さん同士の息のあった連係プレイでこのカーブでかち合うなんてことはありえないが、不慣れな自家用車とバスがなかなか離合できない!なんてことは日常茶飯事だ。このヘアピンカーブを過ぎてもバスとバスが離合する際はスレスレギリギリ! その場面に出くわしたら、誰もが「長崎のバスの運転手さんの技術はおそらく日本一だろうなぁ」と感じることだろう。


バスとバス大接近
さて、愛宕町団地前バス停まで上ってくれば、ギリギリではあるが離合するに充分の道幅が確保されているので一安心。この辺りは文字通り彦山を望めるため彦見町(ひこみちょう)という町名で閑静な住宅地となっている。

彦山を望む
風頭山(終点)に到着すると、長崎港と稲佐山の風景が広がる。ここから徒歩7分程度で、“長崎ハタ資料館”や、坂本龍馬像が立つ“風頭公園”に行くことができ、さらに素晴らしい眺望が広がるのでぜひ足を運んでみよう。


風頭からの眺望

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