黄檗宗伝来の地・興福寺
寺院の魅力を倍増させる魅力とは?

長崎屈指の観光地・興福寺歴代住職の魅力、
また伽藍(寺院の建物)の魅力は見えてきただろうか?
では、隠然禅師が開山して今年で350年。
数々の中国文化がもたらされた伝来の地・興福寺の
現在の魅力に目を向けてみよう。



興福寺の価値を今に伝える
32代興福寺住職のもてなしの心

原爆で被害を受けた寺院の復興を全力で手掛け、隠元禅師の渡来以来伝わる※普茶料理(ふちゃりょうり)に現代の工夫を重ねて興福寺スタイルの普茶料理を完成させた先代の意志を引き継ぎ、現在住職を務めておられるのは32代住職・松尾法道さん。松尾住職は興福寺の価値や特性をいかし、境内を利用したおもてなしや、イベントなど見学する方へ様々な心配りをされている。
現代の住職の役割はより多くの方に興福寺の素晴らしさを伝えることなのだ。
(※黄檗宗の中国式精進料理)


32代住職 松尾法道さん


●黄檗池を眺めながらの一服

現在、三江会所跡には「東明燕(とうめいえん)」と呼ばれる小庭園が造られている。庭の池は「黄檗池」と呼ばれるもので、江戸時代に造られたもの。“どうぞご自由にお上がり下さい”と記された庫裡(くり)では、この黄檗池を眺めながらお抹茶をいただくことができる。四季折々の器にたてられたお抹茶と、週替りの和菓子に魅せられ、半年間、毎週通われた方もいるのだとか。寺町散策のちょうど中継地点に位置する由緒ある唐寺・興福寺で、ときにはゆっくり、流れる時間を楽しみながら一服するのもいいだろう。
お抹茶(お菓子付き)600円

●境内の魅力を倍増させるイベント満載
節分やお彼岸、お盆などの年間行事に加え、本堂や本堂前の庭などを利用したコンサートやイベントも興福寺の魅力の一つ。大雄宝殿の内部は二層吹き抜けの大空間のためとても音響効果がよく、シチュエーションと共にここでのコンサートはいつも好評だ。また、境内のあらゆる所に花々が活けられたり、展示会が行なわれたりと他のホールでは味わえない空間と余韻の美が広がるイベントが四季折々に用意されている。

●三江会所門を利用した図書室
三江会所門の空スペースは、現在檀家さんと寺の所有書5000冊を集めた図書室となっていて、週末のみ開放されている。蔵書は専門書から文学書まで幅広い。気に入った本を手に美しい文化財に囲まれながらお気に入りの場所で読書を楽しむ!というのも興福寺の新たな過ごし方だ。
図書室

●映画『解夏(げげ)』の舞台である興福寺
さだまさし原作で今年映画化、※ドラマ化された『解夏(げげ)』。山門をくぐった場所は、まさに主演の大沢たかおと、石田ゆり子が演じた映画『解夏』のクライマックスシーン。映画にも登場した「さるすべりの木」がある。取材時、映画を見て長崎を訪れた若い女性2人が、受け付けの男性に映画の裏話などを教わっていた。近頃は映画を見て興福寺を訪ねる人々も多いようだ。
(※ドラマ名は『愛し君へ』だった)


check! check! 興福寺で楽しむ光と影の芸術

興福寺境内を見学する際、意識して欲しいのが光りと影の存在。例えば、大雄宝殿内部にて。入口の列の建具に組子の透かしがあるが、正面が西に面しているため、夕刻に光が入るとまるでステンドグラスのように美しいのだ。三江会所内も同様。内部が薄暗いがために際立つ太陽の光を受け浮かび上がる黄檗建築の繊細さ。ぜひ意識して見てみよう。


三江会所内にて


大雄宝殿内部にて


【東明山 興福寺(黄檗宗)】
 
●公式ホームページ/http://www31.ocn.ne.jp/~koufukuji/
●095-822-1076 寺町4-32
●時間/8:00〜17:00
●料金/大人200円・中高生150円・小人100円
●アクセス/路面電車: 長崎駅前電停から蛍茶屋行きに乗車し、公会堂前電停で下車。徒歩5分。
バス: 長崎駅前東口バス停から循環線または浜平・立山方面、網場・矢上・江の浦方面行き乗車し、公会堂前バス停で下車、徒歩5分。
車: 長崎駅前から約10分。


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