本堂のことを大雄宝殿と呼ぶのは、お釈迦様(大雄)を本尊として祀っているから。現存する長崎の4つの唐寺では全て本堂を大雄宝殿ということを覚えておこう。三官 大帝の神像は唐からもたらされたもので生き身として深く信仰されて、その証拠に御神体の 中から雄鶏の足音が聞こえると言い伝えられている。これは三官 大帝の神が幸福を授けるという唐の伝えによるものだ。 さて、この建物は寛永9年(1632)第2代住職・黙子如定禅師が建立したが、大火や暴風で大破したため再建を繰り返し、現在の建物は明治16年(1865)に再建したものだ。しかし、昭和16年に改修工事を行った直後に原爆の爆風を受け背後の山に向かって倒れかかる格好となったため、立て起こしのみを行ない現在に至っている。 近づいて見るとよくわかるが、とっても大きな建物。向かって右手庫裡(くり)側から内部へ入ると、二層分が吹き抜けになっているため、なおさら壮大に感じられる。資材は中国から運ばれ、中国工匠による中国明清風を取り入れた純粋な中国建築となっている。氷裂式組子の丸窓やアーチ型の黄檗天井、※斗拱(ときょう)や※蟻壁(ありかべ)に施された人物、鳥獣、花などの繊細な彫刻、反り屋根、そして大棟上の瓢瓶(ひょうびん)などなど中国南方建築の美しさが印象的だ。明治時代の建造物でありながら戦前は国宝に指定されていたのがスゴイ!
航海の神、媽祖様を祀った媽姐(祖)堂
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