緑濃く広々とした南方風の境内を持ち、訪れる人をホッと和ませるのどかさがある唐寺・興福寺は、かつて日本の中の中国だった。今回は観光客にとどまらず、地元の人達がこよなく愛す社交的空間、日本最古の唐寺として名高い興福寺のビジュアルガイド。
真円の創建後、3人の禅師が興福寺の住職を務めている。それぞれの住職は興福寺に、長崎に、はたまた日本に何をもたらしたのだろう? できれば、ここでも見えるお宝、見えないお宝をチェックしながら読みすすめてほしい。
今年は、隠元禅師が興福寺に入山して350年目の記念すべき年。興福寺では、1月26日に黄檗宗祖 隠元禅師東渡350年記念大法要、7月5日に東渡350周年祝賀年記念碑除幕式などの催しが行なわれ、隠元禅師の功績が改めて讃えられた。 黄檗宗の日本伝来は、宗教上だけではなく、その後の日本文化に多大な影響を与えた豊かな中国文化との出会いでもあった。 そして、そのスタート地点は、長崎の東明山興福寺だった。
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