今年特別参加の籠町・龍踊り(じゃおどり)に密着!


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供



まだまだ残暑きびしい真夏の夜、連日大徳寺公園で本格的練習真っ最中の籠町・龍踊りの龍衆(じゃしゅう)の面々。煌々と輝くライトの下、ほとばしる汗をぬぐう男達の姿は美しすぎる。そしてなおかつ、この真夏の過酷な練習を切り抜けないと、くんち独得の風吹く本番では最高の奉納踊りはできない……誰もがそう自覚している、そんな真剣な表情に強く惹きつけられてしまった。




「龍」がモチーフのTシャツを着用して練習に励む龍衆達



今回は、5年振り特別参加する籠町の龍踊り。
龍衆を取りまとめる大将、白水仁さんに龍踊りの魅力、見どころをうかがった。




6月1日の小屋入りからスタートして、8月末である現在はどういう段階ですか?

白水さん「8月前半までは自主トレがメイン、盆過ぎから本番まで仕上げて行くのが通常です。今年は46人の龍衆のうち、10人が新人。今は経験者が基礎となって、常に指導を加えている時期です。囃子方をしていた子ども達がやがて龍衆になる。何番(持ち場)を持たせるか? いろいろ試してみて決めていくんです」


コレがpoint!
「大徳寺公園で行われている熱気溢れる練習風景を見学して本番にのぞめば数倍楽しめることうけあい!月〜土曜まで19:15〜20:45まで(9月末まで/雨天中止) 9月6日(土)は八坂神社(19:15〜20:45)、9月14日(日)は諏訪神社(13:00〜)で行われる。」



龍衆は玉使いが1名、龍使いが10名ですよね。練習を観ていると何度も何度も交代を重ねていますが何交代になるんですか? 
「頭が7人、あとは3〜4人なので4交代ですね。頭が交代するとそれぞれにクセがありますから、それぞれの頭に合わせる練習をしなければいけません。何度も何度も練習を重ねていって体で覚えていくんです」


コレがpoint!
「クセに注目するのもオモシロイ。高さ、うねり、翻り方、龍衆の交代で龍の性格も変わるかも?」


どこが一番重くて難しいんですか?
「それは持ち場それぞれでそれぞれの難しさがあるというのが回答です。この龍は総重量200キロ。頭は持つだけで20キロはありますし、その後に続く2番、3番はこの頭に合わせる難しさがある。そして4番から7番、8番から10番と、それぞれに動きが微妙にあるいは全く違うんです」

コレがpoint!
「10番が持つのは龍のしっぽ。生きているようにみせるには相当な技量が必要なポジションだ。このしっぽの動きにもぜひ注目しよう!」


練習用と、2番龍と本番用の龍。龍は3体あるんですね。練習用は過酷な練習のせいでもうボロボロですね。
「練習用も本番用も今は自分たちで修理しているんですよ。以前は修理に出していたんですが、昭和57年の水害以降、昭和58年からずっとですね」


コレがpoint!
「本番用の龍のウロコも自分たちの手で製作。龍に対する思い入れが、本番、そのウロコの輝きから見て取れること間違いなし! 今の段階では大切に保管中の本番用の龍。まだ見せられません。」


曳き物や担ぎ物では、本番の時根曳衆や担ぎ手が衣裳を脱いで片腕だしたり、手ぬぐいを投げたりというパフォーマンスがありますが、龍踊りにはそのテの「脱ぎ時」ってありますか?
そして最後に、籠町・龍踊りの見どころを教えてください。

「龍は雲の上で踊っているんです。いうなれば雲の下が雨でも関係ないんですよ。龍衆は黒子ですからね、龍踊りで龍衆を“見せる”必要がないんですよ。諏訪神社の奉納踊りである龍踊りは、唐人屋敷の中国人から伝わった籠町のものが全てのベースになっています。玉追い、玉探し、玉追い……これが全てです。“静と動”、生きているかのように踊る龍の姿に注目してください」



ラッパ

龍の動き

囃子方

コレがpoint!
「“脱ぎ時”はいわばアクセント。すると龍踊りの醍醐味である“静と動”の“動”の部分といえる。囃子方が、躍動感あふれるラッパが、そして龍衆の巧みな技と努力によって生を吹き込まれた龍の動き。籠町・龍踊りの“静と動”を存分に堪能しよう!」



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