ナガジン推奨! コレがpoint!ベスト10
 
驚愕の“走る神輿(みこし)”に大興奮!
神輿とは元来しずしずと行くものというのが常識。神輿が走るなんて考えられる? しかも坂段。急な坂段を駆け下り、駆け上がる、これが見どころでない訳がない! 前日である7日が神輿の御渡御(おくだり)諏訪神社から御旅所(おたびしょ)へ向かう。そして後日9日が御還御(おのぼり)で御旅所から還ってくるのだ。迫力あるこの純神事は一見の価値ありだ(共に午後1時発)。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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長崎っ子の心踊らせるシャギリの音

五感から感じとる四季は不思議と体に染みついていて即座に反応する。くんちのシャギリも例にもれず。どこからともなく聞こえてくるシャギリの音に長崎っ子は気もそぞろになってしまうのだ。長崎くんちのシャギリは笛と〆太鼓を用いていてどこか哀調ただよう独特の旋律を奏でる。注目したいのはシャギリの囃子方は神様に奉納する敬神の念から敷物を一切使用せず土下座だということだ。シャギリの囃子方は専門の人たちがいて、毎年参加する。長崎くんちになくてはならない大きな存在なのだ。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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自分の掛け声で臨場感が増す!

長崎くんちの掛け声には独特のものがある。まずは御存知「モッテコ〜イ」。いわゆるアンコールの際に使用するという考えは間違いで、なかなか入場してこない場合など催促の場合も使われる。注意したいのが本踊りの場合のアンコール。この場面では所望するからもうひとつやれ、という意味の「ショモ〜ヤ〜レ」が使われるのだ。そして傘鉾が回る時に掛けるのが「フト〜マワレ〜」(大きな輪を描いて雄大に回れ)の掛け声。そして、全てに通じる決めの掛け声が「ヨイヤ〜」。よくやった!感動した!と、盛大な拍手と共に掛ける出演者にとっては最高の掛け声だ。

   

争ってでも手に入れたい!縁起もの・まきもの

本来は出演者が祝儀(お花)を頂いた人に差し上げる引出物をまきものというのだが、これを開演に先立って観客席にばらまくものという認識の方が一般的だろう。各踊町は町印やその町の演し物にちなんだ図案を染めた日本手ぬぐいを作る。出演者が整列し挨拶した直後に観客は一斉に立ち上がり両手を広げ、争って各町の手ぬぐいを手に入れるのだ。おめでたい縁起ものであるこのまきもの、根曳(ねびき)や担ぎ手がしている鉢巻(手ぬぐい)を投げたものを手にすることができたら、さらに輪をかけた縁起ものといえるだろう。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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長崎くんち見物の特等席・長坂

社殿へ続く最後の坂段、73段あるお諏訪の長坂は、長崎くんち見物の特等席。何しろ真正面に演し物を眺められる上に無料なのだ。以前は寝袋、食料持参で随分前から座り込み、徹夜で席をとる常連さんが急増。徹夜する人達が時間つぶしにくんちの演し物を手作りで製作し楽しむ「ウラくんち」なども登場し賑わったものだったが、現在はこの長坂、徹夜する必要がないよう整理券を発行するようになった。本番でこの一等席である長坂を盛り上げているのが「長坂」と書かれた白筒袖を来た長坂連(白ドッポ組)。掛け声の掛け方を指導したり、モッテコイの声に応じず坂を下ろうとする踊町に交渉して再び踊馬場へ連れ戻したりしてくれる力強い存在だ。ここで注意!この長坂連から「帽子とれ!」と指差し叱られる観光客が毎年いるが、神様に奉納する演し物を帽子を被って見物することはNGだということを心得ていよう。早めにまきものの手ぬぐいを手に入れ頭に巻くことをオススメしたい。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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踊町の看板!華麗なる傘鉾の円舞

踊町の行列の先頭に立つのが町印である傘鉾(かさぼこ)。初期には簡素だったがしだいに大きくなり、意匠や細工に工夫が凝らされるようになったようだ。重量は大体130〜150キロ。観光客の中には「ただ回るだけで退屈」という声もしばしば聞かれるが、これはとんでもない誤解。真のくんち好きにはこの傘鉾の円舞に魅せられた人が少なくない。どこから観ても美しくみえるように、重々しくみえるように舞う、というのが傘鉾師の信条。実はこの傘鉾をまわしているのはそれ専門の人たち。6つの組があり、それぞれの踊町を受け持つ。傘鉾師の舞は、熟練された玄人の舞なのだ。「フト〜マワレ〜」(大きな輪を描いて雄大に回れ)の掛け声に応えての素晴らしい舞いに、「ヨイヤ〜」(よくやった!)という惜しみない掛け声が長坂から桟敷席から一斉に掛かる。シンプルな傘鉾の円舞には酔いしれるだけの魅力たっぷりなのだ。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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重要かつ名誉ある長采(ながさい)の存在

今年奉納される川船や龍宮船、御座船などの曳き物を曳く若い衆を根曳(ねびき)と呼ぶが、根曳とは別に周囲に4人の添根曳という人達がいる。彼らは直接手を掛けて曳かず、采を持っていて前進、後退、回しの調整をするのが役目。着物の裾を翻し足を踏ん張り回しのサインの采を振り回す姿は勇ましく惚れ惚れしてしまう。その中でひときわ長い采を持っているのが総指揮者である長采。この長采のポジションは最も重要で、とても名誉なこと。長采の動きにも大注目だ!


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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艶やかな演出に心弾む瞬間“脱ぎ時”

川船などの曳き物や、コッコデショなどの担ぎ物では、クライマックスで根曳衆や担ぎ手が衣裳を脱いで片腕だしたり、空に向かって放つ見せ場がある。この“脱ぎ時”を迎えた瞬間に、観客のボルテージは最高潮に達するのだ。この感動は諏訪、八坂、公会堂前、御旅所でしか味わえない代物。テレビの前の感動とは数百倍違うと考えよう。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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庭先回り情報を随時発信!おくんち・ナビ

各神社、御旅所、公会堂前などを済ませたあとは、各踊町庭先回りに移る。これは踊町が市内の家や店、会社や銀行、官公庁に敬意を表して短い踊りやお囃子を演じるもの。あらかじめこのルートは決まっているので、先回りすると各踊町に出会うことができる。この庭先回り情報を発信しているのが「おくんち・ナビ」。長崎くんちの公式HPからリンクできるのでぜひ役立てよう。


写真:(株)ナガサキ・フォト・サービス提供


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伝わる感動、後日(あとび)の涙

後日とはつまり最終日の9日のこと。華麗な演し物を披露し続けてきた面々が力を出し切った感動からだろう、なんとも美しい涙をみせる場面に出くわす。諏訪神社で、公会堂前広場で、そして各踊町に戻ってからの涙。本番までの長い練習期間を乗り越えた満足感と共に緊張と共にスタートした初日から3日間、満足のいく奉納ができた充実感が頂点に達した瞬間なのだ。

   

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