●賑やかさの裏に潜む悲しみ……精霊流し
8月に入るとあちこちで車道の脇に作りかけの精霊船を見かけるようになる。故人の趣味趣向をふんだんに盛り込んだ特徴的な船が親族縁者の手によって少しずつ作られていくのだ。 昔は葬儀の際、今のような生花ではなく造花の花輪を贈り、翌年精霊船につけるようにそれを大切にとっておいたのだとか。 松尾住職「精霊船を造れないおばあさんなどは、作り手におにぎりを握る。みんなそれぞれできることに手を貸すんですよね。担ぎ手に親類の友達までも借り出す……故人を知らない人縁のない人も含め多くの人が関わり、送る風習が素晴らしいんです」
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