2.歴史の泉〜祈りの泉
●木々と泉に囲まれた憩いの空間●

ドックハウスから下りた場所にある「歴史の泉」
有田焼陶板モザイク壁面をはめこんだ壁泉は、長崎の開港を象徴するために船の錨と船窓がかたどってある。
まさしく長崎の歴史の象徴がモチーフというわけだ。





この壁泉前のスペースは、様々な催し物も行なわれるイベント広場。

芝生部分の周りには様々な種類のバラが植えられている。

見落としがちになるが、壁泉前には、市中から移築された洋館のひとつ、旧長崎高商表門衛所がある。
現在の長崎大学経済学部で、明治38年(1905)に創立し、東京・神戸に次ぐ古い歴史と伝統を誇っていた長崎高商。
この表門衛所は学校創立の遺構で、以後70年間若者たちの出入りを見つめてきたものだ。
モダンな装飾があるかと思えば中は障子の間、まさに和洋折衷!



さて、イベント広場を右手に坂を下って行くと、左手方向に旧ウォ−カー住宅



右手に旧地方裁判所長官舎が見えてくる。

まずは旧地方裁判所長官舎へ入ってみよう。
この建物は明治16年建築、元長崎会所跡(上町・長崎県立美術博物館前付近)に建っていたものを昭和54年に移転、洋風の様式を取り入れた住宅で、明治の西欧化を反映した貴重な遺構のひとつ。

現在ここはレトロ写真館として、レトロなドレスなどの衣裳を身にまといグラバー一家と記念撮影ができるようになっている。 男性用や子ども用もあるのでご心配なく!
ぜひ立ち寄って思い出の一枚を押さえよう。

レトロ写真館の営業時間
8月:毎日 10:00〜19:30
7、9、10月:毎日 10:00〜16:00(受付15:30まで)、
      ただし金、土、日、祝日は10:00〜19:30
その他の月:毎日 10:00〜16:00(受付15:30まで)
料金:30分500円(1人)



それでは、向かいの旧ウォ−カー住宅へと入ってみよう。
この建物の旧主、英国人ロバート・ニ−ル・ウォーカーは東洋航路「高千穂丸」の船長として名を馳せ、初期の日本海運業界に多大な功績を残した人物。
邸内では扇風機型電気ストーブなど、当時の貴重な機器や遺品などが展示されている。


寝室のベッドが小さいような気もするが、園長さん曰く「初めから夫人用として作らせたのではないか?」とのこと。
また、観光客の中に「随分狭いなぁ……」と口にしている人も多いが、この建物は明治16年頃から約70年間、息子と共に住んでいたという大浦天主堂より少し高台にあった旧邸の一部を移築したもの。
夫人が日本人で、また親日家であったことからか日本様式をとり入れた趣きのある佇まいを見せている。

しかし何といっても海を望むテラスには魅せられる。
本来あった場所でもこのテラスは海を望む方向にあったとか。
しばらくベンチに腰を下ろして長崎港を眺めてみるのもいいかも。



旧ウォ−カー住宅横にある壁泉「祈りの泉」は、キリシタン迫害による隠れキリシタンの苦悩と救いを象徴したもの。
ここには長崎の哀しい歴史と祈りが表現されている。





壁泉前には港を眺められる方向にベンチがある。
ここは木々に囲まれ爽やかな風が通り抜ける憩いの空間だ。


ヒューマンCheck!●ウォ−カーさんってどんな人?


明治31年(1898)に長崎でウォーカー商会を設立。
海運業をはじめ、のちに日本初の本格的清涼飲料水を製造・販売する会社を設立。
長崎外国人居留地の実業界、社交界において中心的人物として活躍した。
サイダーやレモネードなどの商品に「バンザイ炭酸飲料社」というネーミングをつけたほどの親日家としても知られる。
晩年は息子に事業を譲り、ウォ−カー氏はカナダへ移住したらしい。


〈2/5頁〉
【1.入口〜旧三菱第2ドックハウス】
【2.歴史の泉〜祈りの泉】
【3.旧リンガー住宅〜旧スチイル記念学校】
【4.三浦環像〜旧自由亭】
【5.旧グラバー住宅〜長崎伝統芸能館】


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