現在、中島川に架かる石橋の中で、観光といえば眼鏡橋が主流。
しかし、石橋が連なる風景がこの中島川の最大の魅力なのだ。

そこで今回のナガジンは中島川周辺の情緒ある風景を
楽しみながら歩く散策コースを提案!
それぞれの橋の違いや川端に咲く花々を楽しみながらのんびり1時間!
この寄り道散策を通じて、中島川に架かる石橋の壮大さと、
歴史ある風情を楽しんでもらえたら……。

ズバリ!今回のテーマは
「長崎の母なる川、中島川で自然に親しむ」なのだ。



取材メモ・「中島川石橋群」

Check!●通過する橋の名前を頭に入れておこう!


袋橋 - 眼鏡橋 - 魚市橋 - 東新橋 - すすきはら橋 - 一覧橋 - 古町橋 - 編笠橋 - 大井手橋 - 桃渓(ももたに)橋 - 高麗橋 - 阿弥陀橋

中島川には14のアーチ型石橋があったが、昭和57年(1982)7月23日の長崎大水害によって眼鏡橋ほか2橋が一部崩壊、6橋が流出した。
眼鏡橋は昭和58年(1983)10月、桃渓橋、袋橋は昭和60年(1985)1月に復元。
また大井手橋、すすきはら橋がコンクリート橋に改められ、編笠橋、古町橋、一覧橋、東新橋が昭和の石橋として昭和61年(1986)3月に架設された。



1.賑橋電停〜袋橋〜眼鏡橋

下流は出島の方へと流れ着くこの中島川。
長崎開港(1570)から出島が置かれた鎖国時代、貿易のための水運利用によってこの川は長崎の町の中心となっていった。
特に長崎港内に停泊した外国船からの荷揚げは小舟に小分けされて中島川を遡り、各町ごとに陸揚げされて商いが行なわれていたのだという。
今は浅くてたとえ小舟でも上れそうにないが、昔は橋の欄干の上から飛び込んで泳げるほど深く、水もきれいだったらしい。
さて、今回の出発地点は賑橋電停




下流まで常盤橋、賑橋、萬(よろず)橋、鉄(くろがね)橋と、あと4つあるが、現在は全て鉄筋コンクリートの橋。
交通量も多く、静かな散策には不向きなので、今回は賑橋電停から電車通りを一本入りすぐ左側に見えてくる袋橋から見て行くとしよう。


袋橋の架設年代は不明だが、一説によると寛永11年(1634)架設の眼鏡橋に次ぐ古いもので慶安年間(1648〜1652)と推定される。
この袋橋は昭和57年(1982)の長崎大水害の時に半壊したものの流失するまではいたらなかった。
構造的にも素晴らしく、もっぱら眼鏡橋を撮影する人で賑わう地味な橋だが、ホントは凄い橋なのだ。
しかも現在でも車も通るアーチ型の袋橋。
この橋を渡るときは、十分な注意を。

袋橋の脇には小さな公園がある。
ここには長崎大水害を忘れないための記念碑、カッパの絵で知られる清水崑の「ぼんたくん」と題したカッパ像がある。



中島川にかかる石橋群の中で、主役は何と言っても日本初のアーチ型石橋の眼鏡橋
川面に映った影が双円を描き、眼鏡に見えるのでズバリ!眼鏡橋だ。
皇居の二重橋のモデルでもあるってこと知ってる?
さて観光客の皆さんは、当然のように眼鏡橋をカメラにおさめているが、ここで撮影のポイントを伝授しておこう!

1.眼鏡橋のみの撮影ならば、一つ前の袋橋、もしくは橋下に下りて袋橋方向から。
でないと眼鏡の形にならないので注意!!


(袋橋方面から)

(魚市橋方面から)


2.
人物を入れての撮影ならば、眼鏡の形にこだわらなければ両サイドから、こだわるならやはり橋下に下りて袋橋方向から撮るのがいいでしょう。

さてさて石橋群とセットで川沿いの風景を構成しているのは、緑が美しい柳。

そして、季節ごとに様々な花が彩りを添えている。
川沿いには花壇が整備され、
ところどころにベンチが配置されている。


時間があるならば、このベンチに座って耳を澄ませてみよう。
しばらくすると水の音、鳥のさえずりが自然と耳に入ってくるはず。

橋下へ下る石段に腰をかけるのもおすすめしたい。


一息入れたくなるとここへ足を運ぶ地元の人も多く、春や秋のいいシーズンにはお弁当を広げるOLの姿をよく目にする、市民にも親しまれている憩いの場だ。
この時期の中島川散策には必需品のチリンチリンアイスもホッと一息のお供にどうぞ。

Check!●チリンチリンアイス(眼鏡橋アイス)

修学旅行生が群がる人気の屋台。
実はこれ、観光地(グラバー園下や、眼鏡橋付近、平和公園ほか)に出る屋台のアイスクリーム屋さん。
地元でしか味わえない長崎名物で、通称「チリンチリンアイス」。



しかし近頃、眼鏡橋近くの屋台は眼鏡橋アイスと改名しているようだ。
昔はジャガイモを原料にしていたと伝え聞いている。
口当たりはシャーベット風で、甘さ控えめの美味しいアイス(100円)。
観光地の他にも、様々なイベントや幼稚園〜高校の体育祭などにも出店されているので、地元の人には小さい頃から馴染みのアイスと言えるのだ。


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【 2.魚市橋〜大井手橋 】
【 3.桃渓橋〜阿弥陀橋、中通り側の復路 】


||[周辺地区地図]||


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