2.魚市橋〜東新橋〜すすきはら橋〜一覧橋〜古町橋〜編笠橋〜大井手橋

眼鏡橋の次に架かる橋は、魚市橋
初めは石造アーチ橋として架けられたが、幾度となく洪水にあい、木橋、石造アーチ橋と変遷を繰り返し、現在は大正14年に架けられた鉄筋コンクリート造りの橋になっている。
名前は、昔付近に魚市場があったことにちなんだもの。
長崎港で獲れた新鮮な魚がこの橋を通って運ばれていたのだ。
現在は車の交通量が多いのが特徴。
車にはくれぐれも気をつけて!





魚市橋から次の橋を眺めてみると、今までの橋からすると川面からかなり高い橋だということが確認できる。



洋館造りの交番横を通り抜け橋の横へ立つと、橋に石段が!
この橋は東新橋
昭和57年(1982)の水害で全壊したため、水害の危険を考慮してこんなに高い橋に生まれ変わったのだ。
橋を渡るのに石段を上るのは辛いが、上ってみると眺めもよくて、気分もいい。

今来た道を振り返ってみると…右側の洋館はグラバー邸ではありません。交番です!



続いての橋は東新橋同様、水害で全壊したため昭和61年(1986)に鉄筋コンクリートの橋に改められたすすきはら橋
この橋は魚市橋以上に車の交通量が多く、ほとんど車道化している。
橋としての風情は乏しくなったが、生活に根付いた、なくてはならない大切な橋だ。
このすすきはら橋の脇には公衆トイレがあり、そのトイレ側からは橋下へ降りることができる。
中島川にはこのように下へ降りられる場所が数ケ所あり、地元の子供たちには格好の遊び場でもあり、夜はデートスポットになっている。


また、川に沿って歩いていると新しい発見があってオモシロイ。
例えば中島川を根城にしている生き物に出会えるのだ。
このすすきはら橋周辺の主はハトと鯉。
この光景、まるでハトの高層マンションって感じ!?



次からの一覧橋古町橋編笠橋この3つの橋は全て同じ特徴を持っている。
先程の東新橋を含めた4つとも、「昭和の石橋」と名付けられた大水害後に架設された橋なのだ。
そしてやはり同じように石段を上って橋を渡らなければならない。


(古町橋)


一覧橋の上から寺町方向を見ると風情漂う佇まいが続いている。
今ではビルが立ち並び見ることができないが、往時は興福寺の開山堂が見えたのだとか。
人力車が通るため、そのころより石畳に舗装されていた。



人々は寺町の寺へとこれらの橋を通って向かっていたようだ。
一覧橋から古町橋を望むと江戸時代の情緒がかすかに感じられる。
その昔、長崎を訪れた芥川龍之介もこの一帯の風景に深い感動を受けたという。
この情緒ある風景には、木々に囲まれた広大な敷地に立つ「光永寺」の存在が大きい。
光永寺は安政元年(1854)19歳の福沢諭吉が蘭学を学ぶために来崎した際にしばらく居候をしていたことで有名な寺だ。
古町橋の脇には大水害で流されたものだろうか、「ふるまち橋」と刻まれた親柱が残されている。



古町橋の次の橋は、編笠橋
この名前の由来がオモシロイので解説しておこう。
昔この周辺一帯には遊廓があったのだが、長崎に在勤していた武士達は橋を渡るのに遠くからでもすぐ誰だかわかるのではばかれていた。
ところが、ある男が編笠を着けてゆうゆうと渡ったので、以来みんな編笠を被って渡るようになったためこの名前が付いたのだった。


今は鉄筋コンクリートとなった大井手橋は、小説や映画で広く知られるようになったあの『ぶらぶら節』にも歌われている。
♪大井手町の橋の上で、子供のハタ(凧)けんか、世話町が四、五日ぶらぶら、ぶら〜りぶら〜りというたもんだいちゅう♪
この橋の横には静寂に包まれた宮の下公園があり、いつも子供連れやお年寄りなどがのどかな時間を楽しんでいる。

 

Check!●中島川に生息する生き物たち

中島川で見られる生き物はほかにサギ、カモ、スッポン、アユなど。
サギとカモは日によって、または時間によって場所を移動しているようだった。
スッポンは袋橋近くで数回目撃! よ〜く覗き込んでみよう!
下水道が、上流まで完備したため水質がよくなり、最近はアユが観察されている。


Check!●各寺への参道的役割

中島川に架かる石橋は、川向こうの寺への門前橋の役割のために架けられたのではないか?という説がある。
寺への参道の役割を担う橋ならば、当然興福寺の2代目住職・黙子如定(もくすにょじょう)が架設した眼鏡橋の先には興福寺があるに違いない……と思いきや違うのデス。
なぜか直線ではなく、一度曲がって山門をくぐるよう建てられているのだった。
興福寺への参道である橋は、一覧橋。
一説によると、直線では悪い「気」などが入って来るから。
いうなれば一種の「魔除け」だ。



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【 1.賑橋電停〜眼鏡橋 】
【 3.桃渓橋〜阿弥陀橋、中通り側の復路 】


||[周辺地区地図]||