皆さんは観光名所を訪れた時、当然写真を撮りますよね。
『シャッターチャンス@長崎』では、「長崎の観光名所はこの角度で撮るのがベスト!」という「ベストポジション」をご紹介しています。
また、長崎の街は数々の映画の舞台にもなっています。「あの映画のあのシーンはここで撮影された」という場所を見つけ、時にはその現場の「ベストポジション」もご紹介。
長崎の旅の記念になる最高の一枚を撮るためにぜひぜひお役立てください。


第6回目は、映画『獣たちの熱い眠り』のロケ地、オランダ坂です。


映画は村川透監督、昭和56年(1981)に公開された三浦友和主演の作品。
プロテニスの花形プレーヤーである三浦友和が、長崎で恐喝組織の罠にかかり、業界を追放されるのですが、その事件を解明して組織に復讐するというアクション映画です。当時、山口百恵との結婚が話題となっていた三浦友和を一目見ようとロケ地には多くのファンがつめかけ、現場は騒然となりました。ロケは昭和会病院上のヘアピンカーブを三浦友和が白い車で走るシーンや、眼鏡橋下での乱闘シーンなどです。


昭和会病院上のヘアピンカーブ
は、開国後に幕府が設置した外国人居留地である東山手の丘にあるオランダ坂の一部です


<昭和会病院上のヘアピンカーブ>

オランダ坂
というと、一般に大浦海岸通から活水学院への上り坂や、路面電車の終点・石橋側、東山手洋風住宅群横の坂、または活水学院横の坂道のことをいっています。
しかし本来「オランダ坂」の意味は、居留地に住む外国人達が通る坂道という意味合いだったため、居留地内にある坂道はすべてオランダ坂と呼ばれていたのです。ちなみに南山手の大浦天主堂へ続く坂道は当時の地名をとって「下り松オランダ坂」といわれていました。


<東山手洋風住宅群横のオランダ坂>


<大浦海岸通から活水学院へ続くオランダ坂 >


<活水学院横のオランダ坂>


長崎の人は鎖国時代に出島に住んだオランダ人の印象が色濃く残っていたため、開国後に様々な国の外国人が入ってきても東洋人以外をすべて「オランダさん」と呼んでいたのです。
それでは居留地に住む外国人が何故この道を行き交ったのでしょう?
それはちょうど昭和会上のペアピンカーブを上った右上に、1862年(文久2)、日本初のプロテスタント教会「英国聖公会会堂」が建設されたからでした。
居留地に住む外国人達はこの高台にある教会へ礼拝するために各方面の坂道を上り下りしたのでしょう。今では『英国聖公会会堂跡』の石碑が置かれているだけですが、この脇の石段から見下ろす風景は、石畳、マントルピースがある洋館、そして長崎港がセットになった東山手風情といわれ、長崎らしい風景が見られる場所です。


<日本初のプロテスタント教会
「英国聖公会会堂」跡地
>



<東山手風情といわれる風景>

ぜひ、オランダ坂の語源を踏まえ居留地跡を歩いてみてください。石畳の坂だけでなく、石垣、レンガ塀、樹木……ベストショットを決めるアイテムがたくさん溢れていますよ。



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