長崎県内にはたくさんの蔵元がありますが、作られる焼酎の主流は麦焼酎です。特に壱岐は麦焼酎発祥の地として全国的に知られています。焼酎党の人たちはなぜ長崎市内に蔵元がないんだろうと一度は思われたこともあるでしょう。 そんな長崎市内に30年ぶりに酒造元ができました。平成22年9月に長崎市外海地区で産声をあげた「霧氷酒造」です。  

焼酎づくりは、蒸留の技術が14世紀にタイから伝えられた事をきっかけに始まったとされています。当時の焼酎は米焼酎が主流であり、様々な原料の焼酎が造られるようになったのは、江戸時代からといわれています。江戸時代は、米が年貢の対象として大変貴重なものだったため、焼酎造りに利用することが難しかったのです。そこで当時の人たちは苦労を重ね、芋や麦など様々な原料を用いた焼酎を造りました。これが現在の焼酎の基盤になっていったのです。  

霧氷酒造はもともと明治末期に島原市で創業された酒造会社でしたが、雲仙普賢岳の噴火と土石流災害で生産できなくなりました。長崎の酒造りをなんとかして残したいという思いから原料である芋の生産地に近い長崎市外海で再建に着手したのです。地元の農家約20戸と契約栽培した「黄金千貫(こがねせんがん)」という品種を使い、長崎らしいそのままの味を楽しめる酒にこだわっています。

生産している「ながさき満々(まんまん)」は、原料は黄金千貫、麹は国産米の白麹を使って常圧蒸留したものです。芋の甘さが良く出ており、香りが先立ち、後から味わいが次第に広がっていく飲み飽きしない焼酎になっています。

「満々」とは、満ち満ちている様子の意味で、長崎には、歴史や文化、景観、さらに人情など、様々なものが満ちています。そんな長崎を凝縮した地酒でありたい、さらに長崎がいつまでも賑わいのあふれる街であることを願って名づけられたそうです。今夜は、そんな長崎の焼酎で乾杯して人も町も元気になりたいものです。

霧氷酒造 http://www.nagasaki-muhyou.com







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