赤かぶ」は別名「片淵かぶ」ともいわれ、光沢のある赤紫色と葉の緑が対照的な、とてもきれいな野菜です。この色を出しているのはアントシアンというワインの赤い色と同じ成分だそうで、美しい色に納得です。
この赤い色が他の野菜と交雑せずに残ったのは、昔は長崎でも片淵地区のごく限られた場所で栽培されたからだといわれています。今でもこの地区では川を隔てて、東側のかぶの方が西側でできたかぶよりもきれいな赤が出るのだそうです。

かぶの原産地はアフガニスタンあたりか、これに地中海沿岸の南ヨーロッパを加えた地域で、日本に渡来したのは弥生時代だといわれています。文献として確かに残っているのは、「日本書紀」で、持統天皇の時(693年)に五穀(主食)を補う作物として栽培を奨励するおふれを出したと記されているのが最初です。その後各地に土着していろいろな品種が改良、栽培されてきました。
長崎赤かぶの歴史も古いのですが、ツンベルグの日本紀行(1775〜1776)では洋種と記載されている他は、諸説あり今ひとつ明確ではありません。もっと古い時代から栽培されていたのではともいわれています。


歴史の古さはともかく、長崎赤かぶは長崎の人たちにはなじみの深い野菜で、酢の物にしたり、漬け物にしたりと赤い色と独特の風味や歯ごたえを楽しみます。昔は赤い色が出るので「くんちなます」にも使われていました。現在ではながさき伝統野菜の一つとして、木場地区をはじめ各地で栽培が盛んです。料理方法も昔ながらの漬け物・酢の物ばかりではなく、煮物にするなど様々なレシピが考えられています。この季節、自分だけの長崎赤かぶレシピにチャレンジするのもいいかもしれませんね。





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