江戸時代、唐人(中国人)により伝えられたといわれる菓子で、当初は、唐人向けのみに製造されており、地元の人々は口にすることができなかったといわれています。本格的に製造されるようになったのは、昭和28年から29年頃で長崎に観光客がたくさん訪れる様になってからです。現在では、常時10数種類の製品がつくられています。代表的なものには金銭餅よりより月餅などがあります。


「よりより」と「金銭餅」

その中でも、最近一番人気のあるものが、「よりより」でしょう。麻花(マーファ)とよばれる北京地方に古くから伝わるお菓子で、麻の糸のような形・壊れやすい形のため花の意味で名付けられたようです。いわゆる中国のかりんとうです。長崎では形そのままに「よりより」と呼ばれ、親しまれています。硬いお菓子ですが、素朴な味わいで噛むほどに甘みが出てきます。

中国古来のお金を模して作られた金銭餅(キンセンピン)は縁起の良いお菓子として、長崎には1600年頃、帰化人によって伝わり、その後長崎人にも愛好されるようになりました。媽祖祭りなどの唐寺の祭りには、このお菓子は欠かせないものです。媽祖様は航海安全の女神ということもあって、貿易繁盛を願って金銭にあやかる意味があるのでしょう。口中で胡麻の味をほのかに感じさせるまろやかな味覚の栄養豊かなお菓子です。

中国菓子の王様といえるのは、やはり月餅(げっぺい)でしょう。手に持つとずっしりと重みを感じるほど、中身がつまっている贅沢なお菓子です。材料は、ナツメ、クルミ、落花生、干しぶどう、ドライフルーツ、ハスの実などで、これらを細かく刻んだものと豚油をあんの中に入れて練り合わせ、生地に包んで焼いたものが月餅です。昔はこの月餅の表には「四海瑞光」とか「萬里無雲」などの文字が焼かれていたようです。

以前は、長崎っ子にとっては、中華菓子の詰め合わせは、贈り物やちょっとしたお届け物にはポピュラーな品物でしたが、最近では、カステラやその他のお菓子に変わりました。でも、相変わらず根強いファンがいます。たまにお菓子の王道をいく贅沢な月餅などお祝いの贈り物にいかがでしょう。



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