長崎のガラス製品は「長崎ビードロ」ともいわれます。これはポルトガル語でガラスのことをビードロというためです。元亀元年(1570)の開港以来、長崎には様々な異文化がもたらされました。長崎ビードロもそのひとつで、ポルトガルから運ばれたガラス工芸がもとになっています。ビードロとは吹きガラスのことで、熱く溶かしたガラスをパイプの先に付け、シャボン玉を膨らます要領で形造ります。その後、高温や冷え固まるまでの短い時間と戦いながら敏速かつ丁寧に工程をこなし、様々な色や形のビードロに仕上げていきます。

今回ご紹介するのは、その「長崎ビードロ」の中でも素朴で誰もが一度はその音を聞いたことのある「ぽっぺん」です。
長崎のほとんどのみやげもの店には、色とりどりの「ぽっぺん」が所狭しと並んでいます。いったい何だろうと手に取る観光客は、お店の人が吹く「ペコン、ペコン」というなんとも間の抜けたような音を聞いて「えっ、それだけ?」と思うのではないでしょうか。そうそれだけなのです。でも、きれいなビードロの音が「ペコン」というとぼけた音なんてなかなか味があると思うのですがいかがでしょう。




舟崎克彦氏の人気シリーズ「ぽっぺん先生」は、このビードロの「ぽっぺん」から来ていると言われています。
「ぽっぺん先生」はいつも皮製のつっかけをはいていて、先生が歩くと、このつっかけのかかとの音が「ペコンペコン」と鳴り、まるでぽっぺんを鳴らす音そっくりだ、ということで、このあだ名が付いたのだと「ぽっぺん先生の日曜日」に、記述があります。

なんだか落ち込んだときとか、ふと長崎を思い出すときには、このきれいなビードロ「ぽっぺん」をペコンペコンと鳴らしてみてください。心がのんびりして長崎の町に包まれたような気がしますよ。きっと・・・


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