今回は長崎市教育委員会・長崎国際文化協会主催の「文化財めぐり・清水寺〜崇福寺」で講師を務められた長崎市教育委員会文化財課事務吏員の立石明さんをナビゲーターに迎え、Let's
go to崇福寺。
まずは立石さんからの「崇福寺へ行くなら双眼鏡かオペラグラス持参」の教えを受け、片手にデジカメ、片手に双眼鏡のいでたちで三門前からスタ〜トッ!

長崎市教育委員会文化財課事務吏員・立石明さん
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1.三門(さんもん)〜第一峰門(だいいっぽうもん)
●魔除けと縁起ものが満載●
立石さん
「日本で狛犬とは一対の狛犬が並んだ場合、向って左が狛犬でオス、阿吽の吽といわれ、向って右が獅子でメス、こちらは阿吽(あうん)の阿なのですが、これは唐寺ですから中国製かと思われます。
日本の狛犬の感覚ではここの狛犬は左右ともメスの獅子で阿なのです。
しかし中国では口を開け閉めは関係無く、向かって左の毬を抱えているのがオスで、右の子獅子と戯れているのがメスだそうです。
向かって左がオスで、右がメスというのは日本も中国も同じです。
ちなみにオスが戯れている毬を繍球(しゅうきゅう)ともいい、この中から獅子が生まれると考えられているので、中国ではめでたいとされているそうです」
なるほど。でもこの獅子、どこかで目にしたことがあるような。
そうだ!新地中華街の中華料理店などの店先にもあるある!
皆さんも是非新地中華街へ出向いて見比べてみて。
ではでは屋根の両端にちょこんと乗ったあれってシャチほこ?
立石さん
「これは鯱(シャチ)または魔伽羅(まから)と呼ばれる想像上の動物です。
サンスクリット語でワニを意味し、体は水でできているとされています。
三門が2度も火災で焼失したため、火災から守ろうとする意味がこめられているようです」
立石さん
「これは獣環(じゅうかん)と言われるもので、中国ではありふれている装飾品ですが、日本ではここが唯一のものです。
以前、盗難に遭い、幸い戻ってきましたが現在では大2面小4面ともにはずされ寺で保存。
残念ながら現在のコレらは模造品なのだそうです」
模造品とは残念。
三門をくぐり、国宝・第一峰門へ向かう坂段を上る。
階段脇に置かれた袖石には、三千年に一度実をつけ、食べると寿命を伸ばす生命の果実、または悪鬼を追い払う魔除けの意があるとして中国で縁起がいいとされる桃、裏には鯉の滝登りが彫られている。
中国で鯉は龍門という急流を登りやがて龍になるとされ、これを「登竜門」という鯉は出世魚として尊重されたこれまた縁起物だ。
立石さん
「軒下などに描かれた色とりどりの文様は吉祥文様や宝尽くしと言われるものなんです。
瑞雲(ずいうん)、丁字(ちょうじ)、方勝(ほうしょう)と呼ばれる方形の首飾り、そして、現在でも漢方で珍重されている霊芝(れいし)、即ちさるのこしかけです」
裏へまわってみる。
赤い門扉に描かれているのは愛らしい青いコウモリと牡丹の花。
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立石さん
「コウモリは中国で「蝙蝠(びぇんふー)」と発音し、「蝠」が「福」と同じ音であることから中国人の最も好むものの一つとされています。
吉祥を意味し、福寿を祝うものには必ずコウモリが用いられるそうです」
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日本でコウモリというと不吉なイメージだけど、それは映画や小説の影響でごく最近のこと。かつては日本でも中国文化の影響で、また蚊など害虫を食べる益獣として縁起のいい動物とされていたのだとか。
立石さん
「第一峰門の屋根を眺めてみてください。
緑のラインでコウモリがかたどられているのが見えるでしょう?
(第一峰門をくぐり土産物店と護法堂との間に入るとよく見える)」
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青い線で囲まれた枠内です。
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