長崎伝統野菜 長崎白菜(唐人菜)

長崎のお雑煮に必ず入っているのが唐人菜として知られる長崎白菜です。長崎の雑煮はとにかく贅沢で具の多いところに特徴があります。大根の輪切り、煎海鼠(いりこ・干しなまこのこと)、ぶりの塩身、鶏肉、かまぼこ、椎茸、人参、ぎんなん、高野豆腐、くわいなど7品から15品を奇数で入れます。このなかでも唐人菜は絶対に欠かせないものです。

長崎では古くからなじんできた長崎白菜は中国の山東省から伝来したと言われています。現在でも、木場町・田手原町・東長崎地区などで生産され、旬は11月から2月初めごろまでの約3ヶ月間と短いのですが、生産農家が種を取って大切に守り伝えている伝統野菜です。
葉が巻かないため、普通の白菜よりも柔らかく独特の風味があり、雑煮以外にも鍋物やおひたし、漬け物などに使われます。特に漬け物は白菜漬けより黄色みがかっているのが特徴で、独特の風味が生きていて、味にこくがあります。


長崎白菜
をはじめ長崎の伝統野菜は京野菜などに勝るとも劣らない歴史がある野菜です。300年以上前に伝来した野菜が、今も同じように作られ、食べられ、その味は長崎の人々に愛されています。
ただ、伝統野菜は品種改良をしていないため、一つひとつの形がまちまちで病気に弱いという面があり、生産農家の方々が苦労されているところです。長い間、品種を変えずに収穫するというのはほんとうにたいへんなことなのですね。

大切に伝えてきた味を全国に広めようという動きも活発になされています。他にはない深い味わいは各方面から注目されているそうです。唐人菜の漬け物が全国に知れ渡るのもそう遠くないかもしれません。
また、食育の一環として長崎市内の小中学校の給食に伝統野菜を使うという取り組みも行われていて、子どもたちの評判はなかなかのようです。こうして唐人菜をはじめ長崎の伝統野菜の味が後世に伝わっていけばいいですね。



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