長崎でベーコンといえば、多くの人がのベーコンを思い浮かべるというほど、鯨は長崎になじみの深い食べ物です。特に赤い縁取りのあるベーコンは、子供たちが大好きな食べ物でした。今では高価になったのでなかなか食べる機会がないのが残念です。
それでも、鯨の一人あたりの消費量は全国で長崎が一番で、177.4グラム。全国平均は50.2グラムなので、3倍以上です。
今でも長崎の人は鯨をよく食べているということです。

現在私たちが食べているは、政府が行っている調査捕鯨で捕れたミンク鯨、イワシ鯨、ニタリ鯨、ナガス鯨です。鯨の肉の種類は、刺身用の赤肉、煮物用の塩鯨ベーコン末広百尋胃袋など25種類ほどあります。
長崎市内の人は、昔から畝(うね)を好んだそうです。これは畝須から硬いスノコをのぞいた部分で、贅沢な部分なのだそうです。ちなみに畝須というのは、下あごから腹にかけての部分で、畑の畝のような形状から呼ばれ、末広やベーコンに加工されるところです。

おもしろいのは、地域によって好まれるの肉の部位が違うということです。
たとえば「塩鯨」というと、長崎市内では畝をいいますが、地域が変われば部位が違ってくるのです。島原や天草、熊本、鹿児島では塩鯨は尾羽(おば=尾っぽの肉)を言いますし、佐賀では脂の多い背中の皮が売られていたため、佐賀で塩鯨というと皮のことになります。

長崎でのは、お正月やお盆、おくんちなど季節の節目や人が集まるときには欠かせないものでした。今では若い人にはなじみの薄い食べ物になっていますが、鯨のコロッケや竜田揚げなど若い人にも好まれるような形に加工して売られています。
捕鯨ととともに栄えた長崎に今も残る食文化、なんとか若い世代につなげていきたいものです。



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