「ゆうこう」は、長崎で今もっとも注目されている柑橘類のひとつで10月から2月に収穫されます。柚子よりは少し大きい果実は、熟す前は「かぼす」のような緑色をしていますが、熟すときれいな黄色になります。現在は佐賀藩であった、長崎市内の土井首地区と外海地区という限られた地域にわずか100本ほどの自生樹が確認されているだけの希少種です。
幕末から明治時代の初め、外国から来た宣教師たちが食事をするとき、日本ではおなじみの「だいだい」では、洋食には酸味が強すぎ、甘みのある「ゆうこう」が調味料として好まれたため、広く栽培が行われるようになったといわれています。しかし、時代の流れと共に、いろいろな調味料が作られるようになると、「ゆうこう」の出番は少なくなり、結局は土井首地区と外海の一部に自生するだけとなったのです。
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