ボラの卵巣を塩漬けし、乾燥整形したもので、形が(中国)のに似ているところから「からすみ」と呼ばれています。その発祥は中東であるとの説もあり、長崎へは唐より伝えられたといわれています。昔は、朝鮮人参などと同じく不老長寿の妙薬として珍重され、江戸時代には、徳川家へ代々献上されていました。当時は「越前のうに」、「三河のこのわた」とともに「天下の三珍」といわれていたそうです。

現在でも採取卵巣数が少なく、製法が難しく手間がかかるため、「からすみ」は高価なものとされています。この「からすみ」はいろいろな作業を経てできあがるわけですが、一番手間がかかるのが乾燥です。10日間から天候によっては20日間も天日に干さなければ、あのきれいなアメ色にはなりません。
秋の青く高い空の下、アメ色の「からすみ」がいっぱいに並べられている風景はなんとも美しいものです。



高価でなかなか手に入らない「からすみ」ですが、長崎ではからすみ専門店はもちろんのこと、市場の魚屋さんでも手作りの「からすみ」を販売しています。魚屋さんのからすみのいいところは、きれいな形をしているのはそれなりのお値段ですが、形が少しくずれたりしたものは半身で、もっとこまかなものはパスタ用として、かなり手頃な価格で売られていて、家庭用として利用するには最適です。



「からすみ」は、そのまま薄切りにしてお酒のおつまみにするのが一般的です。薄く切ったオレンジ色のからすみは口にいれると、濃厚な風味が広がり、まさに日本酒のおつまみとしては最高なのではないでしょうか。いただいた「からすみ」が少し硬くなって乾燥したように感じたら、しばらくお酒につけておいてから軽く炙っていただくと、またひと味違うおいしさです。贅沢に半身をほぐして、からすみのパスタというのもお薦めの食べ方です。



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