小学生ほげ太くんと、未来のロボットガラエマンとの
心あたたまる友情物語……のはずですが
ガラエマンは、いまいったい学校のどこにいるのか!?


(体育館の裏で、ほげ太が掃除をしている)

ほげ太   あ〜あ、午前の授業も給食も、ガラエマンんことの心配で
      いっちょん気の入らんやった。おかげで先生には
      「手まぜするな」てがらるっし、もう踏んだり蹴ったりばい。

みどり   穂毛くん、そこば掃わいたら、ゴミ捨て場に持っていくけん。

ほげ太   あ、森野さん。

みどり   そういえば、学校内に入りこんだ変なか大人、つかまったとやろか。

ほげ太   う、うーん、どげんやろうか。
      (ああ、せめておいには、なんか言うてきてくれんかな)

《訳》
ほげ太   あ〜あ、午前の授業も給食も、ガラエマンのことが心配で
      ぜんぜん気が入らなかったよ。おかげで先生には
      「手遊びするな」って叱られるし、もう踏んだり蹴ったりだ。

みどり   穂毛くん、そこを掃いたら、ゴミ捨て場に持っていくわよ。

ほげ太   あ、森野さん。

みどり   そういえば、学校内に入りこんだ変な大人、つかまったのかしら。

ほげ太   う、うーん、どうなんだろうね。
      (ああ、せめてぼくには、なにか言ってきてくれないかな)



(いじめっ子たちの声が聞こえ、ほげ太とみどりはあわてて物かげに隠れる。
      いじめっ子のブルコングとスシオは、同級生のモヤシを連れている)

ほげ太   あっ、モヤシくん。
      (おいんごと、あいどんにいつもからかわれよるにぶじばい)

ブルコング やいやいやいモヤシ。
      給食の三色プリン、おいにやれって言いよったやっか。
      なしてさっき、わがで食うてしもうたとや。

スシオ   やいやいやい、なして食うてしもうたとや。

モヤシ   くすん、くすん……。

《訳》
ほげ太   あっ、モヤシくん。
      (ぼくみたいに、あいつらにいつもからかわれてる鈍くさい子だ)

ブルコング やいやいやいモヤシ。
      給食の三色プリン、おれにくれって言ってただろう。
      どうしてさっき、自分で食べてしまったんだよぅ。

スシオ   やいやいやい、どうして食べてしまったんだよぅ。

モヤシ   くすん、くすん……。



みどり   (小声で)モヤシくんが可愛そうかばい。助けてやらんば。

ほげ太   (小声で)う、うん(そいはわかっとるばってんおとろしか)。

みどり   んもう、うちが行くけん。(飛び出して)やめんねあんたたち!

ほげ太   ああっ森野さん……(そん時、だいかにいきなし背中ば押され
      ついひっと出てしまう)え、ええっ!?

(ナレーション)
果たしてほげ太は、おうど坊主たちに立ち向かいゆっとやろうか!
そして、いまだわからんガラエマンの運命は!

《訳》
みどり   (小声で)モヤシくんが可愛そうだわ。助けてあげないと。

ほげ太   (小声で)う、うん(そりゃわかっちゃいるけど怖いよ)。

みどり   んもう、わたしが行くわ。(飛び出して)やめなさいよあんたたち!

ほげ太   ああっ森野さん……(その時、誰かにいきなり背中を押され
      つい飛び出してしまう)え、ええっ!?

(ナレーション)
果たしてほげ太は、悪ガキたちに立ち向かえるのだろうか!
そして、いまだわからないガラエマンの運命は!



<ワンポイント>

【手まぜ】
手遊び。「手ちんご」ともいう。

【掃わく】
掃く。ちなみに「はわき」は、ほうきのこと。

【がらるっ(がられる)】
叱られる。受動態のみで使われ、叱ることを「がる」とはいわない。
例/「はよ席につかんば、先生にがらるっぞー!」
 (「はやく席につかないと、先生に叱られるぞー!」)

【にぶじ】
鈍くさい子、もしくは人。

【ひっと出る】
飛び出す。はみ出す。
例/「ズボンからパンツのひっと出とっよ」
 (「ズボンからパンツがはみ出してるよ」)

【おうど坊主】
悪ガキ。漢字にすると横道坊主で
横道なことをする、つまり暴れたり他人に迷惑をかけたりする輩のこと。
長崎出身の、ベテランロックバンドにも「横道坊主」という名前がついている。

【おとろしか】
怖い。


次号へつづく!

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