長崎の代名詞とも呼べる眼鏡橋やオランダ坂。思えばいずれも雨の日にぬれてなお異国情緒を醸し出す石の築造物である。しかし待てよ! よくよく考えてみればそれだけではない。長崎は石だらけである。通りは新旧入り乱れた石畳。その端には石の側溝、石張りの川。時代を感じさせるりっぱな石垣、石塀。石橋は中島川に架かるものだけではなく、高台に建つ家々さえも、がっしりとした自然石が積まれた石垣の上に建てられているのだ。そこで、
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