平成18年に長崎市へ加わった琴海エリアには、変化に富んだリアス式海岸と緑豊かな景勝地が点在。波静かな大村湾を望む高台の公園や遊歩道など、ファミリーレジャーにもってこいのスポットも多い。独特の地形をいかし盛んに行われている農業、この収穫物も楽しみに……

 


ズバリ!今回のテーマは

「自然の恵みを求め爽快ドライビング!」 なのだ



●JR長崎駅前から琴海エリアまでの所要時間
約45分〜1時間


心地良い風を肌で感じようと、窓全開で走行。すると時津町を過ぎるころから高音の美しい小鳥のさえずりが絶え間なく聞こえてくる。

お隣、時津町との境にあるのは、1970年頃に造成された琴海ニュータウン。後方に広がる大村湾ときれいに並列した住宅群。対岸の「琴の海園」バス停辺りから眺めると何だか幻想的な風景だ。


海に浮かぶ琴海ニュータウン

地名である琴海は、江戸後期の儒学者で、詩文や書でも有名な頼山陽(らいさんよう)の詩に由来している。頼山陽が大村湾を旅した船中で作った詩のなかで、大村湾を琵琶湖と対比して「琴湖」と呼んだことから、その名が大村湾の別称となったというのだ。その後、琴湖の「湖」を「海」にして町名となった。長崎市に編入した今でもこの美しい名は、残され親しまれている。


美しい琴海風景

琴海のこの素晴らしい立地を利用し、相次いで造成されたのが、ゴルフ場。この近距離に海と山を満喫できるゴルフ場が3つもあるとはよくよく考えたらすごいことだ。

戸根バス停手前、進行方向右に流れる戸根川。この川に架かる崎山橋を渡り、土井の浦半島東部のオーシャンパレスゴルフクラブ方面へ。脇崎漁港まで車を走らせると、沖合1kmに浮かぶ小島が目前に。

【自然の恵み1 くつろぎスポットNo.1】 脇崎港からの眺望

脇崎港から見えるひょうたん形の小島は、ご周知の通り長崎市の栄誉市民であるさだまさしさん所有の島「詩島(うたしま)」。彼の原作の映画『解夏』ではロケ地にこの島の桟橋が使われた。かつては「寺島」と呼ばれ、いまも聖教寺院跡が残っているが、江戸時代にはキリシタン寺院があったともいわれている。つつじや黒松などの針葉樹が美しい自然が残されたこの島への定期船はないが、宿泊可能なコテージが3棟あるので、施設利用の場合は長崎空港と時津港から自家用船での送迎がある(日帰り客も可)。


脇崎から見た詩島
脇崎港からは詩島以外にも、黒島、二島などの小島も近くに見ることができる。その緩やかな島の姿形や海面に映る島影などを眺めているだけで、心癒されるくつろぎスポットなのだ。

■詩島/問い合わせ=さだ企画03(3263)4621

国道へ戻る途中、戸根川沿いにとっておきのスポットがある。

【自然の恵み くつろぎスポットNo.2】 戸根川沿道

多くの桜が植えられ、春先には美しい桜並木となる戸根川沿道は、秋には彼岸花が楽しめる。何より、昔懐かしい土手風の舗装されていない小路を、木々を愛でながら散策できるというのが最高のポイント。そして、今年は季節を過ぎてしまったがーー。


戸根川沿道

【自然の恵み くつろぎスポットNo.3】 ホタル

もともとアユをはじめ、フナ、うなぎなどの魚が生き生きと泳ぐ豊かな川だった戸根川だが、長崎大水害で川の形がなくなる程の被害を受け、改修工事を終えた後は、生態系が崩れてしまった。いなくなっていたホタルが少しずつ戻って来たのは今から15年前。今では戸根川べり1km以上にわたり、どこででもホタルを見ることができるそうだ。毎年、上流の渓谷「ほたるの郷」で5月の最終土曜日もしくは6月第一土曜日に開催される「ほたるの夕べ」は、地域の人たちがはじめた町おこしイベント。多くの人にホタルを通して自然がもたらす神秘、美しさを体感し、それらを守る大切さを学んで欲しいという思いから、野菜釣りや金魚すくい、ソーメン流しなどを無料で提供している。清く流れる戸根川に乱舞するホタルの光。来年はぜひでかけよう!

さて、国道へ戻りしばらく車を走らせると、左手に大きな銀杏の木が2本、目に入ってくる。ここは1600年代に建てられた日蓮宗の歴史ある寺院「自證寺」。


自證寺

銀杏の木

趣きのある山門をくぐると、右手に鳥居。神仏混淆禁止令が出される明治以前の寺社光景を偲ばせる風景だ。この自證寺(じしょうじ)は、万治元年(1658)、大村藩の家老、浅田安昌によって祖母、自證院(じしょういん)の菩提を弔うために建てられたというお寺。実はこの自證院、日本初のキリシタン大名大村純忠の実の娘で俗名を「お伊奈」といった。もちろんキリシタンで洗礼名はドンナ・マリイナ。キリスト教禁令の最中、仏教徒を装わされてこの地に流された。身を潜め暮らしながらキリスト教の信仰に生き続けた女性だという。歴代墓地の中にはこの自證院の墓もある。かつて寺町の同じ日蓮宗の寺院、長照寺で出会ったものと同じ菩薩様を境内に見つけた。水徳浄行菩薩。長照寺では確か菩薩様の頭から水をかけて清め、体の治してほしい所と同じ所をタワシでこすると病気が治るといわれていたが、こちらにはタワシが見当たらない。ひとまず、肩こりの解消を祈願してお水をかけ手を合わせた。

境内の鳥居


水徳浄行菩薩
■自證寺/095(884)2005
自證寺前バス停からすぐ。

自證寺前のバス停脇の路地を大村湾方面へと入って行くと、またまた絶景スポットがある。

【自然の恵み くつろぎスポットNo.4】 琴海中央公園

南北に広がる琴海エリアのほぼ中心に位置する憩いの公園があるのは、やっぱり海を望む眺めの良い丘陵地。ここは中世末期のものと推測されている山城「小崎城」跡だ。昔からの畑の石垣や自然林はそのまま残し、元々あった地形をできるだけ損なわないようにできているところに琴海らしさが光る公園。園内には、滑り台などの遊具や草スキーなどが楽しめる施設も充実。また、南側の斜面には長さ40mの木のつり橋が架けられていてスリリングな遊びも楽しめる。つり橋の周囲の斜面には、約100本の桜が植えられ、見頃の頃は人気の花見のスポットに!



琴海中央公園

西彼杵半島の東部に位置する琴海エリアは、西側に標高561mの長浦岳や531mの飯盛山などが連なり、町全体が、大村湾が広がる東を向いたなだらかな斜面となっている。
どこからともなく聞こえてくる小鳥の鳴き声は、この山林を住まいにしている小鳥達だ。斜面には、照葉樹林や杉、ヒノキの木々に加え、特産品のみかん畑が広がっている。 この景観を見渡そうとするならば、長浦バス停近くより西へ。国道206号線と平行に延びた西彼杵半島を縦走する県道奥ノ平時津線からがおすすめだ。

【自然の恵み くつろぎスポットNo.5】 赤水公園

ここは、天気がいい日はなんと雲仙普賢岳まで望めるという絶景地。3年前に開園したこの公園は、標高約440mの高さにあり、大村湾への眺望や西彼杵山脈の中腹、堤周辺の景観などを活かした森林と水辺一体型公園となっている。多彩な自然景観に恵まれた琴海エリアの真の魅力を体感! 園内には、遊歩道が整備されていて、四季折々に豊かな表情を見せる自然を存分に堪能できる。大地の恵みと収穫の喜びを体感できる「赤水ふれあい農園」も人気だ。


赤水公園

■琴海行政センター/095(885)2111
駐車場/50台
車/長浦バス停から約15分。

長浦小学校近くの琴海中部運動公園運動場では、この夏、第28回琴海夏まつりを開催! にしうみ太鼓や琴海音頭ほか様々なイベントが行われ、1300発の花火がまつりを締めくくる。

●第28回琴海夏まつり
8月2日(土)17:30〜21:30(荒天時は翌日に順延)
琴海中部運動公園運動場
打ち上げ花火 21:00から
■琴海町商工会/095(885)2123

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