遂に11月3日にオープン! 建設中の建物を見て、まるで江戸時代にタイムスリップしたかと目を疑った人もいるとか、いないとか? 何故にこのような建物なのか? 果たして内部では何が待ち構えているのか? 気になる気になるポイントをトコトン考察。


ズバリ!今回のテーマは

「歴博(れきはく)第一章!
まずは『甦った長崎奉行所立山役所』へずずずいーっと!」
なのだ


●JR長崎駅からのアクセス
路面電車/長崎駅前電停から蛍茶屋行きに乗車し、桜町電停下車、徒歩8分。
長崎バス/バス停長崎駅前東口バス停から中央橋方面行きに乗車し、桜町公園前バス停下車、徒歩6分。
車/長崎駅前から約5分。

●DATA
095-818-8366
立山1丁目1-1
開館 8:30〜19:00
休館 第3火曜(祝日の場合は翌日)
入館料 大人600円/高校生400円/小・中学生300円
駐車場 62台
http://www.nmhc.jp


◆ずずずいーっと!長崎奉行所ワンポイント講座

長崎の歴史文化博物館に長崎奉行所?
いったい長崎奉行所立山役所とは何?
説明しよう! 江戸時代の長崎には、幕府の直轄地として行政、外交、貿易、キリシタンの取り締まりなど、幅広い仕事をしていた長崎奉行所が置かれていた。初め長崎奉行所は、現在の市役所通りに面したNTT長崎付近に置かれていたが、寛文3年(1663)の寛文の大火で焼失。機構も拡張したため、再建した奉行所と現在の長崎県庁に設置された西役所の二体制となった。しかし当時は何より火災が恐い。東西に分けた奉行所は同構内に隣接していると火災の際類焼もまぬがれないことから、延宝元年(1673)、この地に東役所を移し、立山であることから立山役所と呼ばれるようになったというわけだ。奉行所時代の石段をはじめ、様々な出土品も発掘。そして、残された様々な資料から当時と同じ場所に復元することが実現した。長崎の歴史、文化を語る上でこの上ない展示品が、この長崎奉行所立山役所ということなのだ。

◆展示空間へずずずいーっと!

長崎奉行所の流れを掴む!展示室&立体劇場
入口は1階、2階、どちらからでもアプローチ可能。今回紹介する長崎奉行所ゾーンは2階アトリウムを抜けた場所にある。順路に沿って長崎奉行所展示室へ入って行こう。まずは、長崎奉行所の成立ちや変遷を絵図面や出土品にて確認。ここでは奉行所をどうやって復元したかを紹介している。

◆ココでのポイント!
正面モニターの下にある絵図面に注目!この文化・文政時代の絵図面が発見されたことによって、奉行所内の間取りがわかり、さらに発掘調査で出てきた石段と池と寸法を計り、この平面図と比較することによって、ほぼ厳密な数字を割り出し、復元位置を確定することができ役立ったのだというのだ。
そして、この絵図面から左へ目を移してみよう。そこには幕末期に玉園町聖福寺の本堂上辺りから長崎奉行所立山役所を撮影したと思われる写真が展示されている。この写真から高さを割り出し建物の復元に役立てたのだそうだ。
2つの資料は時代がややずれているが、あまり間取りの違いはないそうだ。


さてさて、次に注目すべきは、やはりこの復元に役立った様々な発掘品の数々。
写真やモニターで、発掘され建物に利用されている正門階段、石垣、壕。また、この壕跡からは奉行所の役人が身につけていたと見られる十手やオランダのワインボトルの破片などの出土品が紹介されている。


◆ココでのポイント!
ここで、モニター後方に展示されている発掘された鬼瓦に注目しよう。出土した鬼瓦の破片から、今回「桃の鬼瓦」が復元され、建物に再現されている。同様の桃の鬼瓦は、岐阜県の大垣城や兵庫県の姫路城にもあり、桃が水分を多く含むことから防火の意味合いを持ち、また全国的に見られる飾り瓦の「桃のすみぶた」のように魔除けの意味合いを持っていたという。長崎に点在する唐寺にも見られる桃飾りや、桃カステラ、桃饅頭など、中国と縁深い長崎ならではの鬼瓦が、この建物の各所に復元されているので、よくよく観察してみよう。


次に、長崎奉行所展示室で見逃せないのが犯科帳にまつわる資料だ。今や犯科帳といえば池波正太郎の『鬼平犯科帳』。しかし、もともと犯科帳とは、江戸時代、長崎奉行所の判決記録を綴ったもののことなのだ。この事実、広辞苑にも書いてあるある! というわけで、幕府直轄地の長崎奉行所には、127代にわたる奉行の足跡が刻まれ、密貿易事件など265年もの間に起きた裁判における判決記録が残されたのだった。

◆ココでのポイント!
「犯科帳の世界」を紹介するコーナーでは、長崎奉行所265年の歴史の中で起きた事件をファンタビューという方法で紹介。上部モニターの映像が映り込んだハーフミラーを通し、犯科帳石こう造形が見られるようになっている。上映に選ばれたのは、長崎奉行所で扱った抜荷やケンカといった重大事件やおもしろ事件の数々。モニターに接近するとはじまるしくみだ。


その他、127代を数える歴代長崎奉行の中でも、ご存知!遠山の金さんの父!人情派といわれた第84代長崎奉行の遠山左衛門尉景晋(さえもんのじょうかげみち)や、フェートン号事件で自害した第82代長崎奉行・松平図書頭康平(ずしょのかみやすひら)など、名立たる奉行の業績などをピックアップ!
また、長崎奉行の職務の一つだったキリシタンの取り締まりに用いていた踏絵や、没収したロザリオなど、かつて長崎奉行所の宗門蔵に収められていたキリシタン関連資料の展示品も、これまで東京国立博物館に所蔵されていた貴重なものが集結、展示される。(東京国立博物館、九州国立博物館、長崎歴史文化博物館の3館にて巡回展示の品多数)

長崎奉行所展示室の総まとめは、3Dガイダンスシアター(立体劇場)で。長崎奉行の1年をテーマに、長崎くんちではじまり、長崎くんちに終わる長崎奉行の仕事の一面を四季折々の長崎の風景と共に上映。専用の3D眼鏡を装着し、迫力の立体映像が楽しめる。


◆ココでのポイント!

この映像の撮影は、今回復元された長崎奉行所内で行なわれた。今後、時代劇の撮影に使われるようになることもありえるだろう。ちなみに、劇中、長崎奉行として出演するのは、かの風間杜夫氏! 必見!


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