長崎を訪れた人に強烈なインパクトを与えるのが「山に張り付くように建てられた家々」の風景らしい。
長崎の町は、平地に栄えた市街地を取り囲むように、四方八方、山が連なるすり鉢状を形成している。ゆえに山あり海ありの風光明媚な地形ともいえるのだけれど、生活の場が高台にまで及ぶため不便な面も併せ持っている。家へ辿り着くために坂道を上らなければならないのだ。至る所に坂ばかり!の長崎の町。 人々の暮らしに密着したそんな坂には、愛着を込めた愛称や、昔あった出来事、いい伝えなどを由来とした名前が付いているものも数多い。


ズバリ!今回のテーマは

町は至る所に坂ばかり!坂の名前に物語あり。
観光地近くの坂道の真実に迫れ!
なのだ


長崎には、山から運ばれた石を使った古い石段や(写真左)、驚くように急な傾斜(34度)でも、何とか家に届くようにと階段が造られた坂(写真中)、また、夜でも段がわかるようにと色が塗られた石段(写真右)など、いろんな味わい深い坂道がある。
たとえオランダ坂のような観光名所でも、全て古くから人々の暮らしに不可欠な生活道路なのだ。



様々な特徴を持つ長崎の坂。でははじめに、そんな長崎の坂にまつわる不思議に迫ってみることにしよう。


長崎の坂にまつわる不思議?

1.長崎だけの呼称?“坂段”って何?
“坂”の定義は、「一方は高く、一方は低く傾斜している道」。(広辞苑より)
長崎を代表する名所である石畳のオランダ坂は、東山手の丘を切り開いて通した道のため大浦海岸通りから石橋方面まで時に緩やかで時に急なカーブを描いている。これが一方は高く、一方は低い坂道。そして、他県でも見られる階段(石段)もまた、一方は高く、一方は低く傾斜している道に段を設けたもので、これも坂だといえるだろう。しかし長崎にはもう一つ“坂段”なるものがある。これは、一方は高く、一方は低く傾斜している道を、坂だけ、あるいは階段だけで構成するのではなく、傾斜している坂の途中に数段の階段が所々、まるでつじつま合わせのように入り込んでくる坂だ。この坂段は、長崎独自のもののようだ。

“坂段”という言葉は
広辞苑でも見当たらない

2.不動産屋では“車横付け可”が重要ポイント?
前述したように、長崎は平地の中心部を取り囲む山々の斜面地に張り付くように家が建てられている町。当然、様々な坂や石段がこの斜面地を縦横無尽に走っているのだが、区画整理されて造られた道は少ないし、とにかく古い坂道は狭い。だから、マイカーは持っていても自分の家の横まで車を入れられる家は少ないということになる。“車横付け可”とは、つまり家が車道に面し、家の横に車をピタッと付けられるという意味なのだ。坂の町・長崎は車が必需品! なのに駐車場までは歩かないといけないなんて! でもそんな人、結構多いのだ。

3.長崎ならでは!日本初、町中のエレベーター?
グラバー園があるのは外国人居留地跡の南山手という町。この南山手には、全国でも類をみない斜面地を運行する町中のエレベーター『グラバースカイロード』(斜行エレベーター・垂直エレベーター)というのがある。スピーディーかつ眺めも抜群!で、もちろん無料。車が横付けできない近くの住民の使える足は、坂に慣れていない観光客の方にはぜひ観覧車気分で乗っていただきたい。
このエレベーターへ乗り込めば、グラバー園最上部・旧三菱第2ドックハウス横にある第2ゲートへ直行可能。垂直エレベーター横には旧清水住宅を復元した洋館を利用した「南山手レストハウス」、また垂直エレベーターを降り、第2ゲート横からしばらく歩くと、絶景の夜景スポットとして人気の「鍋冠山展望所」へと辿り着くことができる。乗っているだけで坂を上ることができる、坂の町・長崎ならではの“足”なのだ。(運行時間/6:00〜23:30)



路面電車の終点・石橋電停から
徒歩1分

では次に、長崎市内に点在する坂の中で、傾斜が急な坂(ここでは坂に限定!)をピックアップしてみよう。


長崎市内・傾斜が急な坂ベスト3
 

1.飽の浦町の坂(通称・変電所の坂)

傾斜  約20度
認知度 ★★
分類  坂

 

飽の浦バス停手前から九州電力飽の浦変電所に上がる約180mも続く坂道。
この坂は九州電力株式会社が変電所用として建設した私道だが、付近の住人にも利用されている生活道路。住人か、関係者しか通る機会はないが、知る人ぞ知る長崎1、歩きでも車でもいざ上ろうとすると尻込みする程急な坂道だ。


<ジェットコースター並みのスリルを感じる坂道>

2.赤迫の坂
傾斜  約15度
認知度 ★★
分類  坂

 

飽の浦の変電所の坂に続く2の急な坂と推測されるのが、赤迫、六地蔵前の陸橋脇から浦上自動車学校方面へと向かう赤迫の坂道。
急なだけでなく上がれば上がる程狭くなる恐怖の坂道は、自動車学校の教習生にとっては毎回地獄といった感じだろう。しかし、こんな坂道や細い道を経て、長崎のドライバーは成長していくのだ。がんばって!
<教習生はツライに間違いない!>

3.南山手町の坂
傾斜  約13度
認知度 ★★★
分類  坂

 

観光客で賑わう大浦天主堂、グラバー園方面へと続くかつての“下り松オランダ坂”から一筋先。南山手の高台に住む人々や、グラバー園裏口に向かう車が通行する一方通行の坂道。人通りは少なく、風情ある石畳が居留地時代を偲ばせる。

<石畳のため車で通るとガタガタ揺れる>


現在は東京在住で、1996年から8年間に渡って長崎に住んでおられた村岡豊さんのHPでは、さらに詳しい長崎の坂情報をゲットできるので、ぜひ訪れてみよう。
長崎坂づくし http://www1.odn.ne.jp/muraoka/

それでは、次ページから長崎の町に点在する坂(坂段、階段を含む)の中から、観光地近くにあり、坂の名前に様々な物語がある坂道を紹介していこう。
ちなみに傾斜を計るのは「スラントルール」と呼ばれる勾配定規。急な坂ベスト3の傾斜とも比較しながら長崎の坂を多面的に楽しんでみよう。


このスラントルールで坂の傾斜を測定


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