江戸時代から長崎では正月の適当な日を選び
長崎市街を囲む七つの山を1日かけて巡拝するならわしがあった。
その名も七高山巡り(しちこさんめぐり、または、しちこうざんめぐり)。 
七つの山とは、金比羅山(こんぴらさん)、七面山(しちめんさん)、
烽火山(ほうかざん)、秋葉山(あきばやま)、豊前坊(ぶぜんぼう)、
彦山(ひこさん)、愛宕山(あたごやま)のこと。
しかし、1日かけて七つの山を巡るのは初心者ではちょっとハイリスク、
ということで……。


ズバリ!今回のテーマは
「気軽に神参り彦山ハイキング」なのだ




1.英彦山と書いてひこさんと読む?
 多くの神社や鳥居が建つ信仰の山


<彦山386m>

彦山(ひこさん)は、もともと福岡県と大分県にまたがる標高1200mの英彦山(ひこさん)にあやかってつけられたといわれる山名。山容の美しさが中国の峨眉山(がびやま)に似ているところから眉山(まゆやま)とも呼ばれていた。元和元年(1615)豊前国英彦山から英彦山大権現を勧請し、山頂に祀ったことから彦山(英彦山)と呼ばれるようになったと言われる。昔から福岡、大分の英彦山同様、信仰の山として多くの人に登られ、山麓から山頂まで多くの神社や鳥居が建っている。
福岡、大分の英彦山は、日の神として敬われる天照大神(あまてらすおおみかみ)の御子・天忍穂耳命(あめのおしほみのみこと)を祀っていることから「日の子の山」=「日子山」(ひこさん)と呼ばれていたという。
その後、819年(平安時代)、嵯峨天皇のおことばにより「日子」の2文字が「彦」に改められ、さらに江戸時代半ばに霊元法皇(れいげんほうおう)から「英」の字をいただき、「英彦山」と改称した。山頂の神社は英彦山神社だし、“英彦山と書いてひこさんと読む”のが正解のようだが、長崎では「彦山」と表記するのが一般的である。
(以後は彦山と明記)
日の子の山で「ひこさん」という名がついたと知って、妙に納得させられた。というのも諏訪神社の秋の大祭「長崎くんち」の際、演し物を見る特等席「長坂」(本殿への坂段)から望める彦山の後方から昇る朝日が実に素晴らしいからだ。
それではハイキング決行にあたり、役立つ情報を紹介しよう。



●登山シーズン

梅雨の時期を除けば特にないがやはり春と秋がおすすめ。
春は常葉樹の新緑が美しく、空気が澄んだ秋は、山頂からの眺めが最高。山頂の草原のススキも美しい。

●参考コースタイム
JR長崎駅前電停→(路面電車20分)→蛍茶屋電停→(徒歩15分)→「英彦山」鳥居→(徒歩30分)→豊前坊下虚空蔵堂→(徒歩20分)→製材所広場→(徒歩15分)→彦山山頂→(40分)→八橋神社→(20分)→蛍茶屋電停

●ワンポイントアドバイス
彦山山麓は水場が多く、途中の岩倉神社や飯盛神社境内は湧水も豊富だが山頂の英彦山神社には水がない。飲み物と山頂で食事をする予定ならオシボリなどを用意していくと便利だろう。また、山頂の見晴らしがいい場所は岩場。長時間滞在する場合は携帯用のクッションが役立つだろう。



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