●威勢のいい声が飛び交う観光地近くの市場を紹介!

全国に市場は数あれど、長崎程地域に密着し点在している市場は少ないだろう。
海の幸に山の幸、そしてそれらを加工したかまぼこなど、昔から新鮮素材が各地の小規模な市場へ集まっているのには、坂が多くて不便な長崎の地形も関係しているのかもしれない。
長崎一古い市場は、中島川近くのこちらも長崎一古い商店街である中通り商店街にある「青空市場」


終戦後の食糧難の時代、中島川沿いの露天市からスタートした市場だ。
現在は卸が多い時間帯を過ぎると人通りはまばらになるが、野菜屋、花屋、おふくろの味で人気の食堂と、独得の風情を漂わせている。
この青空市場からは興福寺や崇福寺などの唐寺(とうでら)を含む14寺2社がほぼ一本の道筋に並んだ寺町界隈(かいわい)が近い。
ほかにもまだまだ観光地周辺に市場が点在しているので、訪れた観光スポット近くの市場の雰囲気を楽しんでみてはどうだろう?


●大黒市場・恵美須市場




長崎駅前周辺の観光地と言えば日本二十六聖人殉教地中町教会聖福寺
この近くにあるのが大黒市場と恵美須市場。
青果、精肉、惣菜、乾物、漬け物など一通りの店舗約40店が軒を連ねている。
以前は近くに魚市があり鮮魚店が多く全店舗の4割を占めている。
第二魚市と呼ばれた時代もあったとか。
場所柄と長年の信用から料理店の主人が買いに来られる市場でもある。



●住吉市場


長崎駅から北へ。
市内で北部と呼ばれる地域は、原子爆弾の落下中心地であることから平和エリアと言われている。
平和公園原爆資料館浦上天主堂の観光スポットが点在していて、ここから路面電車で約15分程の終点赤迫電停の1つ手前にあるのが住吉市場。
約50年の歴史を持つ住吉食品市場をはじめとした住吉市場豊市場中通り市場の4つの市場が集合している。



この春、果物店がはじめた季節のフルーツを使ったアイスクリーム屋さんが人気を集めている。



麺、乾物、かまぼこ、お菓子とバラエティに富んだ品揃えの商店の渋いおじさんに出会った。
住吉アーケードには花屋さんも多い。



●築町市場




5年前「メルカつきまち」としてオープンした地下1階にある公設市場。
以前は昔ながらのトタン屋根の市場で暗い印象だったが、現在は1階には飲食店などが入ったクリーンなイメージ。
周囲には茂木漁港から直送した魚を漁師の奥さんたちが販売している「茂木鮮魚直売所」ほか、鮮魚店が数件並んでいる。
歩いて2、3分で眼鏡橋などの中島川石橋群が架かる中島川へ出る。



●大浦中央市場




路面電車の終点・石橋から徒歩1分。
相生町と上田町にまたがる場所に大浦中央市場蓬来市場大浦魚菜市場の3つの市場がある。
古くから栄えた大浦地区だけにその歴史も古く、昭和25年〜28年に設立されている。
鮮魚店と果物店が多いのが特徴。
周辺は観光の目玉スポット、グラバー園大浦天主堂孔子廟オランダ坂東山手洋風住宅群と見どころ満載のエリア。



●銅座市場




「えっ? こんな場所に市場が?」と驚いてしまうのが歓楽街にある銅座市場。
昭和26年から続いている老舗市場であり、現在も約40以上のさまざまな店舗が並んでいる。
場所柄がうかがえるのが、スナックなどで見かけるおつまみを販売している店や、クラブやスナックなどに勤める女性を常連さんに持つ靴の修理屋さんがあること。
鮮魚店や野菜屋さんなど、新鮮素材を扱っている店も多いので営業時間はバラバラ。
おつまみ店などは夜10時頃まで営業している。
歩いて3分で丸山花街跡散策コースへ出る。



●新大工市場




シーボルト記念館から続くシーボルト通りにある新大工商店街の中には新天満市場や裏通りにいくつかの市場が集合帯を成している。
商店街の中頃には魚の干物や花、とれたて野菜などを通りで売る行商のおばさんたちの威勢のいい声が飛び交い、会話を楽しみながらの買い物の光景が見られる。



●江戸町市場




早朝の江戸町市場には歩道いっぱいに野菜や花を並べた露天商のおばさんたちがズラリ!
4時ぐらいから開店する江戸町市場の中にはかんぼこ(かまぼこ)専門の店が数軒並んでいる。
直接の卸しで同じ商品でも大型店舗などからすると安いのが特徴。
常連さんはセルフサービス!で次々に袋詰めを行っている。
ここから道をはさんだ場所には出島和蘭商館跡がある。



●館内市場


新鮮な魚介、産地直送の野菜、かまぼこ、生花、買い物客じゃなくても坂を上り下りする住民がいつもと同じような挨拶を交わす、そんな穏やかな空気が流れている雑多でいい雰囲気の館内市場。
ひと固まりのように見える市場だが、下から館内市場岩永牟田口市場富士市場というように実は3つに分かれていて、中には地元住民の憩いの場である銭湯もある。



華僑の人の好物だという潟地で獲れる「しし貝」という珍しい貝を見せてもらった。
現在は地域の過疎化から、空き店鋪が目立つ虫食い状態。
周辺には唐人屋敷跡、徒歩2分で新地中華街へ出る。



しし貝




●いなさ中央市場


わずか5店舗の小さな市場だが、鮮魚野菜・果実食肉店惣菜店写真屋とバランスがいいのが魅力のいなさ中央市場。
なかでも甲田鮮魚店は料理屋さんなどの業者さんが多く仕入れに来られるとあって、鯨にウナギにホタテにずわいガニと品揃えが豊富だ。




惣菜店


ずわいガニ


周囲の稲佐中央商店街にも果物店や食肉店など、生花店に薬局、ほか多くの店舗が軒を連ねていて、生活に必要なものが全て整う環境になっている。
長崎市のランドマーク的存在の稲佐山公園への登り口に位置する。



果物店


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||[周辺地区地図]||