長崎市内全域、主に住宅地界隈に数多く点在する市場は、
今も昔も厳選された新鮮素材を扱う長崎の食の台所。
よく「長崎は美味しいものが多いね」と言われるが、
その中のほとんどの食材はこの地域密着型の市場にも詰まっている。

そこで今回のナガジンでは、大手スーパーが各地に進出する現代においても、
いつまでも元気に同じ場所にあり続けてくれる長崎の市場に着目。
市場とその周辺商店街の紹介と共に、そこで働く人と買い物客の笑顔、
長崎の食の魅力にグ〜ンと接近!!
観光の合間に立ち寄ってみたくなる隠れた観光スポット、市場へご案内〜!!

ズバリ!今回のテーマは
「長崎人の元気の源!食の台所に密着!」なのだ




●どんなものが売っている?市場で見かけるアイテム紹介

市場の良さは何と言っても生産者、もしくは自信をもって競り落とした店主の顔が見え、好みや調理法などを相談しながら買い物できること。
しかし、若い人を中心に市場離れが進んでいるのは残念ながら事実だ。
大手スーパーは便利さをトコトン追い求め、調理するだけになった材料がプラスチックトレイに入って並んでいるけれど、同時に生産者の顔と名前を表示したラベルがついた無農薬野菜が売れ線素材。
両極のものが隣合わせにある何とも不思議な現状だ。
しかし、ファストフードよりもスローフードが見直され、ライフスタイルもスローライフへの憧れが増している現代。
店頭に並ぶ中でいいものを直接たずね購入できる市場は、現代の感覚に再び近づきつつあるような気がする。


信用おける食の提供者。
移り変わる地域の世代交代をしっかり把握しているご近所さん。
長崎にはそんな場所(市場)が数多く残っているのだ。
そして食材はもちろん、売り手、買い手の長崎弁まるだしの会話が飛び交う光景も観光客にとって新鮮素材かもしれない。

まずはそんな長崎の市場で売られている主なアイテムを紹介しよう。





1.長崎ならではのピチピチ鮮魚が勢揃い



サヨリ


あげ巻き


長崎の美味しいものと言えば「ちゃんぽん!」という人が大半を占めるのだけど、地元の人は「それだけじゃないのに…」といつも心の中で呟いている。
もっと広く知って欲しいのが旨い活魚の存在なのだ。
例えば今の時期だとサヨリタレイワシの刺身に団扇(うちわ)海老あげ巻きなどなど、他県ではなかなか味わえない美味が揃う。
寿司屋や料亭で味わうのもいいが、売られている鮮魚をじかに見て土産にするなんていうのもいいのでは?
実際、直送できる鮮魚店も多い。




(いなさ中央市場にて)

2.高価になった鯨肉も長崎では気軽にゲット可!


その昔は給食にも登場していた程、馴染み深かった「鯨肉」
赤身にオバ、ウネ、さえずり、ベーコン。
なかなかの値をはるのも事実だが、お店で食べる料金に比べたら安い。
塩漬けされ脂ののったベーコンの部分は「塩くじら」と呼ばれ比較的お手頃価格。
人参や大根と一緒に煮物に入れると鯨の旨味がにじみでて単なる煮物じゃなくなる不思議な特選素材だ!
鮮魚店で見かける時もあるが、鯨専門の店もあるのでチェックしてみよう。


(赤身)


(銅座市場にて)



3.産地直送や生産者販売の野菜が盛りだくさん


近くは島原市から遠くは北海道まで。
旬の野菜がぎっしりてんこ盛りの八百屋さんには、やはり威勢のいい声が飛び交っている。
そして必ず目玉の商品が2つ3つ、お客の興味をひくようなテクニックを忘れてはいない。


さらには忙しい主婦にはうれしい丁寧に下処理を済ませた商品なども置いている。
同じ処理をしていてもスーパーのトレイに切られて入っているタケノコとは決して同じじゃない。
タケノコの姿はそのままに。
美味しさが想像できるような八百屋さんならではの演出法もさすが!


(住吉市場にて)



4.生花売りのおばさん、早朝発見!?


多くの市場でも見かける生花。
生花専門ではない限り、仏様用の菊の類いが大半なのだけれど、早朝の江戸町市場には露店商のおばさんが大量の切り花を売っている。
ズラ〜リ並んだ切り花とおばさんたち。
生き生きとしたおばさんの笑顔に花々も一層活き活きして見える光景に出会ったら、元気に1日がはじめられるような気がしてくるのだ。


(江戸町市場にて)



5.旨い魚から生まれた美味しいかまぼこ


長崎のかまぼこと言えば水産県ならではの美味しい地魚を使った美味を誇る名品。
決して華やかな食材ではないけれど、古くから多くの人に親しまれ、食卓にのぼってきた隠れた長崎の味なのだ。
長崎に住んでいる人には身近な存在、そして以前長崎に住んでいて離れてしまった人にとっては『ふるさとの味』としていつまでも心に残る印象深い存在のかまぼこの専門店が、江戸町市場に数店軒を連ねている。
地方発送もOKで、御中元、御歳暮の時期は特に大忙しなのだとか。


(江戸町市場にて)



6.旨い肉は近県から取り寄せ提供


牛は90%佐賀牛、馬刺は熊本から直接仕入れ、合鴨・地鶏は鹿児島から。
などという店を見つけた。売られている卵も地鶏のもの。
こだわり抜いた結果のアイテムが今日もひんやり冷えたショーケースに並ぶ。
長年の付き合いの業者と店。長年の付き合いの店と客。
共通点は安心して買える間柄だ。
「この肉は脂のノリ過ぎとるね。」と年輩の御夫人。
「そうね、こっちのほうがよかっちゃなか?」と精肉店の店主。
売り手と買い手の会話が耳に飛び込んでくる。




(いなさ中央市場にて)




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