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崇福寺入り口の赤門は、その華麗な形から「竜宮門」と呼ばれる。
楼門にある扁額「聖寿山」は黄檗宗(禅宗)の祖・隠元の書によるもの。


〈崇福寺・竜宮門〉

崇福寺は国宝や重要文化財がズラリ揃っていて貫禄満点!な観光名所だが、散策スポットとしても雰囲気満点!な場所。
黄檗寺院建築様式ならではの赤い建物は、今では言葉だけがどこまでも走っていっている「異国情緒」を感じさせてくれるからだ。

長崎人にはこの異国情緒感がいまいち麻痺している感があるが、観光客の方には街中
に突如現れるこの黄檗寺院建築様式ならではの赤い建物は、異国情緒を感じさせてく
れるものとなるだろう。

媽祖堂へ上がる石段は、映画『長崎ぶらぶら節』のポスター撮影の場所だ。
媽祖堂の横手から後山へと登ると左側に隠元の遺髪を埋めた「三塔」があるが、ここから寺の後ろ姿を眺めるというのも格別(夕景がおすすめ!)。

では、崇福寺を背に、崇福寺通りを寺町方面へ進んでみよう。

堂宇は見えないが、右手に大光寺の入り口がある。
坂段を上りあがるとずっしり堂々とした山門があり、その向こうに立つ親鸞聖人の像は訪ねる人を優しく迎え入れてくれるかのよう。
保育園があるので人通りも多く、夕方まで、子供のはしゃぎ声が飛び交い、子供たちがのびのびと遊ぶ微笑ましい光景が見られる。


〈大光寺・親鸞上人像〉

再び寺町へ向かうべく通りを歩くと、右側に小道がある。
その右手にある、まるで民家と間違えそうなこじんまりとした寺が発心寺
門をくぐってすぐ左側に市指定有形文化財の梵鐘がある。
中国北京西門の寺院にあったもので、普通の寺院にある梵鐘とは形が異なっていてその筋の研究家の方々がよく訪ねてくるとか。


〈発心寺・梵鐘〉

このすぐ横が、晧台寺、本蓮寺(筑後町)とともに長崎三大寺といわれる大音寺
白亜が印象的な本堂の裏手には、市指定天然記念物の樹齢300年は越えていると思われる樹高20mほどのイチョウの木。
本堂に上がる石段脇にそびえ立つクロガネモチの大木など、この寺には見上げる程の大木がそびえ立つ。

碑文をすべて読み下すと亀が動き出す!という伝説の巨大亀「大亀の塔」は完成まで60年もかかったとか。
ぜひ、碑文にチャレンジしてみよう!
大音寺から寺町にある晧台寺へは、本堂に向かって左、墓地の中を通り抜けるのが早道。


〈大音寺・大亀の塔〉

大音寺から寺町にある晧台寺へは、本堂に向かって左、墓地の中を通り抜けるのが早道。
道筋にはなんと! 石の扉付の上に葵の御紋が入った墓を発見! 
長崎奉行で二千石の旗本だった「松平図書頭(まつだいらずしょのかみ)」の墓だ。
石塀から大音寺歴代住職の墓がつるっとのぞいていたり(お坊さんの墓はつるんと丸い形なのだ)、お墓の中になぜかこま犬がいたりと墓地観察も一興だ。
そしてその墓をぬけると「へいふり坂」。その向こうに晧台寺がある。

大音寺と晧台寺、長照寺と延命寺の間の坂道は共にへいふり坂と呼ばれている。
この名前の由来は寛永15年(1638)、諏訪神社の大鳥居を造るため石材を風頭山から切り出し運ぶ途中、あまりに大きくて人々が思いあぐねていると一人の宰領が突然石の上に乗り御幣を振って励まし、何とか石材を麓へ下ろす事ができたという光景からなるものだ。
以来この坂は「幣振り坂」。 違う意味に考えていた人も多いのでは?


〈大音寺歴代住職の墓〉


〈へいふり坂〉

晧台寺から禅林寺まで続く道筋が寺町通り。

それぞれの寺は、武家屋敷のような高い石塀に囲まれ、寺内の大木がその塀から見え隠れする。
通りにはいくつかの石材店や仏具店、昔ながらの中華菓子店、甘味処、料亭などがポツリ、ポツリとならんでいる。
キョロキョロしてると車が結構なスピードで走って来るので注意。
一方通行だが車が通るのがちょっと難点だ。


〈おいしそうな中華菓子が並ぶ〉


〈老舗の料亭「一力」〉

晧台寺の墓域にはシーボルトの娘・楠本イネ(おらんだお稲)や坂本龍馬の片腕だった近藤長次郎の墓など有名人の墓碑が多い。
墓域といっても、ほとんど後山の風頭山頂上付近まで墓が連なっているので道中は昼間でも薄暗く、一人歩きはとんでもなく恐ろしいのでくれぐれも注意! 
晧台寺は寺町で唯一修行僧がいるお寺なので、寺院内に入るとお勤めされるお坊さんの姿に出会えるハズ。
隣接した晧台寺幼稚園の園児が夕方まで園内で遊んでいる光景に出会った。

〈晧台寺幼稚園〉


山門の左右の壁に武家屋敷特有のナマコ塀が見られる長照寺
境内には「水徳浄行菩薩」があり、この菩薩様に頭から水をかけて清め、治してほしい所と同じ場所をタワシで洗い流すと病気が治るといわれるとか。

現在、本堂の新築、山門と石段の復元工事に入っている延命寺は、境内にベンチが置かれていて、上ってきて休憩する人もしばしば。
お盆には、墓参りに来られた檀家さんたちが久しぶりの再会で話に花が咲き、本堂前のベンチで遅くまで談笑する姿も見られるとか。
今もなお使われている井戸もある。


〈延命寺の境内〉

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