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長崎最古の唐寺興福寺は、建物の素晴らしさはもちろんながら、その素晴らしい空間を活かした利用法、イベントがさかんに行われているので、訪ねるときは調べていくことをすすめたい。
寺院内の空きスペースを利用して、檀家さんの所有書5000冊を集めた図書室(土日オープン)もあるので、気に入った本を手に庭園を眺めながら読書、という優雅な時間を持つこともできる。
〈興福寺庭園〉

山門の上に梵鐘があるとても珍しい鐘楼を持つ浄安寺には、聖徳太子八歳の時の作と伝えられる薬師如来像が祀られている。
よそ見をしたり、膝を抱えていたりと表情豊かな石仏にも楽しまされる。


〈浄安寺・石仏〉

この隣はやはり浄土宗の三宝寺
この寺の山門は元長崎代官屋敷の表門を移築したといわれ、他の寺に見られない重々しい鉄飾りが見られる。
総ケヤキで造られているが、昔の建造物のほとんどはケヤキが育った環境を読み取り、太陽に当たる方向を考慮し建てられていたという。
この山門は総ケヤキだが、移築したため多少の歪みが出てきたらしい。


〈三宝寺・山門〉


この辺りはお城のような石垣が続き、石塀だけを見ると武家屋敷跡のような風情も漂わせているが、その石垣に似合う木造和風重層造りの太鼓楼を山門横に構えるのが深崇寺


月に4回定例坐禅会が行われている禅林寺には、モミの木や銀杏など木々が多く、座禅に身が入りそうな格好な静けさを漂わせている。
予約をすれば禅門古来の精進料理が楽しめるのも魅力。


深崇寺横の坂道を上っていくと坂本龍馬たちが日本初の商社を結成し、亀山焼の倉庫をねぐらとしていたことから「亀山社中」と呼ばれた跡地へと続く龍馬通りがある。
通りには数々の看板が道先案内の役割を果たし、亀山社中跡、龍馬のぶーつ像などへ誘ってくれる。


〈龍馬通り〉


「飴屋の幽霊」で有名な光源寺は、昔お寺で行われていた日曜学校が今でも行われている。
伊良林周辺の子供だけではなく、開放的で住職さんといろんな遊びをしたり、ビデオを観たりするのだとか。
子供の頃からお寺へ深いつながりを持っているので、お盆や正月には同窓会のようになるというアットホームな寺。 光源寺下を歩いていたら、日曜学校へ行っているという子供たちのほうから「こんにちは」と声を掛けられた。何だかそれだけで心温まってしまった。
〈光源寺付近〉

最終ゴールは、坂本龍馬たちがよく参拝したので勤王稲荷とも呼ばれる若宮稲荷神社
小さな川のせせらぎを耳に数えきれない程の鳥居をくぐり抜け社に辿り着くと、素晴らしい眺めがある。

正面には諏訪神社。
おくんちの舞台がすっぽりと見えるが、諏訪神社の賑わいが過ぎると、すぐにこちらに舞台が移る。
秋の大祭に奉納される「竹ン芸」も、一度はこの目で観ておきたい長崎の祭りだ。


〈若宮稲荷神社・参道〉



一本道に連なる寺や神社。
通り過ぎれば高い石塀に囲まれたその風情だけしか味わえないが、ひとたび山門をくぐると思いもよらない絶景にめぐり逢い心癒されたり、いい伝えられる話に驚かされたりするもの。

程近い商店街の喧噪とは対照的な静かな和の佇まい、和める散歩道・寺町界隈へぜひ足を伸ばしてみよう。


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