ここから本文です。

令和5年度第1回 長崎市経済活性化審議会

更新日:2023年12月18日 ページID:041375

長崎市の附属機関(会議録のページ)

担当所属名

商工部 産業雇用政策課

会議名

令和5年度第1回 長崎市経済活性化審議会

日時

令和5年10月13日(金曜日) 10時00分~

場所

市役所5階 議会第3委員会室

課題

1 副会長の互選
2 政策実現会議・経済再生プロジェクトについて
3 令和4年度の取組に係る評価と今後の取組方針
4 その他
⑴ 人手不足の現状と対策について
⑵ その他

審議結果

事務局報告

※長崎市経済活性化審議会規則第5条第2項の規定により、会議の開催には委員の半数以上の出席が必要であるが、半数以上が出席しているため、審議会が成立していることを報告(出席委員は15名中12名)

※今回の会議に傍聴者が2人いることを報告

※当審議会の議事録は、要点を公開することを報告 

※新任委員の紹介
事務局から新任委員の紹介を行った。

1 副会長の互選

委員の互選により、黒住委員(日本銀行長崎支店 支店長)を副会長とすることと決定した。

2 政策実現会議・経済再生プロジェクトについて

⑴ 事務局からの説明

事務局から資料に基づき説明を行った。

⑵ 質疑等

【委員】この長崎市経済活性化審議会は、本市の経済成長戦略に関する審議をしていくということが目的となっているが、委員の構成を見ると、製造業や商業の方々はたくさんいらっしゃるが、第一次産業の方が見られないと感じる。長崎大学が行っているブルーエコノミーの取組などの新しい産業を推進しようとしていく中、経済成長戦略の審議をするに当たり、水産業の方などの意見も取り入れるような仕組み作りも必要ではないかと考えている。 

≪事務局≫委員の選任については、構成委員の団体などを検討した上で、行っているが、ご指摘は非常に重要な視点であり、次回の委員の選任の際は、その点も踏まえて行いたい。 

【委員】この長崎市経済活性化審議会は、本市の経済成長戦略及び雇用問題に関する重要事項の調査審議を行うこととなっており、一方、政策実現会議は、アクションプランの素案作成などを進めていくこととなっているが、両方で出てきたそれぞれの意見や提案などをどのように咀嚼するのかが問題だと考える。両方から出た意見や素案を聞き及ぶだけなのか。それとも、それらを組み合わせて、もう1回組み立てるということまで考えているのか、考えを示してほしい。 

≪事務局≫アクションプランは、既存の計画・戦略の中から何を重点的に実行していくのかという抽出の作業を行っている。従って、おのずと既存の計画・戦略と整合はとれてくると考えているが、新たな視点として、例えば、政策顧問のご意見などから新たなものが加われば、経済成長戦略にも反映させるべきものが出てくるということになるので、その場合は、こちらの審議会に審議をしていただく形になると考えている。 

【委員】重点プロジェクトに掲げられている「経済再生」、「少子化対策」、「新市役所創造」は、喫緊の課題だと考えている。経済三部局では、特にポストコロナの経済再生について、早く結論を出し、いい方向に動き出すように、スピード感をもって取り組まないと都市間競争に負けてしまう。事務局の説明では、積み上げだけが仕事で、結果を出すということが仕事のように聞こえなかったが、どのように考えているのか。 

≪事務局≫喫緊の課題に対応するのがアクションプランだが、経済については、これさえあれば良いというものはなくて、どうしても網羅的になってしまう点も認識をしている。そういう中でも、ポストコロナに移行して新しい人や企業投資を呼び込むまちの基盤も整備されつつあるので、今の議論の中では、「稼ぐ力」や「人材」といった視点で議論を進めている。これは、速やかに実行していくこととしており、その成果は、既存の計画・戦略に反映されてくると考えているので、この審議会でもご説明をしながら、その進捗を確認していただきたいと考えている。

3 令和4年度の取組に係る評価と今後の取組方針

⑴ 事務局からの説明

事務局から資料に基づき説明を行った。

⑵ 質疑等

【委員】民間の企業を回ると、人手不足が非常に課題になっていると思う。資料を見ても、人手不足や人材の確保が難しくなっているという現状の課題がしっかり認識されている中で、その課題解決としてDXがあがっている。DXは、人手不足を一定解消するという意味もあるし、働く方のニーズとして、働きやすい職場の環境作りという意味もあり、いまだにアナログな感じの職場には人が集まりづらいと思う。
一民間企業でDXを進めていくには限界があり、行政ならではの後押しがあって進んでいくと思う。民間企業のDXを進めていかないと、ますます都会の企業との格差が広がって、人を都会に吸い取られるということを招くと思うが、DXに向けた地場事業者の取組が一部遅れているという認識をしている中で、行政としてどういった取組をするのか。 

≪事務局≫DXは、生産性向上や経営改革、働き方改革といったものに通じる重要なものだと認識している。一方で、個社でDXに取り組むとした場合に、ノウハウがない、人手が足りずに手が回せないというような状況があることをお聞きしている。
行政の立場として、コロナ関連の国の交付金等を活用して、チャレンジ企業応援補助金という事業を実施したところ、かなりの申請をいただき、一部のIT化などは進んでいると考えているが、全ての事業者がDXに取り組んでいるというところまではまだまだ遠い状況ではないかと考えている。
そこで、DXに取り組むことでどういった成果や効果が出るのかを事業者の方に認識していただけるように、ロールモデルを作り、好事例を横展開してDXに対する自主的な取組を促すという施策にも今後取り組んでいこうとしている。
DXは、人手不足といった視点からも非常に重要なので、力を入れて取り組んでいきたいと考えている。 

【委員】DXを進めている企業と進めていない企業の生産性は、大きく差が開いてくるし、長崎の企業が出遅れるということは、都市間の競争においても負けてしまうことになり、そのまま人材の流出、人口減少にも繋がってくる。長崎の企業の中でもできるところはいいが、なかなか進まない企業には課題があり、行政の後押しなどがないと進まないと思うので、民間の企業から話を聞きながら、どうやったら長崎が出遅れないか、都会との格差が開かないかという認識を強く持って取り組んでいただきたい。

【委員】DXについては、できている事業者は、オフィスも綺麗にしたり、人材も採れているという成果も見えている。全然できてない事業者は、特に小規模なところはやり方がわからないということがあるので、行政の支援も受けながらセミナーをやっており、専門事業者の方にも入っていただき、個別の相談も受けていただくというような、できるだけきめ細かな対応をやっている。まずは、やってみて成果を実感してもらうというように地道にやっていくしかないと感じている。
環境もかなり変わってきており、経営者の皆さんの意識も数年前からするとだいぶ変わってきたという実感もあるので、官民連携してやっていきたい。 

【委員】DXが人材確保や生産性向上などに寄与することは皆わかっている。地場企業において、ある程度の規模・人員があるところはそういった施策に振り向けられる。商店街などは、中小零細のところが圧倒的に多く、人手不足が恒常的になっていて、コロナが5類に移行した以降、売上が元に戻ってくるのではないかということで現場を維持するために人材を振り向ける必要があり、そういう余裕はないところが圧倒的に多いと認識している。従って、人材不足の解消とDXの促進は表裏一体で、人員に余裕があるところはできるかもしれないが、我々はそうはいかないという現実があり、それをどう判断して進めていくかは非常に重要なことだと思う。 

【会長】DXに関するご意見をいただいたが、先ほど説明があったように、せっかく補助機関ができたのだから、ここで出された意見や審議内容を回して、即効性がある形がどういうものかをご検討いただきたい。
また、これからの市役所は、プラットフォーマーとしての役割が非常に大きいと思っている。市役所の部局横断的な形に、当然民間も取り込みながらプラットフォームを作り、そこに問題を投げ込むと、みんなでそこで解決策を考えていくというようなネットワークを実質化していくことが必要になっていくと考えている。
これは、中小企業の製造業の海外展開力にも関わることで、例えば、アフリカでこういうニーズがあるけれどもこれを満たせるような技術を持っている企業はないかといった情報が結構飛んできたりする。単体の企業ではできない場合でも、そういうプラットフォームに投げ込むとすぐA社とB社とC社が連携できればその技術に対応できるというふうになるが、長崎ではそういった情報を飛ばそうにも、どこに飛ばしていいかもわからない。県内にも優良な企業はあるので、情報を取って、それを横展開できるような組織作りを官民連携して進めることも今後の経済成長戦略を考えていくうえで重要な部分だと思う。 

【委員】コロナ禍では、資金繰りの相談が一番多いと思って構えていたら、案外、デジタル化の相談が多かった。我々で対応できるか不安があり、少し二の足を踏んでいたということもあったが、今は地元のベンダー関連の企業の皆さんに相談することで何とか対応している。
全体的なデジタル化の底上げをしようとするなら、きちっとした相談体制を作っていただくと非常にうまく、効率よくできると思っているので、ぜひ検討いただきたい。 

【委員】事務局のご説明では、今後、アクションプランをつくる際に我々の意見を参考にされるということなので、その観点からお話をさせていただきたい。
第五次の経済成長戦略を作るときも、先ほど地域間競争という話が他の委員から出されたが、どこにでもあるような経済成長戦略ではなくて、やはり長崎としての経済成長戦略、長崎として何を狙っていくのかというのが一番肝心じゃないかと申し上げた。第五次の経済成長戦略は令和7年度までで、アクションプランは令和8年度までになっているが、あんまり時間がない。だから、絞り込んで、長崎らしい、地域間競争に勝てるような政策を持つべきだとずっと思っている。
長崎は、海洋立県、海事都市で、海に関連した産業は今でも主力だと思う。それで、経済同友会では、2020年に「海洋産業に関する提言書」を市長や県知事に出している。これを出したきっかけは、これに付随して、行政の垣根を越えて福岡・佐賀・長崎で連携して新幹線を基軸にした経済圏を作ろうという「北部九州経済圏構想」という提言書を作った際に、長崎では何をやるのかとなったときに、やはり海洋だということで、これをセットで出した。改めて見ると、メニューを並べたぐらいのものになっているが、やるべき方向性としてはいろいろ考えたつもりだ。
これに関連し、最近、呉市が広島大学などと連携し「Town&Gown構想」という取組を行っており、まさに我々が提言したことを既に実行しようとしている。呉市の置かれた立場は、日本製鉄の呉製鉄所の閉鎖があり、跡地開発も含めて今後の大きな課題に対する取組の一環だろうと理解している。前の三菱造船の所長で、最近、日本船舶海洋工学会の会長になられた橋本さんを経済同友会の例会にお呼びした際にも、長崎もこれぐらいのアドバルーンを上げてやるべきじゃないかというお話をいただいた。地域間競争の中で、長崎が海洋をもっと進めるチャンスだと思っているので、この観点も含めてやっていただきたい。
それから、三菱重工は、8月初めに「長崎カーボンニュートラルパーク」をエネルギー脱炭素化の拠点にするという発表をされている。今までは火力が中心だが、その次の段階を見据えて、高砂製作所と連携して、開発・研究・製造を行い、水素やアンモニアを本当に事業化していこうという宣言をされている。長崎には、総合研究所があり、現在、相当の研究者がいるが、総合研究所が縮小されたり、極端な話、なくなるということになったら、長崎における重工の位置づけは大きく変わると思うので、それをこういうものに生かしていくという発表なので非常に心強いと思っている。これが本格化すると造船以上の効果があると思う。企業誘致の観点からも、関連した産業が興味を示す可能性があり、海洋と環境も長崎にとって非常に大事な視点だと思うので、ぜひアクションプランを考える際の参考にしていただきたい。 

≪事務局≫アクションプランの作成に当っては、先ほどご意見があった地域間競争に勝つということも大変重要なキーワードとして捉えている。そういう中で、「海」や「医療」といった長崎市の財産をいかに活用するのか、あるいは重点分野をどういうふうに評価していくかということにも目を向け、議論を進めているところである。今日のご意見も参考にして、しっかり検討していきたい。 

【委員】重点施策3に新産業創造という分野があり、人手不足やDXの話もあったので、関連する事例をご紹介したい。
私どもは、昨年から大手の監査法人KPMGさんと新規事業創出プログラムを行っており、既存の事業者に新たな事業を考えてもらい、その事業を展開していただくというもので、その推進に当たっては、プログラムの9ヶ月で、伴走支援をさせていただいている。その中で、取引先の方はいい提案だと非常に興味を示されて、前向きに考えようというところまで行くが、最終的に諦めるということがあり、その理由は新しい産業を考えるための人手がいないということだ。例えば、経営陣であっても、既に現場のオペレーションに組み込まれていて、そこから抜けるわけにもいかず、既存の事業を回していくのに精一杯な状況である。ある業界の方は、こういう状況を打開するには、もう業界再編しかないと言う方もおり、今のままでは立ち行かないという非常に厳しい見通しを持つ方もいる。DX等を取り入れながら、効率化、業務改善をしていくという取組も当然必要だが、個人的には、なかなか回っていかない状況になっていることを改めて感じた。
また、私どもは、3年前の銀行合併したときの目玉の政策として、デジタル化のサポートをさせていただく部門を立ち上げ、一定の成果が上がったので、今年4月に、正式にデジタル化推進部という部署を立ち上げている。規模感としては、比較的大きく約60人おり、最近は、自治体様向けのDXのご提案もさせていただく体制になっているので、先ほどもいろいろと課題があるというお話があったが、私どもなりにお手伝いできることもあるかもしれないので、ご相談等いただきたい。 

【委員】DXに関連して、浜町に12商店街が加盟する中央地区商店街連合会があり、コロナ前の2018年に、当時、外国人観光客が急増しているということを踏まえて、中心部の7商店街が道路の全部にWi-Fiを設置した。
その後、コロナが来て外国人観光客が激減したので、一旦休止しようという話になったが、国内の観光客の方もいらっしゃるので、主要の浜市と観光通りと電車通りの3商店街はそのままWi-Fi使用を継続してきた。コロナ後、人流が回復してきた中で、観光客の方々も地元の方々もWi-Fi利用に関しては非常に要望が強いことがわかっているが、結果として、商店街の財政的な問題と、もう一つは、それを管理していく事務局等の体制の問題があり、継続していた3商店街以外は休止したままで、復活できていない。
DXという問題に対して、1企業に対して何かを支援する、あるいは1つのエリアに対して、DXに関する教育・啓蒙をやっていくということももちろん大事だが、ハード面での社会的なインフラ整備に対し、地元の商店街や関連企業、行政が横断的に結束して、地域インフラをどう作っていくかということに関しては発想が遅れている。今後、行政の支援も単なるお金だけの問題ではなく、システムの開発、維持などに関して、どのような支援ができるかということをもう少し力を入れてやっていただく必要もあると感じている。 

【会長】おそらく率直な議論ができる場が必要なんだろうと思うので、そういうときこそ市役所が中心になって声かけをやっていただくと、非常に早くできるのではないかと思うので、今日の議論を踏まえながら、先ほどの補助機関の方とも連携しながら、迅速に対応してもらえればと思う。

4 その他 ⑴ 人手不足の現状と対策について

⑴ 事務局からの説明

事務局から資料に基づき説明を行った。

⑵ 質疑等

【委員】人材不足という観点とは別の話だが、私は長崎サミットを立ち上げた人間で、その母体は経済3団体が集まって、長崎の地域の課題を一丸となって解決するような基盤を作りたいということで、平成22年度に都市経営戦略推進会議を作った。発端は、当時、長崎市は九州7県の県庁所在地の中で一番人口減少率が高く、そこに非常に危機感を持ち、長崎の経済をいかに維持・活性化していくかという観点で考えたらどうかということからだった。
そのためには、外貨、要するに域外から稼ぎ、それを域内で循環していくという考え方で、より稼げる産業を我々は応援していかなければならないという観点で作った。それで、その分野を「基幹製造業」、「観光」、「水産」、「教育」と位置づけ、当時の外貨が、諫早市、時津町、長与町を含め、総額1兆1,000億円で、うち7,000億円は基幹製造業で一番大きかったことから、これをいかに支えるような活動を我々ができないかということで基幹製造業を中心とした。外貨を稼ぐという意味では「水産」も「観光」も大きな分野だった。
また、大学とあるのは、大学は研究開発部門だが、おそらく学生や教員などで2万人弱いて、経済的な意味で大きいと思っており、現在もあまり減ってない。人口40万人の時に2万人にいたら5%で、もう40万人は切っているから、だんだんその比率が高くなっており、その経済的な意味で、県外から学生が来て、お金を落とすわけだから、これはますます大きな存在になってくると思っている。こいうことから、県内の大学をいかに活性化することが大事だろうと思うので、そういう構図で作った。
この4分野に就業者数の定量目標を設定し、その後それがどうなっていくかということをやった。この数字は、長崎経済研究所や三菱重工の協力を得て出した数字で、ある程度精緻な数字だったと思っている。だが、当時は、客船の連続建造の話や何かとあって、定量目標としたところには当然ながら届いていない。
それで一番言いたいのは、長崎の経済を支える産業があって、そこにどれだけの雇用があって、それを今後どう考えていくということが、経済の問題として一番大きいだろうと思っているから、できれば、市でも産業別の雇用者数を把握し、地域間競争に勝って外貨を稼げるような産業にどれだけの雇用が生まれているかを把握するという観点を参考にしていただきたい。
もう一つは、人口減少の動きで、去年7月ぐらいに長崎市が人口40万人を割って、ショックだったのはその後に宮崎市に抜かれて九州で下から2番目になったということだった。その後どうなっているかと思い、推計人口から宮崎市との関係を見たら、宮崎市は39万7,000人くらいで、長崎市は39万5,000人を割り、差がさらに開いている。他の市も見たが、自然減はやむを得ないにしろ、社会増減で長崎市は毎月減が続いている。ところが他都市は、増えたり減ったりで、増えている月もある。域外に流出することによって人材不足にもつながり、雇用するにも雇用できないということになるかもしれない。こういうことに歯止めをかけていくためにも、長崎市を支えている産業、産業振興に本当に効果のある産業を応援していく。熊本のTSMCが一番いい例であり、今すごいことになっている。長崎でも、ソニー、京セラがあり、加えて三菱重工が環境分野で一生懸命拠点作りをしようとしているし、大島造船も頑張ろうとしている。我々としても、経済団体なので応援団になろうということで、そういう活動をしようと思っているので、そういう観点で考えてはどうか。 

【委員】人手不足については、私も事業者を回っている中で、かなりのご相談がある。私も企業誘致を推進していくべきであり、工業団地も作っていくべきだと考えている。ただ一方で、コロナの後の今起こっていることは、誘致企業は当然採用を行うが、市内の事業者、地場の産業から引き抜いて採用するということが加速化している。結果的に地場の産業としては、一生懸命育てた社員が取られてしまうということになり、これはいかがなものかという声も事業者からも聞いている。市として、どのように考え、対策をどう考えているのか。例えば、域外からの還流、域外からのそういう人たちに対しての手当や、誘致企業の新規採用には支援が出るが、地場の産業の新規採用には手当が出ないことなどを含めて、現時点での市として考えを聞きたい。 

≪事務局≫特に、ITなどの分野が顕著だと考えている。IT人材の不足については、様々な業種においてデジタル化・IT化が進む中で、IT人材は様々な業種で必要とされているところで、確かに全国的にも取り合いになっている。居住地を考えると、外から人を雇ってくるよりは、地場にいる方を採用する方がよく、これによる会社間の異動がおきているという話も聞いたことがある。
そうした中で、逆に言えば、雇用の場があるということは一つの良い点で、これをしっかり活かして、外からIT専門人材を呼び込んでくる政策が必要だと考えており、今年度、IT人材を雇用する場合に要した経費の一部を補助するという制度を試行的ではあるが、始めたところである。やはり人材不足というのは、ITをはじめ、いろいろな業界で出ている話だと思っており、今後、どういった施策が、効果的なのか、事業者の皆様の意見を聞きながら、施策の方向を検討したい。 

【委員】私が聞き及んでいるのはIT分野だけではないようだった。また、野母の水産加工場では、かなり海外の方を採用して定着できるように事業者の方も工夫をしながら雇用の確保をされている
市の雇用促進の方と話したときに、例えば、海外の人材確保についての考え方を聞くと、まずは、地元の仕事を探している人たちの方が先だと言われたこともあり、現場と感覚が違うと感じたこともあった。関西の企業では、大学を一つ丸ごと買い取って教育から行い、人材の確保まで行っている企業もあると聞いたことがある。また、ホテルの今の満室の状況についても、従業員がいないので7割ぐらいしか稼働できずに、満室を出しているということも聞いている。
全国的なのことだが、長崎においてもこの人材の確保が何よりも喫緊の課題ではないかと感じている。このことについて、改めて、各産業の現場調査をして、事業者の方々の意見を元に早急な政策を立てるべきだと考えているが、市の見解を聞きたい。 

≪事務局≫先ほどITを事例としてお話したが、様々な業種において人材不足が深刻であるという状況は認識している。委員の言われるとおり、しっかり現場の声、実情を把握することは必要なので、今後もしっかりと話を聞きながら、施策の検討を進めていきたい。 

【委員】資料を見ると、職種によっては人手不足が逼迫していることが見て取れる。長崎から一番人が出て行っている福岡や、東京、大阪も同じような状況だと思うが、分母が違うからすごい数が不足している状況になっていると思う。他都市は必死で人材の確保をしようとするわけで、都市別の社会減の数字などを見ても、長崎は毎月毎月減っており、この減っている分を他都市に吸い取らている状況だと思う。
であるならば、当然、各企業の努力によりやっていただかなければいけない部分もあるが、行政としても、他都市以上のことを長崎市は取り組んでいるのかということが問われると思う。解決策の一つとして、個人的には、一部職業に絞ってでも奨学金の返還支援などをすることによって、長崎で働く理由をつくらないと出ていくばかりだということをずっと話してきた。国内で人の奪い合いをするのもどうかと思うが、この現状を考えたときには、他都市の取組よりも上回った取組をしないといけない。この後に及んで、他都市が取り組んでいることさえやっていないことが多々ある。
長崎は、他都市にこういったところも絶対勝つように取り組んでいくんだという意気込みなり、具体的な施策を現在持ち合わせているならお話していただきたい。

≪事務局≫ 長崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、「選ばれるまち」をめざすべき姿として掲げており、第五次経済成長戦略においても、「人や企業に選ばれ、産業が進化し続けるまち」ということをめざすべき姿としており、やはり選んでいただけるまちになるためにはどういうことが必要かが一番大事な視点だと思っている。
そうした中で、他都市と比べたときに長崎市がどうかという視点も当然あるが、長崎市が持つ強み等をしっかり伝えていく、知っていただくという取組もあわせて必要ではないかと考えている。現時点で、どのまちの中でも一番だと言えるような取組はお答えできないが、長崎市にしかない、長崎だけの魅力、強みはたくさんあると思うので、これを伸ばしていくことと、他都市の施策も鑑みながら、施策を整理していきたいと考えている。 

【委員】これをやったら解決するということはないと思うが、解決するどころか、ますます他都市に負け、差がもっと広がって、重たい問題になることがないようにしっかり取り組んでいただかないといけないので、長崎の数字だけを見るのではなく、他都市の現状とそれに対する取組などを比較しながら、この施策だったら解決できるんだという取組を具体的施策としてやっていただきたい。 

【委員】今、長崎の場合、経済活性化には、人手不足、人に対しての投資の環境をいかにして作っていくかということに集約されると思った。新しい産業をつくるとか、既存の産業の強いところをますます伸ばしていく施策ももちろん大事だが、当面は、この人材不足、2024年問題と言われている問題がますます深刻化していくので、それに対しての手当がまず必要だろうと考えている。また、プラットフォームをどう形成していくかということも重要で、これは行政が声をかけることによってすぐにでもできることだと思った。全国で最初にデジタル田園都市国家構想のタイプ3)を採択された会津若松市でも、土地を市が提供して、そこにアクセンチュアが入ってきて、コンソーシアムとしてAiCTなどができている。そこに、製造業の人たちと地場の人たちと、外からも人や企業が入ってきて、会津若松の情報系の学生をそこで雇ってる。特に印象的だったのは、非競争部門を共有化することでオペレーションのスタッフを企画の方に充てられるということだった。長崎市にも、空いている場所や使われてない市有財産もあるので、ぜひこのコンソーシアムを形成できるような環境作りを希望する。
取組の評価については、課題を把握し、できていないことをきちんと認識して委員へ示したことを一定評価するが、人材の確保支援の数値目標において、新卒者を対象にしており、新卒者に長崎に定着してもらうことも大事だが、ふるさとに家族を残し、また、相続などの問題を抱えている人たちがUターンしていく環境をどう評価していくかということを一つの基軸として入れ込むことも大事なことだと思う。特に、社会課題・地域課題として、斜面をどうするのかということや長崎は生活コストが高いなど、Uターンをいかに優遇していくのか。そうすると、1人で出て行った人たちが4人、5人で帰ってくるような施策に転換できるのではないかと思う。 

≪事務局≫新卒者については、経済成長戦略の中で人材の確保の数値目標としているが、背景として、地元に企業がないことや、やりたい仕事がないことで転出する新卒者の方がいるということから、新卒者向けの事業をしている部分がある。
一方で、Uターンについて、今、コロナ禍もあって、特に若い世代の移住者が増えているが、その大半がUターンの方という状況である。言われるように、家族で戻ってこられるケースもあり、移住者支援等に力を入れているが、国も東京一極集中是正ということで、地方への人の動きを促進していることもあるので、こういった機をとらえて、しっかりとUターンの方の獲得にも繋げていきたい。
また、新卒者ではなく、実務経験者の方についても、各産業における即戦力としての人材なので、そういった視点も含めて、しっかりと人手不足に対する施策を進めていきたい。 

【委員】経済部門と人手不足というのは、繋がっているので、ぜひ推進していただきたい。
最後に、他都市がどうしているかという話の中で、実は、佐賀県は新幹線の建設には慎重な反面、長崎の人たちを移住させる施策を打とうとしている。しかも、長崎の地場の放送局と一緒に組んで、その調査を行っている。佐賀県と長崎の施策の進捗のさせ方については、佐賀が地場産を海外に販売したり、プロモーションをかけたり、人材確保していくというように、ちょっとしたたかにどんどん進められている気配がする。
また、長崎からは福岡に一番流出しているので、これに対する国の支援はないが、佐賀の件に加えて、福岡対策を考えていただきたい。 

【委員】まず、人材不足についてだが、観光業界においても他分野と全く同じように人手不足で、喫緊の課題である状況だ。皆さんも実感されていると思うが、例えば、宿泊施設やタクシーの実際の稼働は6割7割以下という状況で、修学旅行や観光客が増えても対応できないという厳しい声が出ている。そういった中で、資料に示されている国、県、市の取組をまずは着実にやっていただきたいのと、現場の声をしっかりヒアリングして対応をお願いしたい。また、事業者の皆さんに聞くと、資料でまとめられている国、県、市の取組がわからないとのことなので、網羅して、ワンストップで発信するような取組も必要だと考えている。
重点施策4の交流分野だが、令和5年度の取組方針に、長崎市版サステナブルツーリズムの推進と書いてある。サステナブルツーリズムは、持続可能な観光ということで、国内外の基本的な大きな課題だと考えている。サステナブルツーリズムの推進によって、持続可能性を積極的にアピールすること自体がこの長崎市の観光地としての価値を高めるので、選ばれる長崎という観点からも重要だと思っている。世界的に有名なブッキングドットコムのレポートでは、旅行会社はよりサステナブルな旅行の選択肢を消費者に提供すべきであるという意見が全体の中の71%であり、サステナブルという観点は重要である。そういった中で、長崎市は、ゼロカーボンシティや脱炭素先行地域への検討などに取り組んでいるが、長崎市版サステナブルツーリズムが単なるグリーンツーリズムやブルーツーリズムなどにとどまらず、脱炭素に寄与する都市型のサステナブルツーリズムまで推進していくことを考えているのかを聞きたい。また、そのようにするためには、市役所内での各部局の連携が必要であり、一番基盤になる地域・市民と一体になった取組をしないと進まないのではないかと思うが、進めていく上での現状とこれからの取組の考え方を教えてほしい。 

≪事務局≫サステナブルツーリズムについて、国連の世界観光機構、UNWTOは旅行者、観光関連産業、自然環境、地域社会の需要を満たしつつ、経済面、社会面、環境面の影響も十分に考慮した観光をサステナブルツーリズムと位置づけている。国でも観光立国推進基本計画にしっかりとこの位置づけがあり、長崎市でも長崎版サステナブルツーリズムとして長崎市観光MICE戦略に掲げている。訪問客、事業者、そして市民が共にWin-Winになる、三方良しの持続可能な観光まちづくりをめざすものである。特に、サービスの高付加価値化を図って、観光の質の向上、観光産業の収益力、生産性の向上を高め、推進していくということが経済の好循環に繋がるため、こういった点を重視しているというのが長崎版サステナブルツーリズムである。これまでも、長崎市が進めてきたまち歩き観光や斜面市街地の歴史文化を維持する都市型の観光まちづくりというのは、脱酸素の取組と非常に親和性が高いものと考えている。
このようなカーボンニュートラルによる都市型のサステナブルツーリズムの推進については、世界から選ばれる国際観光都市の実現に大きく寄与するものと考えている。特に、欧米豪の知的富裕層、Z世代などは、SDGs、サステナビリティーに関して、旅先にもそういったものを求める傾向が強いので、対応する旅行商品やサービスの可視化にも注力していきたいと考えている。この取組については、行政だけで進めることはできないので、市民の皆さんや住民の皆さん、事業者、もちろん私ども行政においても、商工部、水産農林部、文化観光部と合わせて環境部ともしっかり連携をとりながら進めていきたい。 

【委員】ぜひ、地域も巻き込みながら、市役所の中の環境部も当然巻き込みながらの対応をお願いしたい。また、お客様に選ばれるために、客観的な基準みたいなものがいるのではないかと思っている。日本版の持続可能な観光ガイドラインも出されており、結果として、認定してお客様に選んでもらうという視点も必要だと思うので、積極的な対応をお願いしたい。 

【委員】人手不足の話だが、5月、6月に私どもが調査した中では、全業種の7割以上が人手不足だという答えが出ており、これは全業種にわたるものだ。具体的な対策について、市内の高校の先生方と意見交換をする中で、足元でやることと長期的にやることを分けて整理した方がいいということが見えてきた。足元のことで言えば、特に、高校生の市内企業への就職促進においては、保護者の方が地場企業のことをよく知らないということなどのミスマッチが起きているので、学校側からはもっと高校生をインターンシップに受入てくれる企業を増やしてほしいということや、企業側からはもっと学校の先生方に地元の企業を理解してもらって高校生に正しい企業情報を伝えてほしいとの意見もあった。そのためには、企業も情報発信をしっかりしないといけないという課題もあるが、その足元のミスマッチを解消するためにはもっとやることがいっぱいあるという感じもしている。
実際、域内の人材は取り合いになっているが、その話をしても仕方ないかなと思っている。どうやって域外から来てもらうかということになると、これは外国人人材も視野に入れて考えないといけない。具体的に言うと、県内の大学の留学生の方も、できれば長崎で就職したいという方がいるので、そのマッチングにも具体的に取り組んでいく時期だと思う。
それから、長期的なこととして、県全体で15歳中学生の人口が1万5,000人弱で、直近の出生数が9,000人を割り、8,000人になって、15年後にはそういう時代が来るという恐ろしい話だが、長崎の子供たちを域内にどうやって残すかということになると、もっと郷土愛、ふるさと愛の醸成にしっかり取り組むことだと思う。今の高校生を見ると、実業高校の生徒が実は減っていて、普通高校の進学校に進む子どもが増えている。普通高校の子どもは、勉強のウエイトが高いので、総合教育などもされているが、ふるさと教育などは手薄になっているのではないかと思う。県外の大学に行ったらそこで就職し、その時は長崎の企業を知らないので、選択肢にもあがらないまま企業を選択する。Uターンの話もあったが、ふるさとに帰ろうという動機付けも薄くなるので、長期的に考えると、ふるさと教育をもっと地道にやっていく必要があるのではないかと思っているので、官民連携ということになると思うが、できれば今やれることは、具体的に整理してやっていただければと思う。このようなことは、県外では結構やっているところもあり、これも地域間競争になっているので、やるべきことをしっかりやっていくべきだと思っている。 

≪事務局≫委員が言われたように、足元の取組と長期的な取組の両方の視点が必要だと考えている。市では、保護者向けのセミナーも実施しており、これは、子どもの進路に対する保護者の影響がかなり大きいので、保護者にしっかり理解していただく、地元の企業も知っていただくことが非常に重要だと考えて、この施策を進めている。
また、インターンシップについては、学生の意識がかなり高くなってきており、ほとんどの学生が、1社ではなく2社、3社と受けられており、インターンの段階である程度の就職先が決まっているというケースも聞いている。地場の事業者がインターンに積極的に取り組んでいただくことが人材確保につながっていくという視点で事業を実施している。
ただ、地場の企業にどんな企業があるのかや、企業の魅力について、県・市ともに、情報発信をしているが、なかなか本人たちに届いておらず、ましては県外になるとほとんど届いていないという状況なので、学生にリーチできるような情報発信を足元の取組として、今後も検討と実施をしていかなければいけないと思っている。 

【会長】インターンシップに関して、制度的に3年生のインターンシップの時に内定を出せるようになったので、1年生くらいから対応する必要があると思うが、大学と先生と企業だけでは負担が大きいので、対応していける組織について、せっかく補助機関ができたので、そこで大学や高校の先生なども入れ込んで作り込むことの検討も必要だと思う。
また、長崎大学の話で、情報データ科学部がよく出てくるが、IT活用人材の不足について、それに対応できているかというと、元の学長は経済と情報データをうまくかみ合わせるような形でやっていくような仕組みで作ったが、実態はそうなっていないので、IT活用人材を地域の中心大学である長崎大学がどういうふうに育てていくのかを投げかけることが必要だと思う。せっかく補助機関ができたので、喫緊の課題として、このような話もそこで議論してもらって、踏み出していくというような対応をとっていただきたい。 

【副会長】外から長崎にきた人間としては、生活費が意外と高いということを実感している。家賃に始まり、最近だとガソリンが日本一高いということもあった。また、小さな子どものいる世代からは、夏は猛暑の中、自宅以外に遊ばせる場所が見当たらないなど、いろいろな話を聞く。生活ひとつとっても、魅力ある街として外から長崎市に移住しようとはなかなかならないのではないかと思っている。
そうした中、今日、人手不足でいろいろな話があったが、その中には、ITと非ITという2つの話があったと思う。ITでは、やり方としてリモートなどがあり、移住しなくても他県から仕事をすることが考えられる。大都会では副業がだいぶ認められていたり、通信大手企業なども基本的には居住地によらずリモートで仕事をしていたりする。非ITではこうしたやり方は難しく、県内・市内だけでなく全国的にも基本的に人手はもう余ってないのではないかと思っている。外から呼び込むというのも本当に人の取り合いで、消耗戦になっていくだけであり、なかなか正解とは言い難いのではないかと思っている。
それ以外だと、外国人を視野に入れていかないといけないということと、あと全般的には、人手が足りないと回らないので、長崎市や長崎県の中での再編ということをどう考えていくかが重要ではないかと思っている。

4 その他 ⑵ その他

【委員】資料で経済成長戦略の目標数値の状況を出されているが、それぞれの数字が地域経済にどう関係しているかが見にくいので、もし分析されているのであれば、生産販売と分配と支出の三面等価で、長崎の経済循環がどうなっているかという資料を出していただくと非常にわかりやすいと思う。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

アンケート

アンケート

より良いホームページにするために、ご意見をお聞かせください。コメントを書く

観光案内

平和・原爆

国際情報

「行政運営・審議会・指定管理者・監査」の分類